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判例時報 No.2211
             平成26年4月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 人見 剛 田村泰俊 松本克美 田中英司
 水津太郎 松田岳士 土本武司
 
■判決録
<行政> 2件
<民事> 6件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆判例特報◆

 死刑確定者又はその再審請求のために選任された弁護人が再審請求に向けた打合せをするために刑事施設の職員の立会いのない面会の申出をした場合にこれを許さない刑事施設の長の措置が国家賠償法一条一項の適用上違法となる場合

(最三判平25・12・10)

◆判決録細目◆

行 政

○先行の住民訴訟において村の嘱託員に支払われた諸手当が地方自治法に違反するとして村長個人に七五六万円余の損害賠償を請求するよう命じられたところ、村議会が村の村長個人に対する右損害賠償債権の放棄を議決するなどしたため、村民らが新たに村議会の右議決の違法確認等を求めた住民訴訟において、これを違法とした第一審判決を取り消して、請求が棄却された事例――檜原村債権放棄議決事件控訴審判決

(東京高判平25・8・8)

▽一 金融商品取引法に基づく外務員登録取消処分の取消しの訴えについて、当該外務員に原告適格が認められた事例
二 証券会社の外務員であった者が、同社の顧客が転換社債発行に係る臨時報告書等を提出するに当たって、重要な事項を開示しないよう働きかけたことを理由にされた外務員登録取消処分が適法とされた事例

(東京地判平25・2・19)

民 事

○旧日本電信電話公社共済組合を引き継いだ年金基金が退職に際して退職一時金を受給していた元組合員に対して制度改正を理由にその間の複利計算による利子相当額を加えた金額の返還を求めたところ、利子の利率を年五・五%などと定めた政令は無効であるとして利子相当額の請求部分が棄却された事例

(東京高判平25・9・26)

▽銀行が共同相続人の一人による貯金の払戻請求を拒否したことが不法行為に当たらないとされた事例

(東京地判平25・10・29)

▽公海上を航行中のコンテナ船の船倉で貨物の化学物質が高熱を発し、発煙し、海水の注入等によって船体、積荷が損傷した事故について、化学物質の表示・警告の欠陥が否定され、製造業者の製造物責任が否定された事例

(東京地判平25・5・27)

▽登記官が不動産登記法六七条二項により職権でなした登記の更正は、破産法一六四条の権利変動の対抗要件の否認の対象とはならないとして、破産管財人の右否認請求が棄却された事例

(福岡地判平25・10・28)

▽大学の元教授らが、元同大学総長の学術論文にねつ造、改ざんがあるとホームページに掲載したことにつき、元大学総長の求めた、名誉毀損に基づく損害賠償が認容された事例

(仙台地判平25・8・29)

▽県がんセンター所属の麻酔医が上司からの嫌がらせにより手術麻酔の担当指定を外され退職に至ったとして、県に対する国家賠償請求が認容された事例

(千葉地判平25・12・11)

労 働

▽外務省の専門調査員について、国家公務員に該当するとはいえず、国家公務員災害補償法上の補償を受ける地位にないと判断された事例

(東京地判平25・9・30)

刑 事

◎「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」四二条一項三号の同法による医療を行わない旨の決定に対する同法六四条二項の抗告の許否

(最二決平25・12・18)

◆最高裁判例要旨(平成二六年一月分)

判例評論

二三 一 区議会議員が提起した住民訴訟の控訴の提起に係る手数料の印紙代等に充てた政務調査費の支出が、使途基準の定める調査研究費又は他の項目に該当せず、使途基準に適合しないとされた事例

 二 区議会議員が提起した住民訴訟の証拠等にするとして情報公開請求により区長から開示を受けた録音テープの反訳費用及び当該住民訴訟の尋問期日における関係者の証言等の反訳費用に充てた政務調査費の支出が、使途基準の定める資料作成費又は広報費に該当するとみることができ、使途基準に適合しないとはいえないとされた事例
(最二判平25・1・25)……人見 剛

二四 県立高校の卒業式等における国歌斉唱時の教職員の不起立に係る情報の県教育委員会による収集及び利用が県個人情報保護条例に違反しないとされた事例

(東京高判平24・7・18)……田村泰俊

二五 明示的一部請求の訴えの提起と残部の債権に対する消滅時効の中断

(最一判平25・6・6)……松本克美

二六 通行地役権者が承役地の担保不動産競売による買受人に対し地役権設定登記がなくとも通行地役権を主張することができる場合

(最三判平25・2・26)……田中英司

二七 将来債権譲渡後に付された譲渡禁止特約の効力と差押債権者の無効主張適格

(東京地判平24・10・4)……水津太郎

二八 一 前科に係る犯罪事実及び前科以外の他の犯罪事実を被告人と犯人の同一性の間接事実とすることの許否

 二 前科に係る犯罪事実及び前科以外の他の犯罪事実を被告人と犯人の同一性の間接事実とすることが許されないとされた事例
(最一決平25・2・20)……松田岳士

二九 いわゆる「攻防対象論」の適用範囲

(最一決平25・3・5)……土本武司

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