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判例時報 No.2171
             平成25年2月21日 号 定価:838円 (本体価格:762円+10%税)

■判決録
<行政> 2件
<民事> 7件
<知的財産権> 2件
<商事> 1件
<刑事> 1件


◆記 事◆

現代型取引をめぐる裁判例 (320)……升田 純
海外刑法だより(333)終身刑と無期刑(下)……森下 忠

◆判決録細目◆

行 政

◎単独であれば保険診療となる療法と先進医療であり自由診療である療法とを併用する混合診療における保険診療に相当する診療部分に係る保険給付の可否――いわゆる混合診療事件上告審判決

(最三判平23・10・25)

▽障害者自立支援法に基づく介護給付費支給決定のうち重度訪問介護の一か月当たりの支給量二六八時間を超える部分につき支給量として算定しないとした部分について処分行政庁の裁量権を逸脱濫用した違法な処分であるとしてこれを取り消し、処分行政庁に対し重度訪問介護の一か月当たりの支給量五四二・五時間を下回らない介護給付費支給決定をすることを義務付けた例

(和歌山地判平24・4・25)

民 事

◎賃料債権の差押えの効力発生後に賃貸借契約がその目的物の賃借人への譲渡により終了した場合において、その後に支払期の到来する賃料債権を取り立てることの可否

(最三判平24・9・4)

○貸金業者との間で締結した基本契約に基づき継続的に金銭消費貸借契約を行ってきた債務者の代理人弁護士が、当該貸金業者に対して送付した、当該債務者の債務整理を受任した旨及び右金銭消費貸借契約に係る取引履歴の開示を求める旨のほか、過払金が発生している場合は当該書面をもって発生している全ての過払金の請求をする旨の記載のある受任通知書に、民法一五三条の「催告」の効力が認められた事例

(東京高判平24・9・26)

○簡易生命保険について、保険契約申込書の保険契約者の氏名欄に氏名を記載された者とは異なる者が保険契約者と認定された事例

(東京高判平24・11・14)

▽信託銀行が賃貸人であり、テレマーケティング業者を賃借人とする都内繁華街のビルの地下一階の建物部分の賃貸借において、日常的なコバエの発生が賃貸人の賃貸借契約上の債務不履行に当たるとし、経済的損害、無形の損害の損害賠償責任が肯定された事例

(東京地判平24・6・26)

▽家賃保証会社が賃貸物件の鍵を付け替えるなどして実力で賃借人の占有を排除して賃貸物件内の動産を撤去処分した行為につき不法行為責任及び会社代表者の個人責任が認められた事例

(東京地判平24・9・7)

▽うつ病患者が病院で診察を受けた後に自殺したことについて、同病院の医師には、同患者の家族に対し、自殺の危険性を説明し、自殺を防止するための措置をとることを指導すべき義務があったということはできないとして、請求が棄却された事例

(東京地判平24・9・27)

▽構造計算プログラムにより作成された構造計算書に表示されたワーニングメッセージの削除は偽装行為にあたるとの国土交通省の発表が違法であるとして国に対して求めた右発表の取消及び国家賠償請求が棄却された事例

(大阪地判平24・10・12)

知的財産権

○発明の名称を「有機発光ダイオード類に基づく青色リン光用の材料および素子」とする発明について、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたと判断した審決が取り消された事例

(知的財産高判平24・9・13)

○「液晶用スペーサー及び液晶用スペーサーの製造方法」に係る発明について、被告による訂正は、新規な技術的事項を導入するものであり、平成二三年法律第六三号による改正前の特許法一三四条の二第一項ただし書及び同条五項において準用する同法一二六条三項に違反し、不適法であるとされた事例

(知的財産高判平24・11・14)

商 事

▽取締役の説明義務違反を理由として提起された株主総会決議取消請求訴訟において、説明義務違反は認められないとしてその請求が棄却された事例

(東京地判平24・7・19)

刑 事

◎国際捜査共助に基づき中華人民共和国において同国の捜査官によって作成された供述調書が刑訴法三二一条一項三号の書面に当たるとされた事例――福岡一家殺害事件上告審判決

(最一判平23・10・20)

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