バックナンバー

判例時報 No.2172(別冊・総索引付)
             平成25年3月1日 号 定価:2096円 (本体価格:1905円+10%税)

<最新判例批評>
 吉田邦彦 中西 正 山田剛志 明照博章 辻本典央
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 6件
<知的財産権> 2件
<商事> 1件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆判決録細目◆

行 政

○鋳鉄鋼管直管を製造・販売する三会社がその販売シェアを重量ベースで配分して各社の販売量の調整をしていたことが供給量制限カルテルに当たり、需給関係による価格メカニズムが機能しない市場である等の特段の事情が認められないから対価に影響するものとして、平成一七年改正前の独占禁止法七条の二第一項に当たるとした課徴金納付命令審決が是認された事例

(東京高判平23・10・28)

民 事

○使用者が勤務場所等に多種化学物質過敏状態を発症させるような濃度及び量の揮発性有機化合物等の化学物質が存在しないように配慮すべき義務に違反したとしてその結果多種化学物質過敏状態が発症した労働者に対する使用者の損害賠償責任が肯定された事例

(東京高判平24・10・18)

○破産手続開始決定前に成立した保険契約について、同決定後に保険事故が発生した場合における、保険金請求権の破産財団への帰属の有無(積極)

(東京高決平24・9・12)

▽建物の賃貸借契約に伴って賃借人が差し入れた資本維持積立金(預り金)の現在残高の返還請求権を有していることの確認訴訟につき確認の利益が認められた事例

(東京地判平24・7・20)

▽電力会社の株主が東日本大震災の際に発生した原発事故に原賠法三条一項但書の適用がないとして国が措置を講じたことにより株価下落が生じたと主張する国家賠償責任に基づく損害賠償請求訴訟において、国の判断が違法でないとされた事例

(東京地判平24・7・19)

▽一 両親がその児童に対して適切に栄養を与えておらず、必要な治療等を受けさせていないとして、児童の入院先の病院が児童福祉法二五条に基づく通告を行い、通告を受けた児童相談所の長が同法三三条に基づき同児童を一時保護する決定をした事案について、同通告及び同決定がいずれも違法ではないとされた事例
二 児童相談所の職員が一時保護中の児童に対してアレルギー源を含む食べ物を誤って食べさせアナフィラキシーショックにより児童を死亡させたと認めて、損害賠償請求が一部認容された事例

(横浜地判平24・10・30)

▽山岳救助隊による遭難者を救助後の搬送に過失があり遭難者が凍死したとして、遺族の求めた国家賠償請求が認容された事例(過失相殺八割)

(札幌地判平24・11・19)

知的財産権

○「四つの半導体スイッチを有するH型ブリッジ回路」を有する引用発明を、本願発明に係る「二つの半導体スイッチを有する回路」に変更すると、増磁電流と減磁電流を流すために用いられるH型ブリッジ回路とした引用発明の基本構成が変更され、減磁電流を流すことができなくなり、引用発明の課題を解決することができなくなるから、このような変更には阻害要因があるとして、容易に発明することができるとした審決が取り消された事例

(知的財産高判平24・8・8)

○被告方法は、「医療用可視画像の生成方法」に係る特許発明の構成要件を文言上充足せず、特許発明と同一の作用効果を奏するとはいえず、控訴人の主張を前提とすると客観的にみて意識的に限定したものとして、均等侵害も成立しないとされた事例

(知的財産高判平24・9・26)

商 事

▽株式交換に反対する株主の株式買取請求による買取価格につき、株式買取請求がされた日を基準時として、株式交換により生じるシナジー効果を公正に分配した価格を算定して定めるとして、シナジー分配価格が算定された事例

(大阪地決平24・4・27)

労 働

▽米国金融情報通信社(使用者)が、中途採用の記者(労働者)に対し、PIP(Performance Improvement Plan)と称する業績改善プランを三度実施した後にした勤務能力ないし適格性の低下を理由とする解雇が無効とされた事例

(東京地判平24・10・5)

刑 事

◎不法に被害者を監禁し、その結果、被害者に外傷後ストレス障害(PTSD)を発症させた場合について、監禁致傷罪の成立が認められた事例

(最二決平24・7・24)

◆最高裁判例要旨(平成二四年一二月分)

判例評論

一六 不動産の時効取得者と原所有者からの登記ある抵当権者との関係||不動産の時効取得後も未登記である者について、抵当権の設定登記からの再度の時効取得により、同抵当権の消滅を認めた事例

(最二判平24・3・16)……吉田邦彦

一七 争点が共通で対抗的関係にある二つの仮処分の一方が認容され他方が却下された場合の却下決定に対する即時抗告の取扱い

(東京高決平22・11・12)……中西 正

一八 非上場会社における有利発行が法令違反として任務懈怠となるか――アートネーチャー株主代表訴訟事件

(東京地判平24・3・15)……山田剛志

一九 財産的権利等を防衛するためにした暴行が刑法三六条一項にいう「やむを得ずにした行為」に当たるとされた事例

(最一判平21・7・16)……明照博章

二〇 覚せい剤所持で逮捕された被疑者に対する任意採尿手続に重大な違法があるとして、尿の鑑定書の証拠能力を否定し、覚せい剤自己使用について無罪が言い渡された事例

(東京地判平23・3・30)……辻本典央

Copyrightc 株式会社判例時報社 All Rights Reserved.

PAGE TOP