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判例時報 No.2233
             平成26年11月11日 号 定価:845円 (本体価格:768円+10%税)

■判決録
<行政> 1件
<民事> 5件
<知的財産権> 1件
<労働> 1件


◆記 事◆

現代型取引をめぐる裁判例 (359)……升田 純

◆判例特報◆

一 水俣病の認定基準として、メチル水銀の曝露経験を有し、その曝露の程度が高度であると認められる者であって、四肢末端優位の感覚障害を初めとするメチル水銀中毒症を示唆する症候が認められ、その症候が他の疾患に起因すると考えられない場合については、水俣病に罹患していると判断するのが相当であるとされた事例
二 食品衛生法に基づく規制権限の不行使を理由とする国及び熊本県に対する国家賠償法一条一項に基づく損害賠償請求が認められなかった事例
三 水俣病罹患による損害額の算定事例
四 小児水俣病患者の損害賠償請求権に係る除斥期間の起算点について、①非脳性麻痺型(非重症型)においては客観的に後天性水俣病の主要症候を発症した時点、②脳性麻痺型(重症型)においては、主要症候が相当程度増悪し、又は重い合併症を発症したことに基づく損害につき、増悪又は発症の時点とされた事例
五 被告が原告らの損害賠償請求権について消滅時効の援用をすることは、権利の濫用に当たり許されないとされた事例
 ――水俣病被害者互助会訴訟第一審判決(熊本地判平26・3・31)

◆判決録細目◆

行 政

○横浜市空き缶等及び吸い殻等の散乱の防止等に関する条例(平成七年九月二五日横浜市条例第四六号)の趣旨、目的等からすれば、同条例に基づく喫煙禁止地区内での路上喫煙に対する過料を科すためには、違反者に少なくとも過失が必要であるとした上で、その過失が肯定された事例

(東京高判平26・6・26)

民 事

◎再生債務者が支払の停止の前に再生債権者から購入した投資信託受益権に係る再生債権者の再生債務者に対する解約金の支払債務の負担が、民事再生法九三条二項二号にいう「前に生じた原因」に基づく場合に当たらず、上記支払債務に係る債権を受働債権とする相殺が許されないとされた事例

(最一判平26・6・5)

○ツイッターに投稿された記事によって名誉が毀損されたと主張する者から、IPアドレスの保有者に対する発信者情報の開示が認められた事例

(東京高判平26・5・28)

〇市の斎場建設のための土地の購入及び補償金の支払について、市長に裁量権の逸脱又は濫用があったとして、市長の不法行為責任が認められた事例

(名古屋高判平26・6・6)

▽鉄道高架橋のブロック片落下事故によって頭部を受傷した者が、相当期間経過後に知的障害及び高次脳機能障害等が発生したとして、事故時から二六年以上経過した後に提起した損害賠償請求訴訟において、民法七二四条に基づく時効消滅及び除斥期間経過の主張が排斥された事例

(東京地判平26・4・14)

▽東日本大震災後に発生した市道の陥没に車両が転落し損傷した事故につき、市に市道の管理の瑕疵はないとして、市に対する国家賠償請求が棄却された事例

(福島地郡山支判平26・6・20)

知的財産権

○原告らの代理人である弁理士らにされた拒絶査定の謄本のオンライン送達が、代理人弁理士の意思能力の欠如等により無効であるとして、請求期間経過を理由に拒絶査定不服審判請求を却下した審決が取り消された事例

(知的財産高判平25・3・25)

労 働

▽保冷荷物を配送するトラック運転手の待機時間が労働基準法上の労働時間に当たるとされた事例

(横浜地相模原支判平26・4・24)

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