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判例時報 No.2202
             平成26年1月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 榎 透 長瀬威志=門口正人 河野正憲 辰巳直彦
 島田陽一 田山聡美 渡邊卓也 廣瀬健二
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 6件
<知的財産権> 1件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆判決録細目◆

行 政

○一 破産者による納税保証が破産法一六〇条三項所定の無償行為に当たるとして破産管財人の否認権行使が認められた事例
二 附帯請求である法人税還付金に対する還付加算金の算定方法
三 破産者が子会社の滞納国税を納付したとの主張が認められず、破産管財人の破産法一六〇条三項の否認権行使が認められなかった事例

(東京高判平25・7・18)

民 事

○市の設置・管理する歩車道の区別のない片側一車線の市道を原動機付自転車を運転して走行中、同市道の北側に設けられた暗渠化された排水施設の上部を覆うコンクリート部分とこれに接するアスファルトで舗装された部分との間に生じていた段差にハンドルを取られ、路外に設けられたブロック塀に衝突して転倒し傷害を負った場合に、段差の存在は市道の設置管理の瑕疵にあたるとして、国家賠償法二条一項に基づく損害賠償請求が認容された事例(過失相殺二割)

(大阪高判平25・5・30)

〇光市母子殺害事件の死刑囚(犯行時一八歳)が実名で出版物の対象とされ顔写真及び手紙(私信)を公表されたなどとして、著者及び出版元に対して求めた出版差止及び損害賠償請求のいずれも棄却された事例

(広島高判平25・5・30)

▽鳴門産わかめを原藻とする湯通し塩蔵わかめの継続的売買取引において、売主が鳴門産以外のものを使用したことが判明し、買主が商品の廃棄、回収する等した場合につき、売主の売買契約上の債務不履行責任が肯定された事例

(東京地判平25・1・22)

▽大学のラグビー部の選手の育成等の業務を受託した会社の従業員がヘッドコーチからパワーハラスメントを受けたことにつき、大学、監督、ヘッドコーチの不法行為が肯定された事例

(東京地判平25・6・20)

▽在宅介護を受けていた認知症の高齢者が列車に衝突し鉄道会社に損害を与えたことにつき、同人の長男に監督者に代わる監督義務違反があるとして損害賠償責任が認められた事例

(名古屋地判平25・8・9)

▽町立小学校の生徒の自殺をめぐって、担任教諭の指導に違法はないが、学校側に被害者の保護者に対する事故調査・結果報告義務違反があるとして、町及び北海道に対する国家賠償請求が認容された事例

(札幌地判平25・6・3)

知的財産権

▽情報公開法に基づく情報公開請求の対象文書であることと、特許法二九条一項にいう「公然知られた発明」「頒布された刊行物」への該当性(消極)

(大阪地判平24・10・4)

労 働

▽ケーブル敷設工事等(配線図作成、見積・請求等)の業務に従事していた労働者の死亡が過重な業務により精神障害を発病したことによるとして、厚生労働省が平成二三年一二月二六日付けで発出した厚生労働省労働基準局長通達「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(基発一二二六第一号)を参考にした上で、労働者災害補償法に基づく遺族補償給付等の不支給処分が取り消された事例

(東京地判平24・11・28)

刑 事

◎刑法二〇八条の二第一項前段の危険運転致死傷罪の正犯者である職場の後輩がアルコールの影響により正常な運転が困難な状態であることを認識しながら、車両の発進を了解し、同乗して運転を黙認し続けた行為について、同罪の幇助罪が成立するとされた事例

(最三決平25・4・15)

◆最高裁判例要旨(平成二五年一〇月分)

判例評論

一 成年被後見人は選挙権を有しないと定めた公職選挙法一一条一項一号の規定は、憲法一五条一項及び三項、四三条一項並びに四四条ただし書きに違反し無効である――成年被後見人選挙権確認訴訟第一審判決

(東京地判平25・3・14)……榎 透

二 ソブリン・サムライ債に係る債券管理会社による任意的訴訟担当の可否――ソブリン・サムライ債に係る債券管理会社による任意的訴訟担当が否定された事例

(東京地判平25・1・28)……長瀨威志・門口正人

三 普通預金債権のうち差押命令送達時後同送達の日から起算して一年が経過するまでの入金によって生ずることとなる部分を差押債権として表示した債権差押命令の申立てが、差押債権の特定を欠き不適法であるとされた事例

(最三決平24・7・24)……河野正憲

四 職務発明の相当対価請求権の消滅時効と特定時期の実績に基づく補償金支払による時効利益の放棄

(知的財産高判平25・1・31)……辰巳直彦

五 一 懲戒処分の有効性判断と労働契約法

二 精神的不調を抱える従業員の欠勤を無断欠勤としてした諭旨退職処分の有効性判断――日本ヒューレット・パッカード事件
(最二判平24・4・27)……島田陽一

六 他の者を搭乗させる意図を秘し、航空会社の搭乗業務を担当する係員に外国行きの自己に対する搭乗券の交付を請求してその交付を受けた行為が、詐欺罪に当たるとされた事例

(最一決平22・7・29)……田山聡美

七 児童ポルノのURLをウェブページ上で明らかにした行為と児童ポルノ公然陳列罪にいう「公然と陳列した」の意義

(最三決平24・7・9)……渡邊卓也

八 少年法二七条の二第二項による保護処分取消事由である「審判に付すべき事由の存在が認められない」の意義及び同条による保護処分取消申立事件における非行事実認定手続の在り方

(最一決平23・12・19)……廣瀬健二

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