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判例時報 No.2163
             平成24年12月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 片桐由喜 神橋一彦 大山和寿 田中宏治 小橋 馨
 北山元章=植松祐二 宮脇正晴 関 哲夫
 
■判決録
<民事> 7件
<知的財産権> 1件
<商事> 1件
<刑事> 1件


◆判決録細目◆

民 事

◎民法二五八条二項所定の競売を命ずる判決に基づく不動産競売と民事執行法五九条及び六三条の準用の有無

(最三決平24・2・7)

○市議会において、がんで声帯を切除した議員に対し代読による発言の要請を認めなかったことは議員の発言の権利や自由を侵害する違法な行為であったとして、議員の基本的権利を侵害し精神的苦痛を与えたものであるとして市に対し同議員に三〇〇万円の損害賠償が命じられた事例

(名古屋高判平24・5・11)

▽権利能力のない社団につき一般社団法人及び一般財団法人に関する法律二七八条の類推適用の可否(否定)

(東京地判平24・6・8)

▽土地の賃借人が工事を施工し、地中に底盤コンクリートを残置したまま返還し、賃貸人らが土地上にマンションを建築した場合、残置による損害の発生が認められないとし、賃借人の債務不履行、不法行為が否定された事例

(東京地判平24・7・6)

▽顧客が証券会社を介して金融商品を購入し損害を被った場合、証券会社の勧誘・説明等の法令違反による損害賠償請求がいずれも棄却された事例

(大阪地判平24・3・23)

▽有料道路での土砂崩れに巻き込まれて自動車運転者及び同乗者が死亡した事故につき、道路管理会社に安全配慮義務違反があるとして損害賠償責任が認められた事例

(福岡地小倉支判平24・6・26)

▽交通事故後被害者に生じた症状について、脳脊髄液減少症を発症したと確定的に認めることはできないが、その疑いが相当程度あり、被害者の症状が重いことや既往症があったとは認められないこと、本件事故の態様などの事情を総合すると、自動車損害賠償保障法施行令別表第二第九級一〇号の後遺障害が認められるとされた事例

(横浜地判平24・7・31)

知的財産権

○一 装置を制御するプログラムについて、ソースコードのいかなる箇所にプログラム制作者の個性が発揮されているのかについて具体的に主張立証されない以上、プログラムに挿入された命令がどのような機能を有するか、他に選択可能な挿入箇所や他に選択可能な命令が存在したか否かについてすら不明であり、当該命令部分の存在が、選択の幅がある中から、プログラム制作者が選択したものであり、かつ、それがありふれた表現ではなく、プログラム制作者の個性、すなわち表現上の創作性が発揮されているものであることを認めるに足りる証拠はないとして、著作物性を認めた原判決が取り消された事例
二 X提出の書証のうち、原本が提出されているものの成立はともかく、写ししか提出されていないものについては、これに対応する原本の存在を認めることはできず、当該写しそれ自体の成立を認め得るとしても、その信用性は極めて低いものであって、Xの主張を裏付ける証拠として採用することはできないとされた事例

(知的財産高判平24・1・25)

商 事

○損害保険会社との間で自動車保険契約を締結した保険契約者が自損事故により契約の目的たる自動車が全損したとして保険会社に対し車両保険金等を請求した事件につき、事故は保険契約者の故意によって発生したものであるとして、保険会社は保険契約条項により保険金の支払請求を拒むことができるとされた事例

(大阪高判平24・7・11)

刑 事

◎付添人選任届の追完が認められなかった事例

(最三決平24・5・1)

判例評論

六七 生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護基準の改定が生活保護法三条または八条二項の規定に違反しないとされた事例

(最三判平24・2・28)……片桐由喜

六八 産業廃棄物処分場の周辺住民による、県知事が同処分場の事業者に対して廃棄物処理法一九条の五第一項に基づく措置命令をすることの義務付け請求が認容された事例

(福岡高判平23・2・7)……神橋一彦

六九 公有地の信託契約において、旧信託法三六条二項本文(受益者に対する費用補償請求権)の適用を排除する合意の成立が、否定された事例

(最一判平23・11・17)……大山和寿

七〇 日本放送協会(NHK)の放送受信料債権を巡り、改正前の放送法の下でもケーブルテレビ加入者に受信契約の締結義務があるとされ、同債権について、民法一六九条により五年の短期消滅時効が認められた事例

(東京高判平24・2・29)……田中宏治

七一 一つの手続補正書によりされた補正は、補正事項ごと、又は請求項ごとの補正としてその可否が審理され判断されるものではなく、一体として扱われ、一部に補正要件違反がある場合は、その補正は全体として却下されるべきことを予定していると解するのが相当であるとして、審決における補正却下の判断が支持された事例

(知的財産高判平23・6・14)……小橋 馨

七二 「餅」の特許権に基づく侵害差止等請求事件において、被控訴人製品は特許発明の技術的範囲に属するものと判断された事例

(知的財産高中間判平23・9・7)……北山元章・植松祐二

七三 インターネットショッピングモールにおいて出店者による商標権侵害行為があった場合の、同モール運営者の商標法上の責任

(知的財産高判平24・2・14)……宮脇正晴

七四 警察署の塀の上部に上がった行為について建造物侵入罪の成立が認められた事例

(最一決平21・7・13)……関 哲夫

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