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判例時報 No.2082
             平成22年9月11日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

 


◆記事◆

最高裁民事破棄判決等の実情(上)――平成二一年度……田中一彦、鎌野真敬

現代型取引をめぐる裁判例(261)……升田純

◆判決録◆

行政

◎宗教法人の規則で財産の処分に関する事項を明示的に定めた規定が存在しないものは宗教法人法一二条一項八号に違反するか

(最三判平22・4・20)

◎都市計画法五五条一項所定の事業予定地内の土地の所有者が具体的に建築物を建築する意思を欠き、都道府県知事等による当該土地の買取りが外形的に同法五六条一項の規定による買取りの形式を採ってされたにすぎない場合に、当該所有者は当該買取りの対価につき租税特別措置法(平成一六年法律第一四号による改正前のもの)三三条の四第一項一号所定の長期譲渡所得の特別控除額の特例の適用を受けることができるか

(最三判平22・4・13)

民事

◎売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合に、買主からの工事施工者等に対する不法行為に基づく建て替え費用相当額の損害賠償請求において買主が当該建物に居住していたという利益を損益相殺等の対象として損害額から控除することの可否

(最一判平22・6・17)

◎一 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律四条一項に基づく発信者情報の開示請求に応じなかった特定電気通信役務提供者が損害賠償責任を負う場合

二 インターネット上の電子掲示板にされた書き込みの発信者情報の開示請求を受けた特定電気通信役務提供者が、請求者の権利が侵害されたことが明らかでないとして開示請求に応じなかったことにつき、重大な過失があったとはいえないとされた事例

(最三判平22・4・13)

◎権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が、当該社団の構成員全員に総有的に帰属し、当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して強制執行をしようとする場合における申立ての方法(最三判平22・6・29)

○競売手続で買い受けた土地を落札価額より著しく高額な価格で売却しようという意図の下に、買受人が社会通念上許容される限度を逸脱した不相当な買取交渉をし、その延長上のものとして不動産引渡命令の申立てをした場合において、申立権の濫用に当たるとして、却下された事例(東京高決平22・3・8)

▽マンションの管理組合及び他の区分所有者等から屋外での猫への餌やり及び屋内での猫の飼育を行う区分所有者に対する差止請求及び損害賠償請求が認容された事例

(東京地立川支判平22・5・13)

▽請負工事の発注に際して請負人と第三者とが談合したために適正額を超える請負代金で当該工事を発注する結果となって損害を被ったという注文者の請負人及び当該第三者に対する損害賠償請求が失当として棄却された事例

(大阪地判平21・7・27)

▽神社乗っ取りの目的で、当該神社の代表役員の不実変更登記のため支出した費用等を損害として求めた損害賠償請求につき、民法七〇八条を類推適用して請求が棄却された事例

(京都地判平22・2・5)

知的財産権

○等方性エッチング溶液に浸漬するとの工程を含む太陽電池用半導体ウエハの製造方法の発明が、特許出願時の技術常識を参酌すると、等方性エッチング溶液に浸潰するとの記載のない刊行物に記載された発明に該当し、新規性を欠くとされた事例

(知的財産高判平21・10・8)

〇商標の専用使用権設定契約が期間満了により終了した場合には、その専用使用権設定登録が抹消されていなくとも、専用使用権者から通常使用権の再許諾を受けていた者による使用が商標法五〇条二項の「通常使用権者」の使用には当たらないと判断された事例

(知的財産高判平21・11・30)

▽一 筆記具のクリップ取付装置に関する登録実用新案について、被告及び補助参加人の「無効主張」が認められ、かつ、原告の「対抗主張」が認められないとして、実用新案権者の権利行使が制限された事例

二 「対抗主張」は、抗弁である「無効主張」と両立しつつ、その法律効果の発生を妨げるものとして、「無効主張」に対する再抗弁と位置付けられる

三 「対抗主張」の成立要件は、①原告が適法な訂正請求を行っていること、②当該訂正によって被告が主張している無効理由が解消されること及び③被告製品が当該訂正後の請求項に係る考案の技術的範囲に属することである

――ふみのすけオリジナルボールペン事件第一審判決(東京地判平21・2・27)

商亊

▽岸壁近くで停車していた自動車が追突されて海面に転落した事故について、故意によるものとして、保険会社の免責が認められた事例

(東京地判平22・6・24)

刑事

◎児童福祉法三四条一項六号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法七条三項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例

(最一決平21・10・21)

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