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判例時報 No.2208(別冊・総索引付)
             平成26年3月1日 号 定価:2096円 (本体価格:1905円+10%税)

<最新判例批評>
 朝妻章如 石垣茂光 中村 肇 三枝健治 前田陽一 清水晴生
 
■判決録
<行政> 2件
<民事> 6件
<知的財産権> 1件
<労働> 1件


◆判決録細目◆

行 政

◎土地収用法九四条七項又は八項の規定による収用委員会の裁決の判断内容が損失の補償に関する事項に限られている場合にその名宛人が上記裁決の取消訴訟を提起することの可否

(最二判平25・10・25)

▽本邦に本店のある株式会社の代表取締役が、所得税法(平成一八年法律第一〇号による改正前のもの。)二条一項三号の「居住者」に当たるものの、国内に永住する意思がなく、かつ、現在まで引き続いて五年以下の期間国内に住所又は居所を有している個人であるともいえないとして、同項四号の「非永住者」に該当すると認定された事例

(東京地判平25・5・30)

民 事

○陸上自衛隊の対戦車ヘリコプターの落着事故について、国がエンジンの製造業者に対して製造物責任法三条に基づく損害賠償を請求した事案において、契約当事者間の品質上の瑕疵についての合意が製造物の欠陥についてまで及ぶと解することはできない、製造物責任法三条に基づく請求が信義則に反し許されないと解することはできないとされ、損害賠償請求を認容した原判決に対する控訴が棄却された事例

(東京高判平25・2・13)

○遺言による特別受益不動産の取得につき、被相続人の黙示の持戻免除の意思表示の存在が認められなかった事例

(大阪高決平25・7・26)

○宗教団体幹部の性的暴行等に関する週刊誌の記事について不法行為が成立しないとされた事例

(福岡高判平25・9・26)

▽高齢者が通所介護契約に基づき介護サービスを受けている間、送迎車両から降車しようとし、席を立った際、転倒し、翌日大腿骨頸部骨折が判明した事故につき、介護施設の運営者の安全配慮義務違反が否定されたが、速やかに医師の診察を受けさせる義務違反が肯定された事例

(東京地判平25・5・20)

▽学校法人朝鮮学園を中傷する街頭宣伝がヘイトスピーチ(憎悪表現)に該当し、人種差別撤廃条約に違反する違法性を認め、同学園による損害賠償及び差止請求が認容された事例

(京都地判平25・10・7)

▽市立病院での脳出血に対する開頭血腫除去手術後に敗血症で死亡した事故につき、医師に脳出血に対する処置、感染症に対する処置、血小板減少に対する処置に過失がないとして、遺族の市に対する損害賠償請求が棄却された事例

(岡山地判平25・11・13)

知的財産権

▽一 商標権の侵害判断において建築工事請負と建物の売買は密接な関係があり類似するとされた事例
二 使用許諾契約において建築工事請負において標準採用すべきとされている工法以外の工法を施主に提示してした商標の使用は商標の品質保証機能を害するものであって許諾範囲外であるから商標権侵害を構成するとされた事例

(大阪地判平24・12・13)

労 働

▽鍛造作業に従事していた原告に生じた上肢障害及び腰痛症について、原告が行っていた鍛造作業の実態を踏まえた上で、業務起因性を肯定することができるとして、処分行政庁がした労災補償給付不支給処分が取り消された事例

(東京地判平25・1・16)

◆最高裁判例要旨(平成二五年一二月分)

判例評論

一七 株式保有割合が二五%を超える大会社が財産評価基本通達一八九の(2)にいう株式保有特定会社に該当しないとされた事例

(東京地判平24・3・2)……浅妻章如

一八 一 既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというための要件

 二 時効によって消滅した債権を自働債権とする相殺をするために消滅時効が援用された自働債権がその消滅時効期間経過以前に受働債権と相殺適状にあったことの要否
(最一判平25・2・28)……石垣茂光

一九 ゴルフ場経営を目的とする地上権設定契約及び土地賃貸借契約につき借地借家法一一条の類推適用をする余地はないとされた事例

(最三判平25・1・23)……中村 肇

二〇 金利スワップ取引における銀行の説明義務違反を否定した二つの最高裁判決(①第一小法廷判決、②第三小法廷判決)

(①最一判平25・3・7、②最三判平25・3・26)……三枝健治

二一 建築作業従事者の石綿(アスベスト)被害について国の賠償責任が一部肯定されたが、製造・販売した企業の共同不法行為責任が否定された事例――建設アスベスト東京訴訟第一審判決

(東京地判平24・12・5)……前田陽一

二二 成年後見関係上の横領における親族関係考慮の可否

(最二決平24・10・9)……清水晴生

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