判例時報 No.2575*
2024年1月21日 号 定価:850円
(本体価格:773円+10%税)
■判決録
<民事>2件
<知的財産権>1件
<労働>2件
<刑事>1件
◆判決録細目◆
民 事
◎いわゆる弁済受領文書の提出による強制執行の停止の期間中にされた執行処分の効力
(最一判令5・3・2)
○1 日本放送協会(NHK)との間で受信契約を締結した受信者らがNHKに対して、放送法4条又はNHKが自ら定めた国内放送基準を遵守してニュース報道番組を放送する義務があることの確認を求める訴えが、確認の利益を欠く不適法なものとされた事例
2 前記遵守義務違反の放送を理由とする受信者らのNHKに対する損害賠償請求に理由がないとされた事例
(大阪高判令4・5・27〈参考原審:奈良地判令2・11・12本誌2512号70頁〉)
知的財産権
○1 発信者情報開示請求において、権利侵害の明白性が認められないと判断された事例
2 ツイートにおけるイラスト画像の利用が適法な引用に当たるとされた事例
3 ツイートに添付されたイラスト画像が、タイムライン上においてトリミング表示されることにつき、「やむを得ないと認められる改変」に当たるとされた事例
(知財高判令4・10・19〈参考原審:東京地判令3・12・23〉)
労 働
○地方公共団体の職員が公務上の疾病による休職であったとして復職後に条例により休職期間中の「給与の全額」の支払を受けた場合について、本来の給与支給日を徒過した以上、遅延損害金を付すべきとされた事例
(大阪高判令4・4・15〈参考原審:京都地判令3・5・24〉)
▽新聞記者からの取材に対するコメントを理由とする停職処分、組合名義のビラの配布等を理由とする諭旨退職処分につき、いずれも、目的、態様、内容に照らして正当な組合活動の範囲を逸脱するものではないとして、前記各処分が無効と判断された事例
(横浜地判令4・12・22)
刑 事
○広義の特殊詐欺の事案において電子計算機使用詐欺罪の成立を認めた原判決につき、被告人には詐欺の故意はあったが、これと構成要件が異なる電子計算機使用詐欺の故意はなかった旨及び詐欺罪が成立するため、その補充規定である電子計算機使用詐欺罪は成立しない旨の事実誤認、法令適用の誤りの弁護側の主張が排斥された事例
(大阪高判令4・11・17〈参考原審:大阪地堺支判令4・5・10〉)