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判例時報 No.2200
             平成25年12月11日 号 定価:838円 (本体価格:762円+10%税)

■判決録
<行政> 2件
<民事> 6件
<知的財産権> 1件
<労働> 1件


◆記 事◆

最高裁刑事破棄判決等の実情(中)――平成二四年度……矢野直邦
現代型取引をめぐる裁判例 (339)……升田 純

◆判決録細目◆

行 政

〇妻から離婚のための手続を受任した弁護士において、①客観的証拠を確認せず妻から事実を聴取したのみの段階で、夫の上司に対し、夫が傷害罪、器物損壊罪を犯したと告げ指導を求めたことは、夫のプライバシーを侵害するとともに名誉・信用を毀損するものであり、②夫の勤務先官庁に対し、夫に傷害・器物損壊の非行があり、その上司には監督責任に係る非行があるとして、懲戒処分を求める書面を提出したことは、両人の名誉・信用を毀損するもので、弁護士としての品位を失うべき非行に当たり、所属弁護士会による業務停止二月の懲戒処分を相当とする判断には、裁量権の逸脱又は濫用はないとされた事例

(東京高判平25・5・8)

▽判決確定に至るまでに約一一年間を費やした住民訴訟に関する地方自治法(平成一四年法律第四号による改正前のもの)二四二条の二第七項にいう「相当と認められる額」について、既に廃止された弁護士報酬等基準に関する報酬規定も斟酌した上で算定された事例

(神戸地尼崎支判平24・12・6)

民 事

◎原審が、壁面に吹き付けられた石綿が露出している建物が通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになった時点を明らかにしないまま、同建物の設置又は保存の瑕疵の有無について判断したことに審理不尽の違法があるとされた事例

(最二判平25・7・12)

〇第三者が所有者から無償で借り隣地建物居住者である暴力団幹部に駐車場として賃貸している競売対象不動産について、買受人が引渡しを受けるために第三者及び暴力団幹部と折衝する蓋然性が高い場合に不動産の価値的な損傷があるとして買受人保護の観点から民事執行法七五条一項の類推適用により売却許可決定が取り消された事例

(東京高決平25・7・12)

○産業廃棄物の埋設された土地の売買契約において、売主の不動産業者である買主に対する説明義務違反の不法行為が認められた事例

(大阪高判平25・7・12)

▽中古住宅と敷地の売買において、倒壊のおそれのある擁壁の存在、ブロック塀の所有権の帰属の不明、隣地への越境の可能性が隠れた瑕疵に該当するとし、売主の瑕疵担保責任が肯定され、不動産仲介業者の越境に関する説明義務違反による債務不履行責任が肯定された事例

(東京地判平25・1・31)

▽一 出産の約二時間後に児に生じた呼吸停止の原因が、出産直後から実施されたカンガルーケア(早期母子接触)に起因する低体温によるものであるとする原告らの主張が排斥された事例
二 出産の約二時間後に児に生じた呼吸停止の原因につき、母親の乳房により窒息した可能性があるとしながら、病院側に授乳の際における児の鼻腔の閉塞による窒息を防止すべき義務があるとはいえないとされた事例
三 被告病院において、一人の母親に一人の助産師等の付添いを義務化することは現実に不可能であったこと、分娩後助産師は分娩室におり、約一時間の間児に格別の異常が見られなかったことから、授乳を開始した上で、分娩の約一時間半後に夜勤への引継ぎのために分娩室から離室したことなど判示の事情の下では、その後もなお医療者による経過観察をすべき義務があったとはいえないとされた事例

(大阪地判平25・9・11)

▽NHKの受信契約を締結せず受信料の支払を拒絶する受信機設置者に対しては、受信契約の締結に応諾する意思表示を命ずる判決を得て、受信契約を締結させた上で受信料の支払を求めることができるとされた事例

(横浜地相模原支判平25・6・27)

知的財産権

○本件発明の属する技術分野及びその特徴、原告従業員Aと被告従業員Bの本件発明に係る技術分野について有する知見の程度及び原告と被告の関係等の諸事情に照らし、原告従業員Aが本件発明の発明者又は共同発明者とはいえないとした審決の認定判断に誤りがないとされた事例

(知的財産高判平25・3・28)

労 働

▽地方公共団体の職員に対して、地方公務員法二八条一項一号(勤務成績不良)及び三号(適格性欠如)に基づいて行われた分限免職処分の実質的理由が、同項二号(心身の故障)に該当することであるとされた上で、当該処分について指定医師の診断を経ていないことを理由として、処分が取り消された事例

(東京地判平24・9・26)

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