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判例時報 No.2274*
             平成28年1月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 木村草太 友岡史仁 岡田洋一 工藤敏隆 三村淳一

◎新連載
刑法判例と実務
 ──第一回 刑罰の目的──……小林憲太郎

■判決録
<行政> 1件
<民事> 9件
<知的財産権> 1件
<商事> 1件
<刑事> 1件


◆記 事◆

刑法判例と実務 ──第一回 刑罰の目的──……小林憲太郎

◆判決録細目◆

行 政

▽一 刑事訴訟法三九条一項にいう「被疑者」の該当性につき、犯罪の嫌疑や捜査機関の捜査行為、検察官の処分等に係る事実に照らし客観的に判断すべきであり、捜査機関が、特定の者に対する具体的な犯罪の嫌疑に基づいて、取調べ等の具体的な捜査行為を開始した時点において当該者は「被疑者」に当たるとされた事例(積極)
二 拘置所に死刑確定者として収容されている者と弁護士との間の刑事訴訟法三九条一項に基づく接見を、当該収容者が「被疑者」に当たらないことを理由に認めなかった拘置所長の措置が、国家賠償法上違法とされた事例

(名古屋地判平26・8・28)

民 事

○被相続人との生前の交流の程度に鑑みると、申立人を特別縁故者と認めることはできないとされた事例

(東京高決平26・1・15)

○被相続人もと所有の土地取得費用の負担を認め、相続人(抗告人)に寄与分を肯定した事例

(大阪高決平27・3・6)

○カラオケ店舗と共に同店舗の駐車場として賃貸された土地についての更新拒絶が権利の濫用に当たるとされた事例

(福岡高判平27・8・27)

▽弁護士の依頼者に対する遺留分減殺請求権行使の助言・確認義務違反、消滅時効の可能性の助言・説明義務違反、仮処分の担保の説明義務違反による債務不履行責任が認められた事例

(東京地判平27・3・25)

▽マンション管理組合の会計担当理事の長年にわたる管理費等の着服横領につき、理事長、会計担当役員の善管注意義務違反による損害賠償が認められた事例

(東京地判平27・3・30)

▽投資経験のない個人の短期間多数回にわたる商品先物取引について、事業者の断定的判断の提供、説明義務違反、新規委託者保護義務違反等が否定された事例

(東京地判平27・3・25)

▽弁護士が事務員を解雇した際における侮辱的発言に係る不法行為が認められた事例

(東京地判平27・3・11)

▽MRSAの感染が判明し、その後に真正多血症と診断された患者が、担当医師にはMRSAの感染防止措置を怠った過失、真正多血症の診断・精査義務を怠った過失があるとして医療機関に対して提起した損害賠償請求が棄却された事例

(広島地判平27・4・21)

▽別居中の夫婦間の婚姻費用分担について、夫に借金があることは婚姻費用分担額を左右するものとはならないとし、二女の私立大学の学費分担も含めて、夫の婚姻費用分担額が算定された事例

(東京家審平27・6・26)

知的財産権

○発明の着想を提供したにとどまる者であっても共同発明者であると認定した事例

(知的財産高判平27・6・24)

商 事

▽取締役の任期変更の定款変更により取締役から退任させられたことにつき、会社法三三九条二項の類推適用により、定款が変更された日から本来の任期の満了日までの得べかりし取締役報酬相当額の損害賠償を認めた事例

(東京地判平27・6・29)

刑 事

▽被害者に自殺させる態様の保険金殺人、加害目的略取、略取・監禁等において、首謀者に対し従属的な立場で関与した者に関する共謀の成否・正犯性、および、従属的な共同正犯者に関する量刑

──尼崎連続殺人事件地裁判決

(神戸地判平27・3・18)

判例評論

一 東京都議会議員選挙の選挙区及び選挙区ごとの議員定数に関する条例が適法・合憲とされた事例
(最一判平27・1・15)……木村草太

二 一般乗用旅客自動車運送事業者(タクシー事業者)による乗務距離最高限度を超過したことに伴う自動車使用停止等処分の差止めおよび公法上の法律関係に関する確認の訴えが認容された事例
(名古屋高判平26・5・30)……友岡史仁

三  一 確定判決により干拓地の潮受堤防の排水門を開放すべき義務を負った者が第三者の申立てに基づく仮処分決定により右排水門を開放してはならない旨の義務を負ったという事情がある場合における右確定判決に基づく間接強制決定の許否(①事件)

二 仮処分決定により干拓地の潮受堤防の排水門を開放してはならない旨の義務を負った者が第三者の提起した訴訟の確定判決により右排水門を開放すべき義務を負っているという事情がある場合における右仮処分決定に基づく間接強制決定の許否(②事件)
(①・②最二決平27・1・22)……岡田洋一

四 不動産強制競売の期間入札において、執行官が無効な入札をした者を最高価買受申出人と定めたとして売却不許可決定がされ、これが確定した場合に、当初の入札までの手続を前提に再度の開札期日を開くこととした執行裁判所の判断に違法がないとされた事例
(最三決平26・11・4)……工藤敏隆

五 訂正の再抗弁の主張に際し、これに対応した訂正請求又は訂正審判請求を行うことが可能である場合には、原則として、これを行ったうえで、訂正の再抗弁を行う必要があると判断した事例──共焦点分光分析控訴審判決

(知的財産高判平26・9・17)……三村淳一

※訂正箇所

●本誌148頁・評論2頁・情報欄3行目
 誤 …判時二二五一号五四頁
 正 …判時二二五一号二八頁

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