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判例時報 No.2519
             2022年7月21日 号 定価:850円 (本体価格:773円+10%税)

わくわくする民事訴訟改正
 ──いよいよ「6か月内の迅速審理」がスタートする……定塚 誠
 
議会制民主主義のいま─主権・選挙・代表を再考する(4)
 代表構成と選挙制度をめぐる憲法論の「過少」
 ──司法判断で改めて留意してほしい諸論点……新井 誠
 
■判決録
<行政> 2件
<民事> 3件
<知的財産権> 2件
<労働> 1件
<刑事> 1件
 
◆最高裁判例要旨(2022(令4)年2月分)


◆記 事◆

わくわくする民事訴訟改正
 ──いよいよ「6か月内の迅速審理」がスタートする……定塚 誠

議会制民主主義のいま─主権・選挙・代表を再考する(4)
 代表構成と選挙制度をめぐる憲法論の「過少」
 ──司法判断で改めて留意してほしい諸論点……新井 誠

◆判決録細目◆

行 政

○普通河川の敷地の占用に関する不許可処分について、市長の裁量権の行使に当たって事業の公共性・公益性等も考慮できるとして、市長の判断には裁量権の逸脱又は濫用の違法はないが、適切な理由が提示されなかったとして前記不許可処分が取り消された事例

(東京高判令3・4・21〈参考原審:静岡地判令2・5・22〉)

○市が管理する道路の歩道部分に設置されたガソリンスタンドへの車両乗入口につき、車種、走行条件によっては車体底部が路面に接触し得る構造であるといえても、それにより生ずる損傷は軽微であり、多くの車両運転者は相応の注意を払って進入し接触を回避している実情にあるといえるから、車両乗入口として通常有すべき安全性を欠くとはいえず、車両乗入口を設置したガソリンスタンドの所有者につき不法行為責任及び道路を管理する市につき国家賠償責任がいずれも成立しないとされた事例

(名古屋高判令3・2・26〈参考原審:名古屋地判令2・9・29〉)

民 事

○民法811条6項の死後離縁の申立てにつき、生存養親又は養子の真意に基づく限り、原則としてこれを許可すべきであるが、離縁により養子の未成年の子が養親から扶養を受けられずに生活に困窮することとなるなど、社会通念上容認し得ない事情がある場合には、これを許可すべきではないと解した上で、本件においては、前記社会通念上容認し得ない事情がある場合に該当しないとして、推定相続人廃除の手続を潜脱する目的でなされた恣意的なものであるとして死後離縁の申立てを却下した原審判を取り消し、死後離縁の申立てを許可した事例

(大阪高決令3・3・30〈参考原審:神戸家姫路支審令2・11・16〉)

▽建物賃貸借契約が法定更新される場合にも更新事務手数料を必要とする条項について、消費者契約法10条に反し無効とした1審の判断を変更し、控訴審では同条に該当せず前記条項は有効であるとした事例

(東京地判令3・1・21)

▽子らの監護者の指定と引渡しを求めた事案において、主たる監護者は申立人であったところ、相手方は、単独監護の開始を強行した上、子らを海外渡航させて申立人との交流を断ったものであり、監護者としての適格を欠くとして、前記各申立てをいずれも認容した事例

(東京家審令3・5・31)

知的財産権

○五線譜に表された音楽的要素及び「マツモトキヨシ」の片仮名で記載された歌詞の言語的要素からなる音商標が、商標法4条1項8号の「他人の氏名」を含む商標に当たらないと判断された事例

(知財高判令3・8・30)

○1  音楽教室における教師の演奏行為の演奏主体は音楽教室事業者であり、その演奏行為は音楽教室事業者による演奏権の行使にあたるとした事例
2  音楽教室における生徒の演奏行為の演奏主体を生徒であるとした事例
3  音楽著作物を楽譜や録音物に複製することを許諾したことによって、演奏権が消尽することはないとした事例

(知財高判令3・3・18〈参考原審:東京地判令2・2・28〉)

労 働

○約1年間にわたり著しい長時間労働に従事していたレストランの調理師が、劇症型心筋炎を発症して最終的に死亡したことについて、レストラン経営会社代表者兼オーナーシェフには従業員である前記調理師に対する負担軽減措置を講じない注意義務違反があり、同注意義務違反及び長時間労働による過労状態と前記調理師の死亡との間の相当因果関係を肯定して損害賠償請求を認容した1審判決が控訴審でも維持された事例

(大阪高判令3・3・25〈参考原審:大阪地判令2・2・21本誌2452号59頁〉)

刑 事

○少年が、被害者を引き倒して腹部を踏みつけるなどの暴行を加え、腹部挫傷等の傷害を負わせたという傷害保護事件において、少年を第1種少年院送致とした原決定に対する処分の著しい不当を理由とする抗告につき、試験観察中に補導委託先から無断退去し、不良交友に居場所を求めたこと等を指摘し、抗告を棄却した事例

(東京高決令3・9・6)

◆最高裁判例要旨(2022(令4)年2月分)

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