バックナンバー

判例時報 No.2042 〔判例評論 No.606〕
             平成21年8月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆ 判決録◆ 民事 ◎譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者が譲渡の無効を主張することの可否 (最二判平21・3・27)   ◎採石権侵害の不法行為を理由とする損害賠償請求事件において、損害の発生を前提とし […]


◆ 判決録◆

民事

◎譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者が譲渡の無効を主張することの可否

(最二判平21・3・27)

◎採石権侵害の不法行為を理由とする損害賠償請求事件において、損害の発生を前提としながら、民訴法二四八条の適用について考慮することなく、損害額を算定することができないとして請求を棄却した原審の判断に違法があるとされた事例

(最三判平20・6・10)

〇一 土地購入者と当該土地の売買を仲介した宅地建物取引業者との間において、当該土地開発計画の立案等の事務を行うことを内容とする準委任契約の成立が否定された事例

二 土地購入者と当該土地の売買を仲介した宅地建物取引業者との間において、仮に当該土地開発計画の立案等の事務を行うことを内容とする準委任契約が成立したとしても、当該契約は、仲介手数料以外の報酬を求めるものとして宅地建物取引業法四六条二項に違反し、無効であるとされた事例

(大阪高判平21・1・28)

〇 親子関係不存在確認請求が著しく不当な結果をもたらすとまではいえず、権利の濫用にあたらないとして、請求が認容された事例

(名古屋高判平20・12・25)

▽健康食品が甲会社、乙会社、丙会社と順次売買される継続的供給取引について、甲会社と丙会社との間に乙会社を介して当該食品を買い受ける直接の契約関係が認められ、丙会社による解約につき甲会社に対する発注義務違反の債務不履行が認められた事例

(東京地判平20・9・18)

▽一 二階から一〇階までが専ら耐震壁により支えられている鉄筋コンクリート造りの建築物の構造設計に関し、建築確認審査に当たった建築主事に、耐震壁の評価方法及び完全ピロティ階を有するピロティ型建築物とされていることにつき、設計者に問い合わせて真意(設計意図)を確認するなどの調査をすべき職務上の注意義務があるとされた事例

二 建設業者に対する経営指導及び建築主に対するビジネスホテルの開業指導に特化した経営コンサルタント業者が、設計上の塀庇のために建築物が基本的安全性を欠くことによって、建築主に不測の損害を被らせることのないように、設計業者を適切に選定かつ指導監督すべき注意義務に違反したとされた事例

――半田市のビジネスホテル耐震強度偽装損害賠償請求事件第一審判決(名古屋地判平21・2・24)

▽交通事故の被害者の事故前の身体的要因及び心理的要因により損害額の七〇パーセントが減額された事例

(松山地今治支判平20・12・25)

知的財産権刷附刷

○意匠に係る物品を「研磨パッド」とする意匠登録出願の拒絶査定不服審判請求について創作容易性(意匠法三条二項)を理由に審判請求不成立とした審決が取り消された事例

(知的財産高判平20・8・28)

▽フォトライブラリーの元取締役である写真家が撮影した写真を写真集に掲載することについて、その多くは職務著作であるとされたものの、就職前に撮影した写真に関してのみ複製権並びに氏名表示権の侵害が認められたが、差止め請求については権利濫用として棄却された事例(那覇地判平20・9・24)

商事

◎証券取引法(平成一六年法律第九七号による改正前のもの) 一七条に定める損害賠償責任の責任主体は同法にいう発行者等に限られるか

(最二判平20・2・15)

▽有価証券報告書等の虚偽記載が発覚してその株式が上場廃止となった会社の株主が、当該会社及び代表取締役等に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、「株式の取得価格-売却価格」の損害が認められた事例

(東京地判平21・3・31)

刑事

◎一 軽犯罪法一条二号にいう「正当な理由」の意義及びその存否の判断方法

二 軽犯罪法一条二号所定の器具に当たる催涙スプレー一本を専ら防御用として隠して携帯したことが同号にいう「正当な理由」によるものであったとされた事例

(最一判平21・3・26)

最新判例批評

四五 市の非常勤の嘱託員の報酬について、「月額二七万円又は日額一万二七〇〇円の範囲内で任命権者の定める月額又は日額」と定める条例の規定が給与条例主義に違反しないとされた事例(大阪高判平19・10・31) ……晴山一穂

四六 チーム医療として手術が行われる場合に患者やその家族に対して説明が十分になされるようにチーム医療の総責任者が配慮する義務を負うとされた事例(最一判平20・4・24)……水野謙

四七 飲酒運転中の交通事故と共同飲酒者等の共同不法行為責任(東京地判18・7・28) ……松原哲

四八 芸能人の歌唱時の振付けを利用したダイエット記事において、記事中に当該芸能人が写っている写真を使用したことが、当該芸能人のパブリシティ権を侵害する不法行為には当たらないとされた事例――「ピンク・レディ」パブリシティ権侵害事件(東京地判平20・7・4)……大家重夫

四九 被殺者二名の強盗殺人等被告事件につき、多数意見では被告人二名を無期懲役に処した第一審判決を維持した控訴審判決を破棄しなければ著しく正義に反するとは認められないとされたが、一名の被告人について、二裁判官による量刑不当との反対意見が付された事例(最一決平20・2・20)……本庄武

五〇 逃亡犯罪人引渡法二条五号および同六号の法意とアメリカ合衆国において有罪答弁を行って受理された者の引渡し(東京高決平20・3・18)……愛知正博

Copyrightc 株式会社判例時報社 All Rights Reserved.

PAGE TOP