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判例時報 No.2379*
             平成30年10月21日 号 定価:845円 (本体価格:768円+10%税)

海外判例研究──第六回──
 大林啓吾 胡 光輝 ダン ローゼン・西口 元
 佐藤拓磨 仲道祐樹 緑 大輔
 
終末期医療を考える(3)
 比較法的観点から見た終末期医療の
 立法化・ルール化の動向と課題……甲斐克則
 
現代型取引をめぐる裁判例(435)……升田 純
 
■判決録
<行政> 2件
<民事> 9件


◆記 事◆

海外判例研究──第六回──
・憲法
 ケーキ屋が同性カップルにウェディングケーキの販売を拒否したことに対して、コロラド州の人権委員会が差別に当たるとして是正命令を求めたことがケーキ屋の信教の自由を侵害するとした事例──マスターピースケーキショップ判決
 トランプ大統領の入国禁止令が合憲・合法とされた事例──トランプ対ハワイ対決……大林啓吾
・民法
 消費者権益保護法により懲罰的損害賠償を認容した事例……胡 光輝
・民事訴訟法
 「事件・争訟性」(case and controversy)があるとして、クラス・アクションが認められた事例……ダン ローゼン・西口 元
・刑法
 デモ行進での侮辱的表現について侮辱罪を認めた事例……佐藤拓磨
 他人のコンピューターを利用したビットコインのマイニング ─可罰性と収奪の可否……仲道祐樹
・刑事訴訟法
 携帯電話会社基地局に蓄積された被疑者の位置情報履歴を捜査機関が無令状で取得した行為が違憲と判断された事例……緑 大輔

終末期医療を考える(3)
 比較法的観点から見た終末期医療の立法化・ルール化の動向と課題……甲斐克則

現代型取引をめぐる裁判例(435)……升田 純

◆判決録細目◆

行 政

○地方公共団体に勧告の義務があることの確認を求める公法上の当事者訴訟が確認の利益を有しないとされた事例

(東京高判平29・12・7〈参考原審:横浜地判平29・6・28掲載〉)

○被控訴人が、大阪市情報公開条例に基づき、大阪市長に対し、同市長と控訴人の職員がいわゆる庁内メールを利用して一対一で送受信した電子メールのうち、控訴人において公文書として取り扱っていないもの(プリントアウトしたものを含め送受信者以外の職員に保有されていないもの)の公開を請求したのに対し、同文書は、二人の間の送受信にとどまるものであり、組織共用の実態を備えていないから大阪市情報公開条例二条二項の公文書には該当しないことを理由としてこれを公開しないとした大阪市長の決定が違法であるとされた事例

(大阪高判平29・9・22〈参考原審:大阪地判平28・9・9掲載〉)

民 事

○第三者が医師に対して交付した患者の病状に関する資料について、患者とその家族や関係者との間の人間関係を悪化させるおそれがあることを理由に、個人情報の保護に関する法律二五条一項一号(平成二七年法律第六五号による改正前のもの)の「第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合」に当たるとして、病院が患者に対して開示しないことが相当であるとされた事例

(東京高判平29・8・31〈参考原審:東京地判平29・4・19掲載〉)

○料金プランの名称がデータ量無制限を示唆する無線データ通信サービスの消費者契約について、通信制限に関する広告及び説明が重要事項の不実の告知に当たるとして、消費者契約法四条一項による取消しが認められた事例

(東京高判平30・4・18〈参考原審:東京地判平29・6・21掲載〉)

○自筆証書遺言の有効性の判断に当たり、四つの途切れたファイルが合成された動画の実質的証拠力について、動画に顕れた被撮影者(被相続人)の言動、遺言書や動画の保管状況及びこれに関する撮影者の説明の合理性その他諸般の事情を総合して判断すべきであるとした事例

(東京高判平29・3・22〈参考原審:東京地判平28・4・7掲載〉)

○ワンセグ機能付き携帯電話を所持する者は、放送法六四条一項本文の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に該当し、また、ワンセグ機能付き携帯電話は、同項ただし書の「放送の受信を目的としない受信設備」には該当しないから、日本放送協会との間で、受信契約を締結する義務を負う(①②③事件)

(①東京高判平30・3・26、
 ②東京高判平30・3・22〈参考原審:千葉地松戸支判平29・9・15掲載〉、
 ③東京高判平30・3・22〈参考原審:水戸地判平29・5・25掲載〉)

〇骨髄移植手術を受けた患者が脳梗塞を発症して死亡した場合に、免疫抑制剤を過剰投与した看護師に過失があるが、右過失と脳梗塞の発症との間に因果関係はないとして、病院側の責任が否定された事例

(大阪高判平29・2・9〈参考原審:和歌山地判平28・3・29掲載〉)

▽民事訴訟、家事調停の代理人弁護士が、相手方の弁護士につき、弁護士法違反、弁護士倫理違反等がある旨の発言や準備書面の記載等をしたことが名誉毀損に当たるとされた事例

(東京地判平29・9・27)

▽一 交通事故の被害者である原告が低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)の発症を主張したが、これを認めなかった事例
二 低髄液圧症候群の発症は認められないが、原告の頚部痛等の症状は、他の一般的な交通外傷の事例に鑑みれば重いとして交通事故発生から約一年後に症状固定に至ったと判断した事例

(横浜地判平29・10・12)

※訂正箇所

●本誌129頁・4段・注7の3行目
 誤 …Curie
 正 …Curiae

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