最高裁民事破棄判決等の実情（上）――平成二四年度……武藤貴明・岡田幸人

現代型取引をめぐる裁判例 （331）……升田　純

　一　公害健康被害の補償等に関する法律四条二項に基づく水俣病の認定の申請を棄却する処分の取消訴訟における審理及び判断の方法（①事件）
二　公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法三条一項に基づく水俣病の認定の申請を棄却する処分の取消訴訟における審理及び判断の方法（②事件）

　――水俣病認定申請棄却処分取消等請求事件上告審判決（①、②最三判平25・４・16）

○平成二四年一二月に実施された衆議院議員総選挙の小選挙区東京都第二区等における選挙は違法であるが、選挙を無効としないとされた事例

○建物賃貸借契約の更新料支払条項、契約終了後の明渡し遅延による倍額賠償予定条項が消費者契約法九条一号、一〇条に該当しないとし、適格消費者団体の差止請求が棄却された事例

○専有部分である各戸の水道料金について、各区分所有者が支払うべき額や支払方法、特定承継人に対する支払義務の承継を区分所有者を構成員とする管理組合の規約をもって定めることはできず、そのようなことを規約で定めるとその規約は効力を有しないとされた事例

▽債務整理等の処理に関して弁護士に債務不履行責任が認められた事例

▽仕組債を勧誘した証券会社の従業員の説明義務違反による元本が償還されなかった損害の金融商品販売法所定の損害賠償責任が肯定された事例

▽市立小学校六年生の児童が、同級生からいじめられ不登校になったとして、市に対し担任教諭に適切な対応がなかったとして国賠法上の損害賠償を求め、加害児童の親権者に対し監督義務違反による損害賠償を求めた各請求が棄却された事例

○外国法人が商標を付した商品が、日本において独占的販売店を通じて輸入され、国内において取引される場合の取引書類に掲載された商品写真によって、当該外国法人が独占的販売店を通じて日本における商標の使用をしているとされた事例

▽一　「物の生産」というためには、供給を受けた物を素材として、これに何らかの手を加えることが必要であり、素材の本来の用途に従って使用するにすぎない行為は「物の生産」に含まれないとされた事例
二　複数の有効成分を「組み合わせてなる…医薬」を構成要件とする特許発明について、各薬剤の併用を処方する行為や、各薬剤を併せとりまとめる行為、各薬剤を併用服用する行為は「その物の生産」に該当しないとされた事例

○輸入石綿などの積み荷確認作業に従事していた労働者の肺がん発症による死亡について、業務起因性が認められ、遺族補償給付の不支給処分の取消しが認められた事例