判例時報 No.2512
2022年5月11日 号 定価:850円
(本体価格:773円+10%税)
海外判例研究──第13回──
大林 啓吾 胡 光輝
ダン ローゼン・西口 元
カライスコス アントニオス
神馬 幸一 仲道 祐樹
講話 民事裁判実務の要諦(5)
──裁判官と代理人弁護士の方々へ……橋本英史
裁判手続のIT化のこれから・
市民にとって利用しやすい裁判とは(下)
──日弁連主催・第29回司法シンポジウム
「民事裁判手続のIT化とこれからの司法」
第4部 パネルディスカッション(後半)
■判決録
<民事> 7件
◆記 事◆
海外判例研究──第13回──
・憲法
BLM運動で暴徒化したデモが警察官にケガを負わせた事件につき、デモの主催者が民事上の損害賠償責任を負うかどうかが争われた事例――マケッソン判決……大林啓吾
アリゾナ州の選挙規制(投票区規制と集票規制)が投票権法に違反するかどうかが争われた事例――ブルノビッチ判決……大林啓吾
・民法
インターネット上の取引における売買契約の成立をめぐる事件……胡 光輝
原告が前所有者から中古車を購入したとしても、被告において、交通事故が発生した州において種々の方法で自社製の車の販売促進活動をしている以上、被告と当該州との間に管轄を認めるに足りる接触があるといえるから、当該州の裁判所は、交通事故による損害賠償請求訴訟につき人的管轄権を有するとされた事例……ダン ローゼン・西口 元
・消費者法
消費者がローン契約における不公正な条項に基づいて支払った金額の返還請求権に対する期間制限の妥当性……カライスコス アントニオス
・刑法
疼痛緩和を意図した鎮痛剤投与における推定的同意の総合評価……神馬幸一
店舗において回収しデポジット返金を済ませたペットボトルを、再度のデポジット返金を目的として盗む行為と窃盗罪の成否……仲道祐樹
講話 民事裁判実務の要諦(5)
──裁判官と代理人弁護士の方々へ……橋本英史
◆特 集◆
裁判手続のIT化のこれから・市民にとって利用しやすい裁判とは(下)
──日弁連主催・第29回司法シンポジウム
「民事裁判手続のIT化とこれからの司法」第4部 パネルディスカッション(後半)
◆判決録細目◆
民 事
◎担保不動産競売の債務者が免責許可の決定を受け、同競売の基礎となった担保権の被担保債権が前記決定の効力を受ける場合における、当該債務者の相続人の民事執行法188条において準用する同法68条にいう「債務者」該当性
(最一決令3・6・21)
○テレビジョン受信機に日本放送協会の放送に係る電波のみを減衰する機器を取り付けた場合であっても、当該機器を取り外したり、又は当該機能を働かせなくさせたりすることにより、放送を受信することのできる状態にすることができるときには、当該受信機設置者は放送法64条1項に規定する受信設備を設置した者に当たるとした事例
(東京高判令3・2・24〈参考原審:東京地判令2・6・26〉)
○1 個人事業主とリース会社とのソフトウェアのリース契約について、特定商取引に関する法律に基づくクーリング・オフによる契約解除の主張が排斥された事例
2 前記リース契約に基づくリース料請求が信義則に基づき7割に制限されるとされた事例
(大阪高判令3・2・16〈参考原審:京都地判令2・7・17〉)
▽「一切の遺言を全部撤回する」旨の遺言公正証書が遺言能力を欠く状態で作成されたとして、無効とされた事例
(東京地判令3・3・31)
▽弁護士会が所属弁護士に対してした業務停止1月の懲戒処分が違法であったとして、国家賠償法に基づく損害賠償請求が認容された事例
(東京地判令3・1・26)
▽無痛分娩のための腰椎麻酔における注意義務違反により母親が重篤な後遺障害を負い、胎児が重篤な後遺障害を負って約6年後に死亡した事案につき、債務不履行により医療法人に対し総額約3億円の賠償支払が命じられた事例
(京都地判令3・3・26)
▽1 放送法遵守義務確認訴訟は裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たるが、確認の利益を欠くとして却下された事例
2 受信者らの放送法4条違反等の損害賠償請求は理由がないとして請求が棄却された事例
(奈良地判令2・11・12)