判例時報 No.2396*
平成31年4月11日 号 定価:845円
(本体価格:768円+10%税)
◎新連載
民法理論のいま
──実務への架橋という課題(1)……近江幸治
供述評価をめぐる心理学者と裁判官のディスコミュニケーション
──何が、何故ずれるのか……山本登志哉・石塚章夫
可視化法の法理と「取調べ観」の転換
(主に弁護人立会について)(上)……小坂井久・中西祐一
■書評
清永 聡 著 『家庭裁判所物語』
評者 大塚正之
■判決録
<行政> 1件
<民事> 4件
<労働> 2件
<刑事> 2件
◆記 事◆
民法理論のいま
──実務への架橋という課題(1)……近江幸治
供述評価をめぐる心理学者と裁判官のディスコミュニケーション
──何が、何故ずれるのか……山本登志哉・石塚章夫
可視化法の法理と「取調べ観」の転換(主に弁護人立会について)(上)……小坂井久・中西祐一
◆書 評◆
清永 聡 著 『家庭裁判所物語』(日本評論社、2018年)
評者……大塚正之
◆判決録細目◆
行 政
▽生活保護法六三条に基づく保護費の返還決定について、処分行政庁の返還額の判断が保護の実施機関に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとは認められないとし、また、処分に係る通知書の記載は行政手続法一四条一項本文の理由の提示として欠けるところはないとして、被保護者による処分取消請求を棄却した事例
(東京地判平29・9・21)
民 事
▽法定相続人である執行債務者らの一人による相続放棄の申述が家庭裁判所に受理されたとしても、第三者異議の訴え等の民事執行法上の救済手続においてその有効性が確定されない限り、強制競売手続による執行債務者らの共有不動産売却代金のうち相続放棄をした者の登記上の持分に対応する剰余金を交付されるべき「債務者」は、当該相続放棄者であるとされた事例
▽否認権保全のための処分禁止の仮処分決定が取り消された事例
(大阪地決平29・11・29)
▽子と施設(老人ホーム)に入居する両親との面会の妨害を禁止する仮処分決定に対する異議申立てについて、原決定を認可した事例
(横浜地決平30・7・20)
▽一 東日本大震災に伴う津波によって市民が死亡したことにつき、市長が広報車や公民館への無線を利用して避難広報等を行わなかったことが権限不行使として国家賠償法一条一項の適用上違法であるとはいえないとされた事例
二 地震で混入した異物が原因で市が設置した防災行政無線が故障し、避難広報の音声が市民に伝わらなかったことにつき、防災行政無線の故障を予見することは困難であるという事情の下においては、公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったとはいえないとされた事例
(仙台地判平30・3・30)
労 働
◎公立高等学校の教職員が卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱を命ずる旨の職務命令に違反したことを理由として、教育委員会が再任用職員等の選考において右教職員を不合格としたこと等が、裁量権の範囲を超え又はこれを濫用したものとして違法であるとはいえないとされた事例
(最一判平30・7・19)
○小学校教諭が休日に地域の防災訓練に参加するための移動中、担任する児童宅に忘れ物を届けた際、飼育されている犬に咬まれた災害について、公務遂行性が認められた事例
(東京高判平30・2・28〈参考原審:甲府地判平29・9・12掲載〉)
刑 事
○家出や無断外泊を繰り返しながら家内盗やさい銭盗を繰り返したことを内容とするぐ犯保護事件及び強制わいせつ保護事件において少年を第一種少年院に送致した決定に対する抗告につき、本件ぐ犯及び非行の悪質性はいずれもさほど高くないとの判断を前提に、少年の非行性が直ちに施設内における矯正教育を必要とするような深刻なものであるとは認められず、少年に対して、在宅処遇の可能性を十分に検討すべきであるのに、これをせずに直ちに少年を第一種少年院に送致した原決定の処分が著しく不当であるとして、原決定を取り消し、差し戻した事例
(東京高決平30・1・19)
○弁護人が提出した証拠を確定記録中の全記録と併せて総合評価した結果、事件本人が犯人であると認めた確定判決における事実認定について合理的な疑いを生じず、弁護人が提出した証拠はいずれも明白性が認められないとして再審請求を棄却した原決定を維持し、即時抗告を棄却した事例
──飯塚事件再審即時抗告審決定
(福岡高決平30・2・6〈参考原審:福岡地決平26・3・31掲載〉)
※訂正箇所
●本誌60頁・3段・5行目
誤 …本号後掲九
正 …本号後掲六六
●本誌144頁・1段・著者名
誤 …清水聡
正 …清永聡