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判例時報 No.1987〔判例評論 No.588〕
             平成20年2月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆判決録◆ 行政 ○新幹線の新駅建設のための仮線工事の賛同について同工事が都市計画道路拡幅工事の関連工事であるということで地方債の起債を行うことが地方財政法五条に違反するとして起債の差止めが認められた事例(大阪高判平19 […]


◆判決録◆

行政

○新幹線の新駅建設のための仮線工事の賛同について同工事が都市計画道路拡幅工事の関連工事であるということで地方債の起債を行うことが地方財政法五条に違反するとして起債の差止めが認められた事例(大阪高判平19・3・1)

民事

○外国為替取引業者と顧客との間の預託金の返還をめぐる和解契約について、業者に、業者の行政処分、倒産、預託金の返還可能性という不確実な事項につき断定的判断の提供があったとして、同和解契約の取消しが認められた事例

(大阪高判平19・4・27)

〇髄膜腫摘出術を受けた患者が急性硬膜下血腫によって死亡した場合に、髄膜腫摘出術の終了に手間取り、その結果、頭部CT検査の実施を遅らせ、ひいては急性硬膜下血腫の再手術の開始が遅れたことにつき医師に過失があるとされた事例

(福岡高判平18・10・26)

▽マンションの階上の住戸からの子供が廊下を走ったり、跳んだり跳ねたりする音が階下の住戸に居住する住民が社会生活上受忍すべき限度を超えるとして上記住民の上記子供の父親に対する損害賠償請求が認容された事例

(東京地判平19・10・3)

▽郵政民営化法案が衆議院において可決された直後に、原告が同法案に反対する民主党所属の国会議員であるにもかかわらず、賛成派議員と同法案通過の打ち上げに参加していた旨を摘示した週刊誌の記事につき、名誉投損の成立を認め、慰謝料五〇〇万円の支払及び謝罪広告の掲載が命じられた事例

(東京地判平19・1・17)

▽マンションの敷地と商業用駐車場として使用されている一筆の土地を一画地として固定資産課税台帳に登録された登録価格の決定は評価基準に適合しないが、右決定の違法を理由として国家賠償を請求することはできないし、固定資産税賦課処分を無効として税額の返還を求めることはできないとされた事例

(大阪地判平18・12・20)

▽真珠腫性中耳炎の患者が真珠腫除去手術を受けた後に肺炎を併発して死亡した場合、医師に説明義務違反、経過観察義務違反、肺炎に対する治療上の過誤があったとして病院側の損害賠償責任が認められた事例

(横浜地判平18・3・22)

▽自動車運転代行業のフランチャイズ契約に関し、フランチャイザーのフランチャイジーに対する信義則上の保護義務違反に基づく加盟金相当額についての損害賠償請求が認められた事例(過失相殺四割)

(さいたま地判平18・12・8)

知的財産権

▽一 生理活性タンパク質の製造法に関する特許発明に関して、優先権主張目前から当該特許発明に係る方法と同一の方法を使用して生理活性タンパク質を精製し、厚生大臣に対して当該生埋活性タンパク質から製造した治験薬を用いて臨床試験を行う旨の治験計画届書を提出するなどしていたYについて、先使用に基づく通常実施権の成立が認められた事例

二 生理活性タンパク質の製造法に関する発明が進歩性を欠き、当該発明に係る特許は特許法二九条二項に違反してされたものであって特許無効審判により無効にされるべきものであるとして、特許権者が、同法一〇四条の三第一項の規定により、特許権を行使することができないとされた事例

(東京地判平18・3・22)

商事

▽企業買収において買収者側の表明保証責任等が否定された事例

(東京地判平19・9・27)

労働

◎一 マンションの住み込み管理員が所定労働時間の前後の一定の時間に断続的な業務に従事していた場合において、上記一定の時間が、管理員室の隣の居室に居て実作業に従事していない時間を含めて労働基準法上の労働時間に当たるとされた事例

二 マンションの住み込み管理員である夫婦が雇用契約上の休日である土曜日も管理員としての業務に従事していた場合において、土曜日については、夫婦のうち一人のみが業務に従事したものとして労働時間を算定するのが相当であるとされた事例

三 マンションの住み込み管理員が土曜日を除く雇用契約上の休日に断続的な業務に従事していた場合において、使用者が明示又は黙示に上記休日に行うことを指示したと認められる業務に現実に従事した時間のみが労働基準法上の労働時間に当たるとされた事例

(最二判平19・10・19)

刑事

◎広島市暴走族追放条例(平成一四年広島市条例第三九号) 一六条一項一号、一七条、一九条の規定を限定解釈により憲法二一条一項、三一条に違反しないとした事例

(最三判平19・9・18)

◎不正アクセス行為の禁止等に関する法律八条一号の罪と私電磁的記録不正作出罪との罪数関係

(最二決平19・8・8)

◆最高裁判例要旨(平成一九年一一月分)

判例評論

<総合研究>

新株予約権無償割当てと差止め――ブルドックソース事件(最一決平19・8・7判時一九八三号五六頁)の検討……青竹正一

<最新判例批評>

七 厚生年金保険の被保険者であった叔父と内縁関係にあった姪が厚生年金保険法に基づき遺族厚生年金の支給を受けることのできる配偶者に当たるとされた事例

(最一判平19・3・8)……西田和弘

八 集合債権譲渡担保契約において国税の法定納期限前に第三者に対する対抗要件が具備されていた場合、将来債権も国税債権に優先するとされた事例

(最一判平19・2・15)……高野幸大

九 厚生年金基金の解散に伴う残余財産の分配金の所得区分

(東京高判平18・9・14)……奥谷健

一〇 警察の捜査権限不行使に対する国家賠償請求につき、過失・適法性を肯定した上で、被害者死亡に対する因果関係を否定しっつ生存可能性侵害を理由に賠償請求を認容した事例

(東京高判平19・3・28)……米村滋人

一一 日中共同声明前に「中華民国」の名称で土地建物明渡しを請求した原告の確定

(最三判平19・3・27)……横溝大

一二 「衝突、接触-その他偶然な事故」及び「被保険自動車の盗難」を保険事故として規定している一般自動車総合保険約款に基づき上記盗難に当たる保険事故が発生したとして車両保険金の支払を請求する場合における事故の偶発性についての主張立証責任

(①最三判平19・4・17、②最一判平19・4・23)……山野嘉朗

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