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判例時報 No.2169
             平成25年2月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 高見 進 諏訪野大 佐野 誠 小林道生 内田幸隆 寺崎嘉博
 
■判決録
<民事> 8件
<知的財産権> 2件
<商事> 1件
<刑事> 1件


◆判決録細目◆

民 事

◎自動車損害賠償保障法一五条所定の保険金の支払を請求する訴訟において裁判所が同法一六条の三第一項が規定する支払基準によることなく保険金の額を算定して支払を命じることの可否

(最一判平24・10・11)

◎債務者の代理人である弁護士が債権者一般に対して債務整理開始通知を送付した行為が破産法一六二条一項一号イ及び三項にいう「支払の停止」に当たるとされた事例

(最二判平24・10・19)

▽ビルの外壁に木製型枠が残置されていたため隣接ビル三階の足場に堆積していたゴミくずから出火した火災が延焼しビルが焼損したことにより、ビルの一部を店舗として賃借し営業していた会社との賃貸借契約が終了した場合につき、賃貸人の賃借人に対する債務不履行責任及び土地工作物責任が認められた事例

(東京地判平24・8・29)

▽中古の建物と敷地の売買契約において建物が傾斜していたことにつき、建物の基礎の隠れた瑕疵を認め、売主の瑕疵担保責任が肯定された事例

(東京地判平24・6・8)

▽脂肪吸引手術について説明義務違反が認められ、自己決定権侵害の限度で慰謝料の支払が命じられた事例

(東京地判平24・9・20)

▽デリバティブ取引の中途解約により高額の解約料を支払わされたことにつき、証券会社による右解約料についての説明が不十分で説明義務違反にあたるとして、顧客の証券会社に対する損害賠償請求が認められたが、顧客にも過失があるとして八割の過失相殺がされた事例

(大阪地判平24・2・24)

▽下腹部痛及び呼吸苦を訴えて救急車で搬入されて入院した患者が大動脈解離で死亡した場合に、医療水準にかなう医療行為が実施されていたならば死亡時点においてなお生存した相当程度の可能性は認められるとして、診療契約上の債務不履行に基づき患者に対して慰謝料四〇〇万円を支払うのが相当であるとされた事例

(札幌地判平24・9・5)

▽携帯電話の利用契約の解除料条項が消費者契約法九条一号、一〇条に違反しないとし、適格消費者団体の差止請求が棄却された事例

(京都地判平24・11・20)

知的財産権

○側部観察窓付き容器に係る意匠について、容器本体の周面に内容物の観察のための垂直に細長い観察窓を設けた構成は、ありふれた態様であることなどから、当業者が、引用意匠及び周知意匠に基づいて、容易に創作し得るものとされた事例

(知的財産高判平24・7・4)

▽特許権侵害を理由とする訴訟について、破産管財人が原告適格を有するとして、訴えが却下された事例

(東京地判平24・5・16)

商 事

▽取締役が会社の関係会社株式を減損処理せずに貸借対照表上配当可能利益をだして会社に違法配当をさせたとして、取締役及び監査役に対して提起した株主代表訴訟が棄却された事例

(大阪地判平24・9・28)

刑 事

◎検察官事務取扱の職務命令の発令を受けていなかった検察事務官がした公訴に基づき発付された略式命令に対する非常上告が認められた事例

(最三判平24・9・18)

◆最高裁判例要旨(平成二四年一一月分)

判例評論

一〇 仮差押命令により保全される債権の範囲

(最一判平24・2・23)……高見 進

一一 一 我が国について既に効力を生じている文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約に我が国が国家として承認していない国が事後加入した場合における同国国民の著作物である映画の著作権法六条三号所定の著作物該当性

 二 著作権法六条各号所定の著作物に該当しない著作物の利用行為と不法行為の成立
(最一判平23・12・8)……諏訪野大

一二 一 無保険車傷害保険金の額は、被害者等の被る損害の元本の額から被害者等に支払われた自賠責保険金等の全額を差し引いて算定すべきであるとされた事例

 二 無保険車傷害保険金の支払債務に係る遅延損害金の利率は、商事法定利率である年六分であるとされた事例
(最二判平24・4・27)……佐野 誠

一三 保険料の払込みがされない場合に履行の催告なしに生命保険契約が失効する旨を定める約款の条項の、消費者契約法一〇条にいう「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」該当性

(最二判平24・3・16)……小林道生

一四 パチスロ機から不正な方法によりメダルを窃取した者の共犯者である者が、この犯行を隠ぺいする目的をもって、その隣のパチスロ機において、自ら通常の方法により遊戯していた場合における窃盗罪の成否とその成立範囲

(最一決平21・6・29)……内田幸隆

一五 一 被告人が原略式命令確定後に本邦を出国し非常上告申立て時において再入国していない場合における非常上告の可否(①事件)

 二 被告人が原略式命令確定後に死亡している場合における非常上告の可否(②事件)
(①、②最一判平22・7・22)……寺崎嘉博

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