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判例時報 No.2217
             平成26年6月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 井上禎男 中舎寛樹 田岡絵理子 谷本圭子
 大久保邦彦 加藤 幹 山田泰弘 只木 誠
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 6件
<知的財産権> 1件
<商事> 1件
<労働> 1件


◆判決録細目◆

行 政

○足立区長が「足立区反社会的団体の規制に関する条例」に基づく報告がないとして宗教団体に対してした五万円の過料処分につき、制裁をもって報告を強制する以上、区や区長は、その施設の所在地を同区のホームページで公表されることによる犯罪行為の誘発等に対する当該団体の懸念を解消、緩和するよう合理的で納得性の高い説明を尽くす必要があるのに、十分な説明もないままなされた違法なものであるとして、取り消された事例

(東京高判平25・10・31)

民 事

○河川災害復旧工事用地として買収された土地について被相続人の占有が他主占有であっても、相続人の自主占有による時効取得が認められた事例

(大阪高判平25・11・12)

○公立中学校の生徒が校舎内の廊下で同級生に手を引っ張られて転倒し負傷した事故につき、廊下に瑕疵があったとして学校側の損害賠償責任が認められた事例

(福岡高判平25・12・5)

▽縦割式(棟割式)区分所有建物の各専有部分の所有者が、各専有部分の存する土地を分有する場合に、他の所有者の専有部分の存する土地の占有権原を有するか否かについて判示された事例

(東京地判平25・8・22)

▽我が国の裁判権を排除しアメリカ合衆国ネヴァダ州裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所と指定する国際的専属的裁判管轄の合意は有効に成立しているとして我が国の裁判所に提起した訴えが却下された事例

(東京地判平26・1・14)

▽東日本大震災の津波により銀行支店の屋上に避難していた行員等が死亡する等した場合について、銀行の安全配慮義務違反が認められなかった事例

(仙台地判平26・2・25)

▽刑務所内の炊場における刑務作業に従事した受刑者の左足受傷と後遺症の発生につき、刑務所職員らに過失があるとして国の国家賠償責任が認められた事例

(前橋地判平25・12・13)

知的財産権

▽一 「スターデンタル」の文字から成る商標と「赤坂スターデンタルクリニック」の文字から成る標章の類否が判断された事例
二 商標法三二条一項における周知性が否定された事例
三 商標法二六条一項一号の「普通に用いられる方法」に当たらないとされた事例

(東京地判平25・11・21)

商 事

〇建物の火災保険金請求につき、本件火災が被保険者又はその意を通じた者の故意により発生したものと推認されるとして、保険会社の免責を認め請求棄却とした一審判決が維持された事例

(東京高判平25・12・18)

労 働

▽一 地公法適用組合員と労組法適用組合員とにより構成される混合組合である補助参加人は、労組法適用組合員に関する問題について、労組法七条各号の別を問わず、救済命令の申立人適格を有するとされた事例
二 原告が本件各団交申入れを拒否したことが、正当な理由のない団体交渉拒否(労組法七条二号)に当たるとされた事例

(東京地判平25・10・21)

◆最高裁判例要旨(平成二六年三月分)

判例評論

三八 全国消費実態調査の調査票情報を記録した準文書が民訴法二三一条において準用する同法二二〇条四号ロ所定のいわゆる公務秘密文書に当たるとされた事例

(最三決平25・4・19)……井上禎男

三九 反社会的勢力を主債務者とする信用保証協会の保証契約と要素の錯誤(否定)

(東京地判平25・4・24)……中舎寛樹

四〇 一 厚生年金基金から私募不動産ファンド特化型の単独運用指定金銭信託を受託した運用受託機関につき、当該厚生年金基金の基金資産全体に対する分散投資についての助言義務及びそれに基づく受託拒絶義務がいずれも否定された事例

 二 厚生年金基金から私募不動産ファンド特化型の単独運用指定金銭信託を受託した運用受託機関につき、当該厚生年金基金に対する私募不動産ファンドに関するレバレッジリスクの説明義務が否定された事例
(大阪地判平25・3・29)……田岡絵理子

四一 継続的な金銭消費貸借取引に係る基本契約が過払金充当合意を含む場合における、過払金について発生した民法七〇四条前段所定の利息を新たな借入金債務に充当することの可否及びその充当方法

(最一判平25・4・11)……谷本圭子

四二 マンションの居住者が建物使用細則に違反して飼育されていた大型犬に咬まれ負傷した結果、その居住する専有部分の賃貸借契約が合意解除された場合において、賃貸人から大型犬の飼育者に対する賃料収入の逸失利益に関する損害賠償請求が一部認容された事例

(東京高判平25・10・10)……大久保邦彦

四三 一 「物の生産」というためには、供給を受けた物を素材として、これに何らかの手を加えることが必要であり、素材の本来の用途に従って使用するにすぎない行為は「物の生産」に含まれないとされた事例

 二 複数の有効成分を「組み合わせてなる…医薬」を構成要件とする特許発明について、各薬剤の併用を処方する行為や、各薬剤を併せとりまとめる行為、各薬剤を併用服用する行為は「その物の生産」に該当しないとされた事例
(大阪地判平24・9・27)……加藤 幹

四四 会社法八四七条所定の者以外の者に対する株主代表訴訟

(仙台高判平24・12・27)……山田泰弘

四五 一 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的でした営業中の銀行支店出張所への立入りと建造物侵入罪の成否

 二 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を、一般の利用客を装い相当時間にわたって占拠し続けた行為が、偽計業務妨害罪に当たるとされた事例
(最一決平19・7・2)……只木 誠

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