判例時報 No.2253
平成27年6月1日 号 定価:1466円
(本体価格:1333円+10%税)
<最新判例批評>
谷口勢津夫 石森久広 川上拓一 橋本陽子 諏訪野大
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谷口勢津夫 石森久広 川上拓一 橋本陽子 諏訪野大
◆判決録細目◆
○拘置所の職員が被収容者の旧姓及び名前を他の被収容者に漏洩したことは違法であるとして、国の損害賠償責任を認めた事例
◎不動産強制競売事件の期間入札において,執行官が無効な入札をした者を最高価買受申出人と定めたとして売却不許可決定がされ,これが確定した場合に,当初の入札までの手続を前提に再度の開札期日を開くこととした執行裁判所の判断に違法がないとされた事例
○指定暴力団から脱退を試みていた組員が自動車運転中脱退妨害をしようとする幹部の車両に衝突され、警察官に保護を求めた場合において、警察官として暴力団の威力を背景とした威迫行為による脱退妨害を予見できたのに、事情聴取室で幹部と面会をさせたことを違法として損害賠償を認めた原判決が控訴審判決で維持された事例
▽コンビニのフランチャイザーが建物を賃借する予定でその所有者と手付契約を締結し、建物の特別仕様工事等が行われた後におけるフランチャイザーの手付放棄、契約締結の拒絶が不法行為に当たらないとされた事例
▽「幸福の科学学園」に関する週刊新潮の記事について、名誉毀損を理由とする不法行為の成立が否定された事例
▽プロ野球球団を経営する会社の取締役が記者会見を行い、球団、親会社等を批判し、秘密事項を公表した場合、取締役の善管注意義務違反、名誉・信用毀損による損害賠償責任が肯定された事例
▽マンション建替組合による建替えに参加する回答をしなかった区分所有者に対する売渡請求が有効であるとし、区分所有権等の時価を算定した事例
▽発明の名称を「流量制御弁」とする特許権の侵害及び原告らが誹謗中傷行為をしている旨を記載した文書を被告らが取引先へ送付したこと等が不正競争防止法二条一項一四号所定の不正競争行為に該当する旨の主張が認容された事例
◎職場における性的な内容の発言等によるセクシュアル・ハラスメント等を理由としてされた懲戒処分が懲戒権を濫用したものとはいえず有効であるとされた事例
◎検察官の執行指揮に基づく納付告知及び督促があったときの訴訟費用負担の裁判の執行に関する異議申立ての許否
二六 英国領バミューダ諸島の法律に基づいて組成された事業体である「リミテッド・パートナーシップ」の我が国の法人税法上の納税義務者該当性
二七 タクシー増車の認可申請を、新規の輸送需要が見込めないこと等を理由に却下した運輸支局長の処分が、違法ではないとされた事例
二八 覚せい剤を密輸入した事件について、被告人の故意を認めながら共謀を認めずに無罪とした第一審判決には事実誤認があるとした原判決に、刑訴法三八二条の解釈適用の誤りはないとされた事例
二九 準社員に対する雇止めとパートタイム労働法八条一項(現九条)違反の成否――ニヤクコーポレーション事件
三〇 高層ビルを中心にした複合商業施設に所在する緑地、散策路などで構成された庭園内に「希望の壁」と称する工作物を設置することが、庭園の著作物の同一性保持権を侵害するとした当該工作物の設置工事続行禁止仮処分申立てが却下された事例