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判例時報 No.2528*
             2022年10月21日 号 定価:850円 (本体価格:773円+10%税)

統治構造において司法権が果たすべき役割 第3部(6)
 表現活動への国家の「援助」と表現の自由……市川正人
 
建設工事紛争審査会の実情
 ──ADRとしての役割──……門口正人
 
■判例特報
旧優生保護法国賠訴訟控訴審判決
(大阪高判令4・2・22)
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 2件
<労働> 1件
<商事> 1件
<刑事> 2件


◆記 事◆

統治構造において司法権が果たすべき役割 第3部(6)
 表現活動への国家の「援助」と表現の自由……市川正人

建設工事紛争審査会の実情
 ──ADRとしての役割──……門口正人

◆判例特報◆

○1 優生保護法(平成8年法律第105号による改正前のもの)4条ないし13条の憲法13条、14条適合性
2 国会議員による優生保護法(平成8年法律第105号による改正前のもの)4条ないし13条の立法行為と国家賠償法1条1項の違法性
3 優生保護法(平成8年法律第105号による改正前のもの)4条ないし13条の立法行為に係る国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権について民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の規定の適用が否定された事例

──旧優生保護法国賠訴訟控訴審判決
(大阪高判令4・2・22〈参考原審:大阪地判令2・11・30本誌2506=2507号69頁〉)

◆判決録細目◆

行 政

○性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律2条に定める性同一性障害者であって、性別適合手術を受けておらず、戸籍上の性別変更をしていないトランスジェンダー(Male to Female)の国家公務員が、所属省内の女性用トイレの使用に制限を受けていたことにつき、公平処遇を求める措置要求を認められないとした人事院の判定の取消しを求めるとともに、国家賠償法に基づく損害賠償を求めた請求について、いずれも違法がないとされた事例

──経済産業省性同一性障害事件
(東京高判令3・5・27〈参考原審:東京地判令1・12・12〉)

民 事

▽1 送金委託契約に基づいて送金がなされる場合、送金依頼人と被仕向銀行の法律関係において民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)107条2項は類推適用されないとされた事例
2 被仕向銀行が仕向銀行から受領した被仕向送金接受受付票記載の受取人の口座についての情報と被仕向銀行に実在する口座についての情報とが完全に一致していない場合において、被仕向銀行が自行の前記口座に被仕向送金額相当の入金をしたことにつき、受取人の特定として足りていたとされた事例

(東京地判令3・8・25)

▽1 相続人が、被相続人の生前に、被相続人の預金口座等から被相続人に無断で出金し、これに対し他の相続人が、被相続人から相続した不当利得返還請求権を行使する場合の権利割合は法定相続分であるとした事例
2 相続人が、被相続人の死後、遺産である被相続人の預金口座から他の相続人に無断で出金し、これに対し他の相続人が、不当利得返還請求権を行使する場合の権利割合は法定相続分であるとした

事例

(東京地判令3・9・28)

労 働

▽労働者派遣事業等を業とする株式会社である原告の従業員であった被告が原告に在職中に別会社(被告会社)を設立して原告のスタッフを被告会社に引き抜いたことによって損害を被ったと主張する原告が、被告及び被告会社に対して損害賠償を求める本訴を提起し、原告が被告の行為を非難する文書を関係先に配布したことによって名誉が毀損されたと主張する被告らが、原告に対して損害賠償を求める反訴を提起した事案において、本訴請求と反訴請求がそれぞれ一部認容された事例

(宮崎地都城支判令3・4・16)

商 事

○取締役会議事録及び監査役会・監査等委員会議事録の閲覧謄写許可の申立てが、株主の権利を行使するため必要があること及び申立てに係る議事録部分が存在することの疎明があるとは認められないとして却下された事例

(大阪高決令3・5・28〈参考原審:神戸地尼崎支決令3・1・13〉)

刑 事

○1 実子(生後1月及び3月)に対し身体を揺さぶる等の暴行を加え、急性硬膜下血腫等の傷害を負わせ(死亡させ)たという傷害(致死)の事案において、被害者の傷害は他の原因で生じた可能性が否定できないとして無罪とした原審の判断を是認した事例(①②事件)
2 公判前整理手続終結後の検察官からの証拠調べ請求につき「やむを得ない事由」がないとして却下した原審の判断を是認するとともに、職権で取り調べなかった点に審理不尽の違法がある旨の検察官の主張を排斥した事例(②事件)

(①東京高判令3・5・28、②名古屋高判令3・9・28)

○ベトナム人技能実習生である被告人が、死産したえい児の死体を段ボール箱に二重に入れて接着テープで封をし、自室にあった棚の上に置いた行為は死体遺棄罪にいう遺棄にあたるが、1日と約9時間の間、同死体の葬祭を行わなかった行為はこれにあたらないとした事例

(福岡高判令4・1・19)

※訂正箇所

●本紙137頁1段33行目

誤 …蟻川恒生
正 …蟻川恒正

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