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判例時報 No.2238
             平成27年1月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 嵩さやか 伊藤栄寿 大山和寿 仲道祐樹 川崎友巳
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 6件
<知的財産権> 1件
<商事> 1件
<労働> 1件


◆判決録細目◆

行 政

○本邦において出生し、裁決時に満七歳で小学校在学中であった子、裁決時までに約一七年間(父)及び約一五年間本邦に在留していた両親を含むペルー国籍の外国人家族四名に対し、在留特別許可を付与しないでされた出入国管理及び難民認定法四九条一項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決には裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があって違法であるとして、同裁決及びこれに基づく退去強制令書発付処分が取り消された事例

(大阪高判平25・12・20)

民 事

◎借地借家法三二条一項の規定に基づく賃料増減請求により増減された賃料額の確認を求める訴訟の確定判決の既判力

(最一判平26・9・25)

〇投資関連の債権回収のための示談折衝事務及び内容証明の作成事務を受任した弁護士において、詐欺案件として扱わず、債務者に債務承認書を作成させ、任意の支払を求める方法を選択したことは、弁護士の裁量の範囲であり、一部しか債権を回収できなかったとしても善管注意義務違反には当たらないとされた事例

(東京高判平25・12・16)

○死刑確定者の信書の発信を許可しないことは違法であるとして、国の損害賠償責任が認められた事例

(大阪高判平26・1・16)

▽重度の心身障害者のための終生介護サービス付の施設につき締結された親と施設の運営者との間の終生利用契約が公序良俗に反せず、錯誤、詐欺にも当たらないとされた事例

(東京地判平26・6・24)

▽外国で製造・輸入された化成肥料を購入し、これを原料として花き・緑化用肥料を製造、販売したところ、施肥した植物に生育障害が発生した事故について、原料の売主の買主に対する不完全履行による債務不履行責任が肯定された事例

(東京地判平26・7・15)

▽医療法人経営の病院で、全身麻酔の下で腰椎椎弓切除の手術を受けたが、医師らが術後管理を怠ったため、患者が低酸素性脳症を発症し植物人間となった事故につき、患者及びその家族の医療法人、医師らに対する損害賠償請求が認容された事例

(宮崎地判平26・7・2)

知的財産権

○ファッションショーにおけるモデルの化粧、衣服の選択、動作等の著作物性及び実演該当性が否定された事例

(知的財産高判平26・8・28)

商 事

○火災保険の目的物である建物についての火災が、保険契約者の故意により生じたものであることが推認されるとして、保険金支払について免責が肯定された事例

(仙台高判平25・12・17)

労 働

▽一 賃金の支払名目や金額につき変更が繰り返されたケースにおいて、労働者であるXらとY1社との間で成立した賃金に関する合意内容が、雇用契約書、賃金規則、変更された経緯や情況等から認定判断された事例
二 時間外割増賃金を支払わず放置したことに違法性を認め、不法行為に基づく未払割増賃金相当損害金の請求が認容された事例
三 不当労働行為の意思及び債務免脱目的により違法にY1社を解散しXらを解雇する一方、Y1社と実質上同一会社であるY2社を存続させてY1社の事業を継続したのは、法人格の濫用であるとして、Y2社がY1社と別人格であることを主張することは信義則上許されないとさ
れた事例
四 赤字経営改善に向けた対策を何ら講じず、高額の役員報酬を受給し続けた上、会社財産を私的に費消し続けた行為、並びに、不当労働行為の意思及び債務免脱の目的によりY1社及びY2社を解散しXらを解雇した行為につき、Y3の取締役責任について、悪意又は重大な過失による任務懈怠を認めたが、任務懈怠と相当因果関係が認められる損害は、Y両社の残余財産から回収可能であった額の限度で認めるにとどまるとされた事例

(名古屋地一宮支判平26・4・11)

◆最高裁判例要旨(平成二六年一〇月分)

判例評論

一  遺族補償年金の受給にあたり夫にのみ年齢要件を付加していることは憲法一四条一項に違反し無効であるとされた事例

(大阪地判平25・11・25)……嵩さやか

二  縦割式区分所有建物の敷地が分有されている場合の敷地権利関係

(東京地判平25・8・22)……伊藤栄寿

三  貸金債権の信託譲渡を受けた受託者に対して、債務者は過払金の返還を請求できないとされた事例

(大阪高判25・7・19)……大山和寿

四  監禁罪と強制わいせつ罪との罪数関係および強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪との罪数関係

(東京高判平24・11・1)……仲道祐樹

五  上場企業の合併や増資の検討に関する事前報道等の存在をもって、株券買付け前に重要事実の公表があったものとはいえず、インサイダー取引の成立が肯定された事例

(東京地判平25・6・28)……川崎友巳

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