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判例時報 No.2180
             平成25年5月21日 号 定価:838円 (本体価格:762円+10%税)

■判決録
<行政> 1件
<民事> 5件
<知的財産権> 2件
<商事> 1件
<刑事> 1件


◆記 事◆

不公正な募集株式の発行等に関する多少の考察……藤原俊雄
現代型取引をめぐる裁判例 (326)……升田 純

◆判決録細目◆

行 政

▽平成一六年二月二八日の時点を基準とすると、財産評価基本通達(平成一七年五月一七日付け課評二‐五による改正前のもの)一八九の(2)の定めのうち大会社につき株式保有割合が二五%以上である評価会社を一律に株式保有特定会社としてその株式の価額を同通達一八九‐三の定めにより評価すべきものとする部分については、相続税法二二条の規定に適合したものとはいえないとした上で、右の時点に開始された相続に関し、株式保有割合が二五%を超える大会社が同通達一八九の(2)にいう株式保有特定会社に該当しないものとされた事例

(東京地判平24・3・2)

民 事

○一 債権差押命令の差押債権者が同命令に基づく取立権を行使する過程で第三債務者から支払の方法として手形を受領した場合、債務者に対し民事再生手続開始決定による強制執行中止後にその手形金の支払を受けたときは、法律上許されない支払受領になるから、不当利得に当たる
二 差押債権者は、本件取立にかかる受領金のうち、手形に関するものは、手形の授受により取立行為が完了していると認識することも全く理由がないとはいえないから、不当利得の悪意の受益者とまでいえないが、民事再生手続開始決定後の現金振込に関するものは、不当利得の悪意の受益者に当たる、とされた事例

(大阪高判平22・4・23)

▽一 将来債権の譲渡後に譲渡禁止特約が付された場合、民法四六六条二項ただし書の適用はない
二 譲渡禁止特約が付された将来債権を差し押えた債権者は、同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有する

(東京地判平24・10・4)

▽政治家の原発事故後の言動に関するテレビ番組の放送について、テレビ局、プロデューサー、ディレクターの名誉毀損が肯定された事例

(東京地判平25・1・29)

▽建築主事より建築確認を受けた建物の構造計算の誤りにより損害を被ったとして、建築主が県に対し求めた国家賠償請求が棄却された事例

(名古屋地判平25・1・22)

▽病院のリハビリ施設で介護職員が自殺したことにつき、その遺族がこの自殺は過重勤務によるうつ病発症によるものであるとして、病院に安全配慮義務違反があるとして求めた損害賠償請求が認容された事例

(甲府地判平24・10・2)

知的財産権

○一 職務発明の相当対価請求訴訟において、職務発明規程に基づき特定の時期の実績に基づく補償が支払われた場合に、当該時期の実績に基づく相当対価請求権について時効利益の放棄がされたものとされた事例
二 職務発明の相当対価請求訴訟において、発明者の貢献度が一%とされた事例

(知的財産高判平25・1・31)

○商品の名称や構成、販売時の広告態様、当該商品及びこれと同種の商品についての使用状況やこれから推認される取引者及び需要者の認識等に照らし、装飾品の鎖部分などに付ける飾り「ロゴチャーム」について、おしゃれを目的として使用される装飾品である「身飾品」にも該当するとされた事例

(知的財産高判平24・12・5)

商 事

▽一 保険の契約者が自分が火災保険の対象となった建物の所有者ではないことを保険会社に対して告知していないため、建物を目的とする保険契約は無効である
二 火災が原告又はその意を通じた第三者の故意により発生したものであることが認められるから、保険会社の保険金の支払義務は免責されるとして、建物及びその内部の動産に係る火災保険契約に基づく保険金の請求が棄却された事例

(水戸地判平24・6・29)

刑 事

◎一 前科に係る犯罪事実及び前科以外の他の犯罪事実を被告人と犯人の同一性の間接事実とすることの許否
二 前科に係る犯罪事実及び前科以外の他の犯罪事実を被告人と犯人の同一性の間接事実とすることが許されないとされた事例

(最一決平25・2・20)

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