判例時報 No.2356(別冊・総索引付)
平成30年3月1日 号 定価:2098円
(本体価格:1907円+10%税)
<最新判例批評>
玉蟲由樹 山本敬生 白石 大
羽生香織 大久保拓也
刑法判例と実務
──第二七回 共同正犯の諸問題(下)──……小林憲太郎
■判例特報
東京電力福島第一原発事故福島訴訟(生業訴訟)第一審判決
(福島地判平29・10・10)
■判決録
<民事> 1件
◆記 事◆
刑法判例と実務
──第二七回 共同正犯の諸問題(下)──……小林憲太郎
◆判例特報◆
一 福島第一原発事故により汚染された土地の放射線量を事故前の値に戻すことを求める訴えが、請求の特定性を欠き不適法であるとして却下された事例
二 福島第一原発事故による将来の精神的損害の賠償を求める訴えが、将来請求としての適格性を欠き不適法であるとして却下された事例
三 電気事業法(平成一四年法律第六五号による改正前のもの)四〇条に基づく技術基準適合命令は、基本設計の変更に及び得る
四 韓国、中国、フィリピン及びウクライナとの間で国家賠償に関する相互の保証が認められた事例
五 福島第一原発事故に関し、電気事業法(平成一四年法律第六五号による改正前のもの)四〇条に基づき技術基準適合命令を発する経済産業大臣の規制権限の不行使につき、国の国家賠償法一条一項に基づく責任が認められた事例
六 原子力損害の賠償に関する法律は一般不法行為責任の規定の適用を排除しており、原子力事業者は、原子力損害につき一般不法行為に基づく責任を負わない
七 福島第一原発事故に関し、平穏生活権侵害による損害の賠償が認められた事例
八 福島第一原発事故に関し、国の負うべき賠償額は原子力事業者の負うべき賠償額の二分の一であるとされた事例
――東京電力福島第一原発事故福島訴訟(生業訴訟) 第一審判決(福島地判平29・10・10)
民 事
○電子マネーサービスを提供する事業者には、同サービスの不正利用を防止するために登録会員が採るべき措置について適切に約款等で規定し、それを周知する注意義務があるとした上、それを怠ったとして事業者に不法行為責任を認めた事例
(東京高判平29・1・18〈参考原審:東京地判平28・8・30掲載〉)
判例評論
五二 義援金不正疑惑を追及する文書・活動による名誉毀損と「正当な意見・論評」
(仙台高判平28・12・7)……玉蟲由樹
五三 長崎市への原爆投下時に爆心地から一二キロメートルの範囲内ではあるものの、いわゆる被爆未指定地域で生活等していた者の一部が被爆者援護法一条三号所定の「身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」に該当するとされた事例―被爆者健康手帳交付等請求事件第一審判決
(長崎地判平28・2・22)……山本敬生
五四 抵当権の登記がある不動産の買主が民法五七七条一項前段に基づく代金支払拒絶をしたのに対し、同項後段に基づく抵当権消滅請求をすべき旨の売主の請求は認めなかったが、民法五七八条に基づく売主の供託請求を認め、代金の供託と不動産の引渡しは同時履行の関係に立つとした事例
(大阪地判平28・7・27)……白石 大
五五 共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は遺産分割の対象となるか
(最大決平28・12・19)……羽生香織
五六 非公開会社における提訴期間を徒過した新株発行無効の訴えが信義則上適法とされた事例
(名古屋地判平28・9・30)……大久保拓也