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判例時報 No.2435*
             2020年4月21日 号 定価:850円 (本体価格:773円+10%税)

最高裁刑事破棄判決等の実情
 ──平成30年度──……蛭田円香
 
統治構造において司法権が果たすべき役割 第2部(7)
 「部分社会の法理」と司法権の限界……木下智史
 
現代型取引をめぐる裁判例(451)……升田 純
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 4件
<労働> 2件
<刑事> 1件


◆記 事◆

最高裁刑事破棄判決等の実情
 ──平成30年度──……蛭田円香

統治構造において司法権が果たすべき役割 第2部(7)
 「部分社会の法理」と司法権の限界……木下智史

現代型取引をめぐる裁判例(451)……升田 純

◆判決録細目◆

行 政

▽道路の占用料を道路敷地の固定資産税及び都市計画税の額と同額と定めた当該占用料の納入告知が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法となるとされた事例

(大阪地判令1・7・31)

民 事

◎債権執行における差押えによる請求債権の消滅時効の中断の効力が生ずるためにその債務者が当該差押えを了知し得る状態に置かれることの要否

(最一判令1・9・19)

▽自動車保険契約の申込みの際に、被保険車両の主たる運転者でも、被保険車両を支配、使用する者でもない者を記名被保険者として告知した行為が、詐欺(民法96条1項)に当たるとして、詐欺取消しが認められた事例

(大阪地判令1・5・22)

▽天然石や薬草等を混ぜて焼結させた加工アクセサリーを天珠と称し宗教的効果等があるなどとして、一般消費者に高額で購入させ、さらにそれを清める儀式である浄化と称する機会を設けて来店に誘い、さらに同類商品を6回にわたり高額で購入させた販売店長等の販売行為等について、実質的に暴利行為、目的を隠匿しての勧誘行為、長時間にわたる勧誘行為として不法行為に該当し、それらの各行為を販売会社が組織的に反復継続して行ったものとして、販売会社に使用者責任を認めた事例

(大阪地堺支判令1・5・27)

▽胃がん等の手術を受けたことのある患者が、転院先の病院で、内視鏡的逆行性胆膵管造影(ERCP)及び内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)の処置を受けた後、入院中に痰詰まりにより一時心肺停止になり低酸素性脳症に陥り、3年余り後に敗血症で死亡したことについて、前記病院の担当医師らに施術適応性判断の過誤、手技及び救命措置の不手際、施術に関する説明義務違反などの過失がないとされた事例(反訴請求事件)

(広島地判平29・9・15)

労 働

◎有期労働契約を締結していた労働者が労働契約上の地位の確認等を求める訴訟において、契約期間の満了により当該契約の終了の効果が発生するか否かを判断せずに請求を認容した原審の判断に違法があるとされた事例

(最一判令1・11・7)

○1 就業規則と異なる労働条件である出来高払制の合意をしたとの会社側の主張が排斥された事例
2 労働者に対するパワーハラスメントが認められるとして、事実上の取締役の不法行為責任及び会社の会社法350条の類推適用による責任が肯定された事例

(福岡高判平31・3・26〈参考原審:福岡地判平30・9・14本誌2413=2414号195頁〉)

刑 事

○1 警察官である被告人が、内偵捜査中に、捜査対象者であった被害者から不審者として問い詰められて身体や衣服をつかまれるなどしたので、その拘束から逃れるために、衣服をつかまれたままの状態で勢いよく自己の身体を反転させる暴行を加え、被害者に傷害を負わせた行為につき、正当防衛の成立を認めた原判決を支持し控訴を棄却した事例
2 私服警察官による適法な内偵捜査であることを知らない私人が当該警察官を不審者として警察に引き渡す目的で逮捕した場合、現行犯逮捕としての違法性阻却事由が認められないとしても、「相当な範囲での若干の引き留め行為」である限り、社会的正当行為として許容される場合のあることを判示した事例

(東京高判平31・3・1〈参考原審:千葉地判平30・6・29掲載〉)

※訂正箇所

●本誌52頁・3段・7行目

誤 …民執法155条7項
正 …民執法145条7項

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