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判例時報 No.2229
             平成26年10月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 徳本広孝 駒林良則 田中孝和 平川幸彦
 平野 晋 小原将照 渡辺咲子 土本武司
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 7件
<知的財産権> 2件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆判決録細目◆

行 政

▽建築基準法五六条の二に定める中高層建築物の日影規制に関し、建築基準法施行令一三五条の一二第一項一号の緩和措置を適用する場合の解釈として、閉鎖方式を採用し、発散方式に基づく建築確認が違法とされた事例

(さいたま地判平26・3・19)

民 事

◎民事再生法上の共益債権に当たる債権につき、これが本来共益債権である旨の付記をすることもなく再生債権として届出がされ、この届出を前提として作成された再生計画案を決議に付する旨の決定がされた場合において、当該債権を再生手続によらずに行使することの許否

(最一判平25・11・21)

○銀行が共同相続人の一人による貯金の払戻請求を拒否したことが不法行為に当たらないとされた事例

(東京高判平26・4・24)

○熟慮期間の起算日を抗告人らが被相続人の債務の存在を認識した日であるとして、相続放棄の申述を却下した原審判を取り消して、相続放棄の申述が受理された事例

(東京高決平26・3・27)

○債務名義を有する債権者の不動産に対する仮差押えについて保全の必要性が認められた事例

(大阪高決平26・3・3)

▽車両の貸与に係る業務委託契約につき委託者の解除が認められ、民法六五一条二項による委託者の損害賠償責任が肯定された事例

(東京地判平26・2・5)

▽交通事故の被害者の求めにより、将来の介護費等について定期金賠償の方法による賠償が命じられた事例

(福岡地判平25・7・4)

▽宅地造成事業により造成された道路及び宅地が陥没し住民が転居を余儀なくされた事故につき、開発許可を行い右道路を管理する市の国家賠償法二条に基づく損害賠償責任及び土地を販売した業者の説明義務違反に基づく損害賠償責任が認められた事例

(津地判平26・3・6)

知的財産権

○発明の名称を「特定Fcεレセプターのための免疫グロブリン変異体」とする特許権の存続期間延長登録出願に関し、医薬品製造販売承認の対象となった医薬品は、当該特許権の特許発明に係る抗体には該当せず、当該特許発明の実施に医薬品製造販売承認を受けることが必要であったとはいえないという理由で、拒絶査定不服審判請求を不成立とする審決がなされたところ、この審決が取り消された事例

(知的財産高判平25・9・30)

○Xが製造・販売するディスクパブリッシャー制御用のプログラムについて、Yの有するプログラム著作権の侵害に該当せず、Yの営業秘密の不正使用にも該当しないとして、著作権法一一二条一項及び不正競争防止法三条一項に基づくXプログラムの製造、販売に対する差止請求権の不存在確認請求が認容された事例

(知的財産高判平26・3・12)

労 働

○派遣労働者の派遣先におけるセクシュアル・ハラスメント被害について、派遣元(会社)において、派遣就業が適正に行われるよう配慮すべき義務の違反があったとして、派遣労働者の派遣元に対する慰謝料請求が認められた事例

(大阪高判平25・12・20)

刑 事

◎一 同一被害者に対し一定の期間内に反復累行された一連の暴行によって種々の傷害を負わせた事実について、包括一罪とされた事例
二 包括一罪を構成する一連の暴行による傷害について、訴因の特定に欠けるところはないとされた事例

(最一決平26・3・17)

判例評論

六六 神奈川県議会の四つの会派が平成一五年度から平成一七年度までの間に交付された政務調査費の一部を条例に定める使途基準に違反して目的外支出したため県に対し合計約二億三七〇〇万円の不当利得返還義務を負ったとされ、これらの会派に対し返還請求をするよう県知事が命じられた住民訴訟の事例

(横浜地判平25・6・19)……徳本広孝

六七 普通地方公共団体の長が補助金の支出をする旨の債務負担行為を専決処分した場合に、当該専決処分が地方自治法一七九条一項の要件を欠き違法であるとされた事例

(東京高判平25・8・29)……駒林良則

六八 土地収用法九四条に基づく収用委員会の裁決に対する取消訴訟

(最二判平25・10・25)……田中孝和

六九 独占禁止法上の課徴金債権が会社更生法の更生計画認可の決定により免責されるかどうかにかかわらず、公正取引委員会は課徴金納付命令を命ずることができるとされた事例

(東京高判平25・5・17)……平川幸彦

七〇 適正維持・通常使用中にエンジンが著しく出力低下し落着した自衛隊ヘリコプターの製造物責任訴訟に於いて、具体的な欠陥の主張立証がなくても足りるとされた事例――「危険な誤作動・異常事故」に於ける欠陥等の推認

(東京高判平25・2・13)……平野 晋

七一 民訴法二六〇条二項の申立てに係る請求権の破産債権該当性と係属中の訴訟手続の取扱い

(最一判平25・7・18)……小原将照

七二 偽計による自白の任意性とこの自白に基づく捜索によって押収された覚せい剤の証拠能力をいずれも否定した事例

(東京高判平25・7・23)……渡辺咲子

七三 少年につき禁錮以上の刑に当たる罪として少年法二〇条一項の送致を受けた事件をそれと事実の同一性が認められる罰金以下の刑に当たる罪の事件として公訴提起することの可否

(最一判平26・1・20)……土本武司

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