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判例時報 No.2235
             平成26年12月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 木藤 茂 後藤光男 和田宗久 大内伸哉 葛野尋之
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 7件
<知的財産権> 1件
<労働> 1件
<刑事> 2件


◆判決録細目◆

行 政

○一 英国領バミューダ諸島の法律に基づいて組成された事業体である「リミテッド・パートナーシップ」はパートナー間の契約関係を本質として、その事業の損益をパートナーに直接帰属させることを目的とするもので、我が国の法人と同様に損益の帰属すべき主体として設立が認められたものといえないとして、我が国の租税法上の「法人」には該当しないとされた事例
二 英国領バミューダ諸島の法律に基づいて組成された事業体である「リミテッド・パートナーシップ」は民法上の組合に類似した組織形成、運営等がされることを予定したもので、団体としての組織を備え、意思決定において多数決の原則が行われているとはいえない等として、我が国の租税法上の「人格のない社団等」には該当しないとされた事例

(東京高判平26・2・5)

民 事

◎夫と民法七七二条により嫡出の推定を受ける子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであるなどの事情がある場合における親子関係不存在確認の訴えの許否(①、②事件)

(①、②最一判平26・7・17)

○金融公庫の職員がうつ病に罹患して自殺した場合、業務と自殺との間の相当因果関係が否定され、公庫の損害賠償責任が認められなかった事例

(大阪高判平26・7・17)

○債権の送金先変更契約は詐害行為の対象となるとして、その取消請求が認められた事例

(高松高判平26・1・23)

▽一 韓国法人の他に、当該韓国法人の日本法人も売買契約の当事者であるとされた事例
二 売買代金額について、買主が価格交渉において主張した金額の限度で合意が成立したとされた事例
三 産業機械を新規に開発した上で引き渡すことを内容とする売買契約上の債務の履行不能につき、危険負担の債務者主義が適用された事例

(東京地判平26・1・22)

▽緊急走行中のパトカーが追跡していた車両に追突した交通事故について、パトカーに自賠法三条ただし書の免責が認められた事例

(東京地判平26・2・4)

▽販売会社従業員の勧誘行為により締結されたリース契約について、リース会社の不法行為責任が否定された事例

(大阪地判平26・4・25)

知的財産権

▽薬剤分包用ロールペーパの分包紙が費消された後に残った芯管を回収し、それに分包紙を巻き直して薬剤分包用ロールペーパを製造販売した被告の行為について、原告の特許権は消尽していないとして、原告の請求が一部認容された事例

(大阪地判平26・1・16)

労 働

▽労働組合のストライキの差止めを求める仮処分申立てが不法行為に該当するとされた事例

(津地判平26・2・28)

刑 事

○死刑判決に対する再審開始決定において死刑及び拘置の執行が停止された事例(①事件)並びに同拘置の執行停止決定に対する検察官からの抗告が棄却された事例(②事件)――袴田事件第二次再審請求審決定

(①静岡地決平26・3・27、②東京高決平26・3・28)


◆最高裁判例要旨(平成二六年九月分)

判例評論

八一 町の事業計画への協力要請に応じて民間会社が買収した土地につき、町長の交代により施策が変更されたことを受けて会社が町に買取りを求めた場合に、町がこれを拒否しても不法行為には当たらないとされた事例

(福岡高宮崎支判平25・11・29)……木藤 茂

八二 旧日本電信電話公社共済組合を引き継いだ年金基金が退職に際して退職一時金を受給していた元組合員に対して制度改正を理由にその間の複利計算による利子相当額を加えた金額の返還を求めたところ、利子の利率を年五・五%などと定めた政令は無効であるとして利子相当額の請求部分が棄却された事例

(東京高判平25・9・26)……後藤光男

八三 金融商品取引法二一条の二に基づく発行会社の投資家に対する損害賠償責任――アーバンコーポレイション事件最高裁判決

(最二判平24・12・21)……和田宗久

八四 大阪西公共職業安定所長事件

(福岡高判平25・2・28)……大内伸哉

八五 公判前整理手続における被告人・弁護人の主張明示義務と自己に不利益な供述の強要

(最一決平25・3・18)……葛野尋之

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