判例時報 No.2506・2507(春季合併号)
2022年3月11・21日 号 定価:1700円
(本体価格:1545円+10%税)
◎新連載
統治構造において司法権が果たすべき役割 第3部
(1)同性婚認容判決と司法部の立ち位置
──司法積極主義の足音は聞こえてくるのか?……千葉勝美
(2)比較衡量/総合的考慮論と審査基準論……小山 剛
講話 民事裁判実務の要諦(3)
──裁判官と代理人弁護士の方々へ……橋本英史
コロナ禍社会における法的諸問題(20)
ワクチン接種義務化をめぐる司法判断
──アメリカの事例……大林啓吾
■判決録
<行政> 3件
<民事> 4件
<商事> 1件
<知的財産権> 1件
<刑事> 1件
◆記 事◆
統治構造において司法権が果たすべき役割 第3部
(1)同性婚認容判決と司法部の立ち位置
──司法積極主義の足音は聞こえてくるのか?……千葉勝美
(2)比較衡量/総合的考慮論と審査基準論……小山 剛
講話 民事裁判実務の要諦(3)
──裁判官と代理人弁護士の方々へ……橋本英史
コロナ禍社会における法的諸問題(20)
ワクチン接種義務化をめぐる司法判断──アメリカの事例……大林啓吾
◆判決録細目◆
行 政
◎1 沖縄県漁業調整規則(昭和47年沖縄県規則第143号。令和2年沖縄県規則第53号による改正前のもの)41条1項に基づく水産動植物の採捕に係る許可に関する県知事の判断と地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるもの
2 沖縄県漁業調整規則(昭和47年沖縄県規則第143号。令和2年沖縄県規則第53号による改正前のもの)41条に基づく水産動植物の採捕に係る許可の申請について、県知事において審査基準にいう申請内容の必要性を認めることができないと判断したことが裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると認められた事例
(最三判令3・7・6)
◎被災者生活再建支援法に基づき被災者生活再建支援金の支給決定をした被災者生活再建支援法人が支給要件の認定に誤りがあることを理由として当該決定を取り消すことができるとされた事例
(最二判令3・6・4)
▽生活扶助の基準生活費の減額をその内容に含む「生活保護法による保護の基準」(昭和38年厚生省告示第158号)の改定が生活保護法3条及び8条2項の規定に違反するとされた事例
(大阪地判令3・2・22)
民 事
▽経鼻チューブが咽頭部内でトグロを巻き、その先端が胃に届かない状態で食道内に留置され、そのまま栄養剤等が注入されたため、患者が誤嚥性肺炎によって死亡したことにつき、医師に過失があったとされた事例
(大阪地判令3・2・17)
▽ 原告らに対して優生保護法(平成8年法律第105号による改正前のもの)に基づく優生手術が実施された事案において、同法4条ないし13条は、子を産み育てるか否かの意思決定をする自由及び意思に反して身体への侵襲を受けない自由を侵害し、合理的な根拠のない差別的な取扱いをするものであり、明らかに憲法13条、14条に違反して違憲であるとしたうえで、国会議員による前記各規定の立法行為は国家賠償法上違法であるが、原告らは、優生手術の実施から20年が経過した後に提訴しており、損害賠償請求権は、除斥期間の経過によって消滅し、本件の事実関係の下において、除斥期間の規定の適用を制限するのは相当ではないとした事例
(大阪地判令2・11・30)
▽染料・顔料の中間体を製造する工場で乾燥工程に従事していた労働者が発がん性物質であるオルト‒トルイジンにばく露し膀胱がんを発症したことについて、使用者の安全配慮義務違反による債務不履行責任が認められた事例
(福井地判3・5・11)
▽業務委託契約に基づき県から犬猫の譲渡推進事業を委託された団体(権利能力なき社団)の活動にボランティアとして参加していた女性が、同契約に係る譲渡動物として同団体に引き渡され飼養されていた犬に咬みつかれて右手親指の指尖部切断等の傷害を負い、右手親指爪甲の変形及び指尖部の軽度知覚低下を後遺した事故について、犬の占有者である県と保管者である団体代表者の責任が認められた事例
(宮崎地判令3・1・13)
商 事
▽1人しかいない監査役によって任期途中にされた報酬増額決定を有効とし、同増額決定に善管注意義務違反があるとはいえないとした上、正当な理由なく解任されたとして、同監査役の未払報酬請求及び損害賠償請求を一部認容した事例
(千葉地判令3・1・28)
知的財産権
○名称を「チューブ状ひも本体を備えたひも」とする発明に係る特許権の共有者の1人が特許法73条2項の「別段の定」に反して同発明の実施品を日本において製造販売したことが特許権侵害に当たるとして、他の共有者からの特許権侵害に基づく損害賠償請求及び差止請求等が認められた事例
(知財高判令2・11・30〈参考中間審:知財高中間判平30・12・26、参考原審:東京地判平29・3・29〉)
刑 事
▽特殊詐欺の受け子から指示役の指示内容や行動状況の報告を受け、詐欺グループの上位者と思われる人物に報告するなどした被告人につき、正犯意思を否定して共同正犯の成立を認めず、無罪とした事例
(名古屋地判令1・12・9)