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判例時報 No.2600
             2024年10月11日 号 定価:850円 (本体価格:773円+10%税)

■判決録
<行政> 1件
<民事> 4件
<労働> 2件
<刑事> 2件


◆判決録◆

行 政

○条例の目的又は適正な請求に努める旨の利用者の責務に反する開示請求については開示しないことができる旨の定めを置く情報公開条例においてなされた非開示決定が、開示請求は開示を求める文書の所管部署に対し優位な地位を得たり自己満足を得るために行われたものであること及び開示のための作業量が所管部署の業務に支障を及ぼす態様のものであることから、当該開示請求は、権利行使として相当なものとはいえず、条例の目的及び利用者の責務に反しているとして、適法とされた事例
(東京高判令5・8・2〈参考原審:東京地判令5・2・16〉)

民 事

○借地借家法32条1項に基づく賃料減額請求の意思表示による約定賃料の減額が認められなかった事例
(東京高判令3・11・4〈参考原審:東京地判令3・2・9〉)

○交通事故の被害者が加害者に対して有する損害賠償請求権の仮差押えがされた場合、その効力は自動車損害賠償保障法16条1項に基づく直接請求権にも及ぶから、加害者は、仮差押えの発令を認識していた保険会社がした同項の直接請求権に基づく自賠責保険金の支払の効力を主張することはできないとした事例
(東京高判令4・4・7)

○廃棄物処分場の立地自治体が、同処分場における廃棄物の不適正な処理の結果生じる生活環境保全上の支障等の除去のための措置に要した費用について、同処分場に一般廃棄物を搬入してその処分を委託した排出自治体に対して行った、事務管理に基づく有益費償還請求を認めなかった事例
(名古屋高金沢支判令4・12・7〈参考原審:福井地判令3・3・29本誌2514号62頁〉)

▽夫婦の一方が、他方に対し、婚姻前に自身の疾患(IgA腎症)について告知しなかったこと等が告知義務違反に当たる旨などを主張し、不法行為に基づく損害賠償請求をしたところ、不法行為の成立が否定された事例
(東京地判令4・11・22)

労 働

○国立大学法人に対してその労働組合と誠実に団体交渉すべきことを命じた労働委員会の救済命令の取消しを求めた同法人の請求につき、差戻後の控訴審が団体交渉の過程における同法人の誠実交渉義務違反の不当労働行為を認定し、同請求を棄却すべきものとした事例
(仙台高判令5・7・19)

▽被告設置の病院に勤務している原告らが、被告に対し、扶養手当と住宅手当の組換えにより賃金が減額された職員を生じさせた就業規則の変更は合理性がないとして旧規定に基づく賃金の支払を求めた事案において、原告らの請求が棄却された事例
(山口地判令5・5・24)

刑 事

○1 小児歯科医院の院長であり患児の主治医であった被告人が、同歯科医院の歯科医師に歯科用局所麻酔剤を使用して患児(当時2歳)の歯科治療をさせたところ、患児に異変が生じて2日後に救急搬送先の病院で死亡したことにつき、業務上過失致死罪に問われた事案において、同罪の成立を認めた原審の判断が是認された事例
2 公判前整理手続で争いがないとされた前提事実に反する控訴審弁護人の主張について、前提事実が明らかに客観的な真実に反していると判明した場合には前提事実に基づく第1審判決の事実認定を維持できないが、本件では前提事実が明らかに客観的な真実に反しているとは認められないとされた事例
(福岡高判令6・2・9〈参考原審:福岡地判令4・3・25〉)

○「殺害して天罰下る」、「自業自得。ご一家お揃いで奈落の底へどうぞ」などと記載した葉書の郵送について、被告人を無罪とした原判決を破棄し、脅迫罪の成立を肯定した事例
(東京高判令5・11・28〈参考原審:横浜地判令5・1・30〉)

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