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判例時報 No.2503
             2022年2月11日 号 定価:850円 (本体価格:773円+10%税)

特集 夫婦別姓問題の行方
 ⑵2021年大法廷決定の行間……大河内美紀
 ⑶開かれた24条論に向けて……志田陽子
 
講話 民事裁判実務の要諦(2)
 ──裁判官と代理人弁護士の方々へ……橋本英史
 
共犯論をめぐる近時の裁判例について
 第1回 中立的行為による幇助をめぐる近時の
 裁判例について……小林憲太郎
 
情報をめぐる現代の法的課題⑺
 デジタル政策とプライバシー保護……宮下 紘
 
■判決録
<民事> 7件
<労働> 1件
<刑事> 2件


◆記 事◆

特集 夫婦別姓問題の行方
 ⑵2021年大法廷決定の行間……大河内美紀
 ⑶開かれた24条論に向けて……志田陽子

講話 民事裁判実務の要諦(2)
 ──裁判官と代理人弁護士の方々へ……橋本英史

共犯論をめぐる近時の裁判例について
 第1回 中立的行為による幇助をめぐる近時の裁判例について……小林憲太郎

情報をめぐる現代の法的課題⑺
 デジタル政策とプライバシー保護……宮下 紘

◆判決録細目◆

民 事

◎民事訴訟法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分が含まれる外国裁判所の判決に係る債権について弁済がされた場合に、その弁済が前記部分に係る債権に充当されたものとして前記判決についての執行判決をすることの可否

(最三判令3・5・25)

○遺言者が一切の財産を抗告人(長男)に相続させ、その相続の負担として、原審申立人(二男)の生活を援助するものと定めた遺言について、原審申立人が、遺言者の死亡後、「原審申立人の生活を援助する」義務を負ったのにこれを履行していないとして、前記遺言の取消しを求めた事案において、原審はこれを認め、前記遺言を取り消したが、抗告審においては、抗告人に「原審申立人の生活を援助すること」、すなわち、少なくとも月額3万円を援助する義務があることを認めた一方で、前記遺言の文言が抽象的であり、その解釈が容易でないこと、抗告人は今後も一切義務の履行を拒絶しているものではなく、義務の内容が定まれば履行する意思があることなどを考慮すると、抗告人の責めに帰することができないやむを得ない事情があり、前記遺言を取り消すことが遺言者の意思にかなうものともいえないとして、原審を取り消し、本件申立てを却下した事例

(仙台高決令2・6・11〈参考原審:福島家いわき支審令2・1・16〉)

○青空駐車場内の公道との出入口付近において発生した、駐車動作として後退中の自動車と公道から進入後停止中の後続自動車との衝突事故について、駐車場内の事故についての過失相殺率の標準的認定基準を適用すべきでないとされた事例

(東京高判令3・2・10〈参考原々審:浜松簡判令1・9・25、参考原審:静岡地判令2・3・12〉)

▽継続的に売買取引がなされていた場合において、売主である事業者が、その取引期間中に、買主の判断能力が相当程度低下している事実を認識し、又は容易に認識し得たものと認められるときには、前記事業者は、社会通念に照らし、信義則上、当該買主との取引を一旦中断すべき注意義務を負うとし、事業者に一定の損害賠償責任を認めた事例

(東京地判令2・1・29)

▽原告と被告との間において遺産分割未了の確認等をした調停調書が作成されている場合、遺産分割協議の不存在の確認を求める訴えは、同一事項を再度確認することを求める訴えとなるが、前記の調停成立後にも、同調停の効力自体を否定して遺産分割協議を拒否する被告の言動に照らし、同調停で決着したはずの遺産分割協議の有無をめぐる前提問題が再度蒸し返されて、後日予想される家裁の遺産分割手続が膠着する事態を防止する実益があるとして、確認の利益が認められた事例

(東京地判令2・12・17)

▽1 民事訴訟における主張立証活動は事実の公表を目的とする行為ではないが、訴訟記録が閲覧可能な状態に置かれることなどにより、結果的に公表と同様の効果をもたらすことがあるため、プライバシーの侵害の成否が問題となり得るところ、このような場面では、その事実を公表されない法的利益と当該主張立証活動に係る法的利益とを比較衡量し、前者が後者に優越する場合に不法行為が成立するとされた事例
2 個人情報に係る事実を公表されない法的利益と民事訴訟における立証活動に係る法的利益とを比較衡量した結果、直ちに前者が後者に優越するとまでは認められないとして、不法行為の成立が否定された事例

(横浜地判令2・12・11)

▽ソリリスを投与中の患者が髄膜炎菌感染症に罹患し症状が急激に悪化して死亡したことについて、担当医に高熱、嘔吐等の症状から髄膜炎菌感染症を疑って速やかに抗菌薬を投与すべき義務を怠った過失があった等として、損害賠償責任を認めた事例

(京都地判令3・2・17)

労 働

◎民法上の配偶者が中小企業退職金共済法14条1項1号にいう配偶者に当たらない場合

(最一判令3・3・25)

刑 事

○あおり運転をして普通乗用車を被害車両(二輪車)に追突させて、被害者を車両もろとも転倒させるなどして死亡させた事案につき、殺人罪の成立を認めて、被告人を懲役16年に処した原判決を是認した事例

(大阪高判令1・9・11〈参考原審:大阪地堺支判平31・1・25〉)

▽保護処分歴のない少年が店舗で書籍等を2回にわたり万引きした窃盗保護事件で、経緯を踏まえると軽微な事案と評価することは相当ではなく、問題性が広がりを見せつつあり、資質面の課題が非行と強く関係し、根深いこと等を指摘し、第1種少年院送致とした事例

(東京家決令3・2・9)

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