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判例時報 No.2175
             平成25年4月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 石森久広 田村陽子 内海博俊 髙橋真弓
 鈴木達次 三枝 有 十河太朗 飯野海彦
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 6件
<知的財産権> 3件
<刑事> 1件


◆判決録細目◆

行 政

▽国民年金及び厚生年金保険の被保険者であった夫と別居中であった妻が国民年金法及び厚生年金保険法に基づき遺族基礎年金及び遺族厚生年金の支給を受けることのできる妻(配偶者)に当たるとされた事例

(東京地判平23・11・8)

民 事

◎金融機関Yをいわゆるアレンジャーとするシンジケートローンへの参加の招へいに応じた金融機関Xらに対しYが信義則上の情報提供義務を負うとされた事例

(最三判平24・11・27)

◎将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しないものとされた事例

(最二判平24・12・21)

○受刑者に使用した革手錠の使用につき、安全配慮義務違反が認められるが、当該行為による損害賠償請求権は時効によって消滅しており、消滅時効の援用が権利の濫用あるいは信義則違反にあたるとはいえないとされた事例

(大阪高判平24・10・25)

▽証券会社の勧誘によりノックイン型の仕組債を購入し、損失を被った顧客に対する説明義務違反が認められた事例

(東京地判平24・11・27)

▽貸金債権の債務者が貸金債権を信託契約により譲り受けた者に対して過払金の返還を請求し、その請求が一部認容された事例

(大阪地判平24・12・7)

▽交通事故の被害者の損害賠償金の仮払仮処分命令申立事件について、請求できる損害賠償額以上の賠償金が支払済みであるとして、その申立てが却下された事例

(横浜地決平24・10・11)

知的財産権

○一 いわゆるプロダクト・バイ・プロセスクレームの技術的範囲について、物の構造又は特性により直接特定することが出願時に不可能又は困難であるとの事情が存在しない場合は、その技術的範囲は、クレームに記載された製造方法によって製造された物に限定されるとされた事例
二 特許法一〇四条の三の抗弁に関し、いわゆるプロダクト・バイ・プロセスクレームの要旨の認定について、物の構造又は特性により直接特定することが出願時に不可能又は困難であるとの事情が存在しない場合は、その発明の要旨は、クレームに記載された製造方法によって製造された物に限定されるとされた事例

(知的財産高判平24・8・9)

○一 将来を含め、取引者、需要者に指定商品の産地又は販売地を表すものと認識される可能性があり、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときには、その商標は商標法三条一項三号に該当する
二 指定商品を「鉾田市産のバウムクーヘン」とする「HOKOTA BAUM」からなる商標が、商標法三条一項三号に該当するとされた事例

(知的財産高判平24・10・3)

▽DVD商品の頒布につき著作権侵害が認められた事例

(東京地判平24・7・11)

刑 事

○女児に対する強制わいせつ事件の控訴審判決において、女児のわいせつ被害に関する供述の信用性が否定され、第一審の有罪判決が破棄されて無罪が言い渡された事例

(福岡高那覇支判平24・2・21)

◆最高裁判例要旨(平成二五年一月分)

判例評論

二一 老齢加算の段階的減額・廃止を内容とする生活保護基準の改定による保護変更決定と裁量権の逸脱濫用審査

(最二判平24・4・2)……石森久広

二二 一 保証人が、主たる債務者の破産手続開始前にその委託を受けないで締結した保証契約に基づき、破産手続開始後に弁済をして取得した求償権の破産債権該当性(肯定)

 二 保証人が主たる債務者の破産手続開始前にその委託を受けないで締結した保証契約に基づき、破産手続開始後に弁済をして取得した求償権を自働債権とする相殺(否定)
(最二判平24・5・28)……田村陽子

二三 第一審判決の仮執行宣言に基づく強制執行によって建物が明渡されている場合における当該建物の明渡請求と併合されている他の請求等の当否等についての控訴審の判断

(最二判平24・4・6)……内海博俊

二四 一 会社による全部取得条項付種類株式の取得と株式買取価格決定の申立て

 二 株式買取請求における個別株主通知の要否とその時期
  ――ACデコール事件最高裁決定
(最二決平24・3・28)……髙橋真弓

二五 損害賠償金の支払と人身傷害補償保険金の算定基準

(大阪高判平24・6・7)……鈴木達次

二六 公海上から航行中の日本船舶に向けて酪酸入りのガラス瓶を圧縮空気式発射装置で発射しこれを船体に衝突・破裂させて飛散させ、乗組員の顔面等に酪酸を付着させて顔面化学熱傷の障害を生じさせるとともに、同乗組員らの業務を妨害した行為につき、傷害罪及び威力業務妨害罪が成立するとされた事例(シーシェパード事件)

(東京地判平22・7・7)……三枝 有

二七 事後強盗としての暴行についての共謀等を認めなかった原判決を重大な事実誤認の疑いが顕著であるとして破棄して差し戻した事例

(最一判平21・10・8)……十河太朗

二八 一 妄想型統合失調症による幻覚妄想状態の中で幻聴、妄想等に基づいて行った行為が「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」二条二項の対象行為に該当するかどうかの判断方法(①事件)

 二1 鑑定入院命令が発せられた後に鑑定入院の必要がなくなったことなどの事情と「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」七二条一項の鑑定入院取消し請求の理由
  2 裁判所が職権で鑑定入院命令を取り消すことの可否(②事件)
(①最三決平20・6・18、②最三決平21・8・7)……飯野海彦

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