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判例時報 No.2400
             2019年5月21日 号 定価:845円 (本体価格:768円+10%税)

現代型取引をめぐる裁判例(442)……升田 純
 
岐路に立つ裁判官(19)
 今市事件控訴審判決
 ――自白をもって自白を補強することについて……福崎伸一郎
 
■判決録
<民事> 3件
<商事> 1件
<労働> 1件
<刑事> 2件


◆記 事◆

現代型取引をめぐる裁判例(442)……升田 純

岐路に立つ裁判官(19)
 今市事件控訴審判決
 ――自白をもって自白を補強することについて……福崎伸一郎

◆判決録細目◆

民 事

○救急搬送された患者が退院後に死亡した事件につき、救急病院の医師にCT検査等を実施すべき義務違反があったと認めた事例

(東京高判平30・3・28〈参考原審:横浜地判平29・6・8掲載〉)

▽一 文部科学大臣が、外国人学校である朝鮮中高級学校の高級部について、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則(平成二五年文部科学省令第三号による改正前のもの。以下、「本件省令」という)一条一項二号ハの規定による指定をしない処分をしたことが、同校の在学生に対する関係で、国家賠償法上違法とは認められないとされた事例
二 本件省令一条一項二号ハの規定による指定について、朝鮮中高級学校を設置する準学校法人がした申請の審査に約二年三か月を要したことが、同校の在学生であった者との関係で、国家賠償法上違法とは認められないとされた事例
三 本件省令一条一項二号ハの規定を削除する省令を制定した文部科学大臣の行為が、朝鮮中高級学校の高級部の在学生であった者の権利利益を侵害するとは認められないとされた事例

(名古屋地判平30・4・27)

▽①市の非常勤職員がNPO法人の会計報告に関して行った誤った指示により、同NPO法人が決算報告書の作成を誤った、②市長による市議会での答弁が名誉毀損に当たる、として、同NPO法人の理事である原告が、国家賠償法上の損害賠償を求めたのに対し、いずれも違法性を否定して棄却した事例

(津地判平30・5・10)

商 事

▽法人である売主の瑕疵担保責任につき民法五七二条及び商法五二六条三項の適用が問題となった場合、法人の善意・悪意を判断するに当たっては、売買契約時点の法人の代表者・代理人に限らず、当該法律行為の意思決定に重要な影響を及ぼした者の主観的態様をも考慮するのが相当であるとし、売主が悪意であったと認めた事例

(東京地判平29・10・27)

労 働

◎一 郵便関連業務に従事する期間雇用社員について満六五歳に達した日以後は有期労働契約を更新しない旨の就業規則の定めが労働契約法七条にいう合理的な労働条件を定めるものであるとされた事例
二 郵政民営化法に基づき設立されて日本郵政公社の業務等を承継した株式会社がその設立時に定めた就業規則により同公社当時の労働条件を変更したものとはいえないとされた事例
三 期間雇用社員に係る有期労働契約が雇止めの時点において実質的に期間の定めのない労働契約と同視し得る状態にあったということはできないとされた事例

(最二判平30・9・14)

刑 事

▽一 被告人に対する放火等被告事件について、警察官が被告人とは別の人物Aの逮捕に向けてAの所在確認のために設置していたビデオカメラにより、被告人方前の公道及び被告人方玄関を長期間にわたり撮影していたことはプライバシー侵害の程度が高く任意捜査として相当と認められる範囲を逸脱した違法なものであったとしたうえで、違法の重大性および将来における違法捜査抑止の必要性を肯定して、ビデオ撮影による写真等の証拠能力を否定した事例(①事件)
二 被告人に対する犯人蔵匿被告事件について、被告人が偽名で宿泊したという旅館業法違反の嫌疑により警察官が被告人の居住の事実を確認するために設置していたビデオカメラにより、被告人の居室玄関ドア付近と共用廊下を長期間にわたりビデオ撮影していたことは任意捜査として適法であったとし、そのビデオ映像から得た蔵匿された犯人の静止画像等の証拠能力を肯定した事例(②事件)

(①さいたま地判平30・5・10、②大阪地判平30・4・27)

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