判例時報 No.2486
2021年8月21日 号 定価:850円
(本体価格:773円+10%税)
政教分離訴訟の新たな展開
──孔子廟違憲判決②孔子廟違憲判決を受けて
──原告代理人による論稿……德永信一
■判決録
<行政> 2件
<民事> 4件
<労働> 1件
<刑事> 1件
◆最高裁判例要旨(2021(令3)年3月分)
◆記 事◆
政教分離訴訟の新たな展開
──孔子廟違憲判決②孔子廟違憲判決を受けて
──原告代理人による論稿……德永信一
◆判決録細目◆
行 政
○県知事が、公有水面埋立法2条1項に基づく埋立免許を受けた電力会社からの同免許に係る工事竣功期間伸長等の許可申請に対する許否の判断を留保したことについて、同判断留保には違法性が認められず、判断留保中にされた公金の支出も違法とはいえないとされた事例
(広島高判令2・1・22〈参考原審:山口地判平30・7・11〉)
▽双極性障害により厚生労働大臣から障害等級3級の状態に該当するとして同級の障害厚生年金を支給する旨の処分を受けた原告が、自身の状態は少なくとも障害等級2級に該当する程度であったとして、前記処分の取消しを求めた事案において、裁判所が原告の生活状況、傷病の治療、病状の経過、精神鑑定を踏まえ、原告の障害が障害等級2級に該当すると判断し、前記処分を取り消した事例
(大阪地判令2・6・3)
民 事
○1 ヴィジュアル系ロックバンドとしてグループ名を冠して実演活動をしていた構成員らには、当該グループ名を使用することについて、各人に人格権に基づくパブリシティ権があるとした事例
2 ヴィジュアル系ロックバンドとして実演活動をしていた構成員らが、音楽事務所との間で、実演活動上のグループ名でマネージメントの専属契約を締結していた場合において、当該契約が終了した後には、当該事務所には、当該グループ名の利用権がないとした事例
(東京高決令2・7・10〈参考原審:東京地決令1・10・9〉)
○夜間に漁港の岸壁から自動車が海中に転落して運転者が死亡した事故につき、急激かつ偶然な外来の事故とは認められないとした原審の判断が維持された事例
(東京高判令2・7・15〈参考原審:静岡地判平31・1・23本誌2447号41頁〉)
○民法750条及び戸籍法74条1号の各規定は憲法14条1項、24条、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約又は市民的及び政治的権利に関する国際規約に違反するものではなく、国会が前記各規定を改廃して選択的夫婦別氏制を導入しない立法不作為は国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
(広島高判令2・9・16〈参考原審:広島地判令1・9・19本誌2450=2451号102頁〉)
▽くも膜下出血のため大学病院に入院していた患者が、入院中に低酸素脳症をきたしていわゆる植物状態になり、その後に死亡したことについて、看護師に生体情報モニタのアラーム設定の確認が不十分であった過失があるとされた事例
(東京地判令2・6・4)
労 働
▽取締役の従業員(労働者)該当性
(東京地判令2・3・11)
刑 事
○1 殺人被告事件において、覚醒剤精神病に罹患し、妄想や幻聴のあった被告人の行為について、心神耗弱を認定した原判決を破棄して、心神喪失による無罪を言い渡した事例
2 責任能力の判断基準である行動制御能力について、犯行を行わないでいることができる能力であることを明示して、原判決の判断に事実誤認があるとした事例
(東京高判平31・4・24〈参考原審:東京地立川支判平30・9・13〉)
◆最高裁判例要旨(2021(令3)年3月分)