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判例時報 No.2517〔評論 No.760〕
             2022年7月1日 号 定価:1470円 (本体価格:1336円+10%税)

<最新判例批評>
 木村 草太  山本  研  本山 雅弘
 野川  忍  嘉門  優
 
■書評
 ①高野隆『人質司法』
  評者 木谷 明
 ②栗田路子ほか『夫婦別姓─家族と多様性の各国事情』
  評者 澤 康臣
 
■判決録
<行政> 2件
<民事> 4件
<知的財産権> 1件
<刑事> 2件


◆書 評◆

①高野隆『人質司法』(角川書店、2021年)
 評者……木谷 明
②栗田路子ほか『夫婦別姓─家族と多様性の各国事情』(筑摩書房、2021年)
 評者……澤 康臣

◆判決録細目◆

行 政

○刑事施設に収容されている者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律45条1項所定の保有個人情報に当たらないとして、開示しない決定を是認した1審判決を取り消した事例

(大阪高判令3・4・8〈参考原審:大阪地判令2・9・11〉)

▽夜間、自動車が交差点を左折した際に中央分離帯に乗り上げた事故につき、同交差点に設置されていた街灯が点灯しておらず、視認性が低下したとして営造物の設置・管理の瑕疵を認め、それと事故との間に相当因果関係があるとされた事例

(神戸地判令3・1・22)

民 事

○事業用大型貨物自動車の走行中にエンジンから出火した事故により生じた損害について、その製造業者が製造物責任法3条に基づく賠償責任を負うとされた事例

(大阪高判令3・4・28〈参考原審:大阪地判平31・3・28〉)

○家事事件手続法279条1項本文の利害関係人について、審判により直接身分関係に何らかの変動が生ずる者に限られず、当該審判によって変動する身分関係を前提として、自らの身分関係に変動を生ずる蓋然性のある者も含まれるとして、合意に相当する審判に対する異議申立却下審判に対する抗告を認容して原審判を取り消した事例

(大阪高決令3・3・12)

▽1 精肉作業に用いられた工場内の機械について、管理責任者が、同機を用いた特定の精肉作業により生じる危険性を容易に認識し得た場合において、使用者が、同機に何らの備えもしないまま、非熟練労働者を前記作業に従事させたことが安全配慮義務違反に当たるとした事例
2 前記の場合において、使用者が、非熟練労働者に対し、前記作業を踏まえた具体的な安全衛生教育をしなかったことが安全配慮義務違反に当たるとした事例

(横浜地判令3・3・26)

▽債務者の受給年金等の振込先口座の預金債権を差し押さえ、これを取り立てた債権者が、その取り立てた金額の不当利得返還義務を負うことを認めた事例

(神戸地尼崎支判令3・8・2)

知的財産権

▽時計原画が著作物に当たり、時計製品の販売行為が当該時計原画に係る著作権を侵害していることを理由とする、当該時計製品の頒布差止め及び廃棄並びに損害賠償等の請求が棄却された事例

(大阪地判令3・6・24)

刑 事

◎人を欺いて補助金等又は間接補助金等の交付を受けた旨の事実について詐欺罪で公訴が提起された場合において、当該行為が補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項違反の罪に該当するときに、刑法246条1項を適用することの可否

(最三決令3・6・23)

▽1 暴力団組織の序列1位及び同2位の立場にある被告人両名が、その配下組員らの行った殺人1件及び組織的殺人未遂等3件について、共謀共同正犯の罪責を負うとされた事例
2 殺人の死亡被害者が1名である前記事案において、暴力団組織の序列1位の被告人に死刑、同2位の被告人に無期懲役がそれぞれ言い渡された事例

(福岡地判令3・8・24)

判例評論

14 那覇市至聖廟事件上告審判決

(最大判令3・2・24)……木村草太

15 債権の仮差押えを受けた仮差押債務者がその後に第三債務者との間で当該債権の金額を確認する旨の示談をした場合において、当該債権に対する差押命令及び転付命令を得た仮差押債権者が第三債務者に対して当該示談で確認された金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断に違法があるとされた事例

(最三判令3・1・12)……山本 研

16 ロックバンドの実演家のグループ名について人格的権利としてのパブリシティ権を肯定したうえで、専属契約の相手方である音楽事務所へのその帰属を否定した事例

(東京高決令2・7・10)……本山雅弘

17 1 無期雇用労働者に支給されている賞与が、有期雇用のアルバイト社員には払われない措置が、労働契約法旧20条に照らして不合理なものとは言えないとされた事例(①事件)―大阪医科薬科大学事件

2 無期雇用労働者に支給されている退職金が、有期雇用の契約社員には払われない措置が、労働契約法旧20条に照らして不合理なものとは言えないとされた事例(②事件)―メトロコマース事件
(①②最三判令2・10・13)……野川 忍

18 被告人が、同居の実子(当時19歳)が被告人による暴力や性的虐待等によって抗拒不能の状態に陥っていることに乗じて性交をしたとされる準強制性交等罪の事案において、抗拒不能状態を認定できないとして無罪を言い渡した原判決を破棄して有罪とした事例

(名古屋高判令2・3・12)……嘉門 優

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