判例時報 No.2182
平成25年6月11日 号 定価:838円
(本体価格:762円+10%税)
■特報
北海道石狩市花川東地先内の砂利採取計画不認可処分に対する取消裁定申請事件
(公調委裁定平25・3・11)
■判決録
<行政> 2件
<民事> 6件
<知的財産権> 2件
<商事> 2件
<刑事> 1件
◆記 事◆
シンポジウム(二〇一三年一月二一日)
『法務省検証報告書を検証する』上……日本弁護士連合会
基調報告……阿部泰隆
現代型取引をめぐる裁判例 (327)……升田 純
◆特 報◆
砂利採取法に基づく砂利採取計画の認可に関して北海道が定めた条例等が、同法との関係で別段の規制に当たるものの同法との矛盾抵触はないとして当該条例等を適法とした上で、申請人に対する砂利採取計画不認可処分も適法であるとして取消裁定申請が棄却された事例
――北海道石狩市花川東地先内の砂利採取計画不認可処分に対する取消裁定申請事件(公調委裁定平25・3・11)
◆判決録細目◆
行 政
◎一 区議会議員が区民として提起した住民訴訟の控訴の提起に係る訴訟費用の政務調査費からの支出が、目黒区政務調査費の交付に関する規程(平成一三年目黒区議会告示第一号。平成一八年目黒区議会告示第一号による改正前のもの)五条及び別表の定める使途基準に適合しないとされた事例
二 区議会議員が区民として提起した住民訴訟の証拠及び参考にするとして区長から開示を受けた区の機関の議事に係る録音テープの反訳及び複製の費用並びに当該住民訴訟の尋問期日における関係者の証言及び供述の反訳費用の政務調査費からの支出が、目黒区政務調査費の交付に関する規程(平成一三年目黒区議会告示第一号。平成一八年目黒区議会告示第一号による改正前のもの)五条及び別表の定める使途基準に適合しないとはいえないとされた事例
(最二判平25・1・25)
○医薬品の店舗販売業の許可を受けた者とみなされる既存一般販売業者が、平成一八年法律第六九号による改正後の薬事法の施行に伴い、平成二一年二月六日に改正された薬事法施行規則の規定により、第一類医薬品及び第二類医薬品のインターネット販売等ができなくなったため、当該改正規定が憲法二二条一項に違反するとともに改正後の薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものであり、当該医薬品につき店舗以外の場所にいる者に対する郵便その他の方法による販売をすることができる権利ないし地位があると主張して、国を相手方として提起した権利確認請求訴訟の本案判決が確定するまでの仮の地位を定める仮処分の申請については、同訴訟は実質的当事者訴訟に該当するが、行政事件訴訟法四四条の適用があり、却下すべきである
(東京高決平24・7・25)
民 事
◎一 既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというための要件
二 時効によって消滅した債権を自働債権とする相殺をするために消滅時効が援用された自働債権がその消滅時効期間経過以前に受働債権と相殺適状にあったことの要否
(最一判平25・2・28)
○持ち帰り弁当販売事業のフランチャイズシステムにおけるマスターフランチャイザーからエリアフランチャイザーに対するフランチャイズ契約違反の債務不履行による損害賠償請求が一部認容された事例
(東京高判平24・10・17)
▽賃貸用建物を所有者から一括して借り受け、テナントに転貸していた者が、当該建物及びその敷地の売買契約において、売主に代わって買主との交渉に当たった際、テナントから賃料減額の申入れを受けていたことを説明しなかったこと等について、説明義務違反を理由とする買主に対する不法行為責任が否定された事例
(東京地判平24・11・26)
▽金融機関が再生会社に対する貸付債権を自働債権とし、同会社の投資信託に係る解約金返還債権を受働債権とした相殺の効力が肯定された事例
(名古屋地判平25・1・25)
▽パチンコ店等を経営する会社の本社ビル及び創業者の自宅付近における街頭宣伝活動等について、人格権等による妨害排除請求権に基づく差止めが認められた事例
(京都地判平24・12・5)
▽元妻が元夫に対し、両者の婚約前から元夫は他の女性と男女関係を続けていたとして協議離婚をしたが、それに基づく損害賠償請求が認容された事例
(佐賀地判平25・2・14)
知的財産権
○「シャンパンタワー」なる商標を指定役務「飲食物の提供」等に使用することは、国際信義に反するものとして、右商標が商標法四条一項七号に該当するとされた事例
(知的財産高判平24・12・19)
▽電気用品安全法所定の検査を受けていない電子ブレーカにつき、同検査を受けた電気用品についてのみ付すことを許されているPSE表示を付して販売することが不正競争防止法二条一項一三号の定める不正競争行為(品質等誤認惹起行為)に該当するとしつつも、PSE表示が付されたことによって製品に対する需要が喚起されたとはいえないとして、損害の発生が否定された事例
(大阪地判平24・9・13)
商 事
○一 株主名義を有しない者が株主であるとして経験則上権利の存在を推認し得る間接事実を主張立証したが、事実上の権利推定をするには不十分であるとされた事例
二 企業グループの組織再編に関する一連の行為の株主総会の決議不存在確認又は決議取消し等の請求につき、原告がその前提となる株主であるとは認められず、原告適格を欠く等として訴えが却下された一審判決に対する控訴が棄却された事例
(東京高判平24・12・12)
▽振替株式についての記載・記録がなされた特別口座の加入者に対し、名義書換未了の振替株式取得者のために社債、株式等の振替に関する法律一三三条二項に定める振替株式発行者に対する請求(失念救済請求)をすべきことを命ずる判決がなされた事例
(横浜地判平24・11・7)
刑 事
◎一 家庭裁判所から選任された成年後見人が成年被後見人所有の財物を横領した場合と刑法二四四条一項の準用の有無
二 家庭裁判所から選任された成年後見人が成年被後見人所有の財物を横領した場合に成年後見人と成年被後見人との間の親族関係を量刑上酌むべき事情として考慮することの当否
(最二決平24・10・9)
◆最高裁判例要旨(平成二五年三月分)