バックナンバー

判例時報 No.2089
             平成22年11月21日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

 


◆記事◆

確率論と要件事実――因果関係を題材として……河村浩

現代型取引をめぐる裁判例(266)……升田純

海外刑法だより(306)

フランスの参審制度(中) ……森下忠

◆判例特報◆

市と金融機関との間で締結されたいわゆる損失補償契約に基づいて市長が金融機関に対して当該補償債務の支払のためにする出費の差止めを求めた住民訴訟に基づく請求が認容された事例―― 安曇野市損失補償出費差止控訴審判決

(東京高判平22・8・30)

◆判決録◆

行政

〇一 地方自治法二四三条の二が適用されない職員には軽過失免責が及ばない

二 下水道普及率等を水増しして報告していたため、過大に交付を受けていた地方交付税の超過分に加え、加算金を納付しなければならないこととなったことにつき、元市長及び幹部職員の損害賠償責任が認められた事例

(広島高岡山支判平21・9 ・17)

◎葬儀場の営業を行う業者が、その近隣に居宅を共有してこれに居住する者に対し、上記居宅から葬儀場の様子が見えないようにするための目隠しを設置する措置を更に講ずべき義務も、葬儀場の営業についての不法行為責任も負わないとされた事例

(最三判平22・6・29)

◎一 担保不動産競売事件の期間入札において、執行官が、最高の価額で買受けの申出をした入札人の入札を誤って無効と判断し、他の者を最高価買受申出人と定めて開札期日を終了した場合に、執行裁判所等が執るべき措置

二 担保不動産競売事件の期間入札において、自らが最高の価額で買受けの申出をしたにもかかわらず、執行官の誤りにより当該入札が無効と判断されて他の者が最高価買受申出人と定められたため、買受人となることができなかったことを主張する入札人が、この者の受けた売却許可決定に対し執行抗告をすることの許否

三 担保不動産競売事件の期間入札において、入札書を封入した封筒に記載された事件番号が、これと共に提出された入札保証金振込証明書に記載されたそれと一致しなくても、当該入札が無効であるということはできないとされた事例

(最一決平22・8 ・25)

▽Ⅹから冷凍食品を購入し、これをAに売却するという介入取引をしていたYについて、同

取引に循環取引が含まれることを認識していたとして、循環取引に係る売買代金請求に対

する同時履行の抗弁権の主張が排斥された事例

(東京地判平22・6 ・30)

▽飲食店の店長として業務に従事していた従業員が急性心筋梗塞により死亡した場合において、使用者の安全配慮義務違反による債務不履行責任を認め、使用者に対し、損害賠償が命じられた事例

(大阪地判平21・12 ・21)

▽いわゆる家賃保証会社の従業員が借家人に対して行った玄関ドアに督促状を貼り付けるなどの方法による取立て行為につき、不法行為が成立するとされた事例

(大阪地判平22・5・28)

▽市が設置し、財団法人市民活動センターが管理運営するこども文化センターの利用者が発する騒音により精神的苦痛を受けるとして隣地居住者が求めた一定限度を超える騒音発生禁止の仮処分申立てが却下された事例

(横浜地川崎支決平22・5・21)

知的財産権

〇「高断熱・高気密住宅における深夜電力利用微熱式床下暖房システム」の発明に係る特許においてなされた補正が特許法一七条の二第三項に規定する要件を満たしていないとの無効理由があるとした審決の判断に誤りがあるとして、審決が取り消された事例

(知的財産高判平22・1・28)

○商標法五一条一項にいう混同を生ずるおそれの有無については、商標権者が使用する商標と引用する他人の商標との類似性の程度、当該他人の商標の周知著名性及び独創性の程度、商標権者が使用する商品等と当該他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである

(知的財産高判21 ・12・10)

商事

▽いわゆる「表明保証」条項に違反したことを理由とする株式譲渡契約の解除に基づく譲受人の譲渡人に対する譲渡代金の返還請求が譲渡人に譲受人の主張する表明保証条項に違反する事実がないとして棄却された事例

(東京地判平22・3・8)

労働

▽高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の趣旨・目的に鑑み、特別嘱託社員についても従業員の希望に応じて有期雇用契約が更新される旨の労使慣行が存在したとする原告らの主張が認められず、同慣行を根拠とする地位確認等請求がいずれも棄却された事例

(東京地判平22・4・13)

Copyrightc 株式会社判例時報社 All Rights Reserved.

PAGE TOP