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判例時報 No.2161
             平成24年11月11日 号 定価:838円 (本体価格:762円+10%税)

■判決録
<民事> 4件
<知的財産権> 1件
<商事> 1件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆記 事◆

原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解の仲介の実務 7……野山 宏
最高裁民事破棄判決等の実情(上)――平成二三年度……市川多美子・古田孝夫
現代型取引をめぐる裁判例 (313)……升田 純

◆判決録細目◆

民 事

○交通事故の加害者側が示談・訴訟の当初運転者の過失を認めながらその後これを争うに至った場合、不誠実な態度であるとして、慰謝料が増額された事例

(福岡高判平24・7・31)

○橋梁維持修繕工事中の道路上の交通事故について、道路の管理者に過失があったとして不法行為責任が認められた事例

(仙台高判平24・6・27)

▽「土壌汚染調査の結果、環境省の環境基準および自治体に指導基準があるときにはその基準を上回る土壌汚染があった場合は、売主は土壌改良もしくは除去の費用を買主に支払うものとする」旨の条項がある土地(味噌工場の敷地)の売買契約において、当該土地から砒素が検出されたが、土壌汚染が自然的原因による場合には右条項が適用されないとして、その適用が否定された事例

(東京地判平23・7・11)

▽介護老人保健施設において浣腸を受けた後、高熱や腹痛等を訴え、敗血症により死亡した入所者について、看護師に浣腸時の体位の選択に関する注意義務違反があり、そのため直腸壁が損傷し、その後他の因子も寄与して損傷が拡大するなどして、敗血症を発症したものであるとして、右注意義務違反と死亡との間の相当因果関係を肯定したが、直腸壁の損傷の拡大等には、入所者の既往症や当時の身体状況等が少なからず寄与していることなどを考慮して、八〇〇万円の限度で死亡慰謝料の請求が認容された事例

(大阪地判平24・3・27)

知的財産権

○いわゆる「楽天市場」における各出店者による商標権侵害に関して、同市場の運営者である被控訴人に対して差止め・損害賠償責任を追及し得るかにつき、一定の場合にはウェブページの運営者も責任を負うとしつつ、本件においては、被控訴人は、商標権侵害の事実を知り又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるときから合理的期間内にこれを是正しているから、差止め・損害賠償責任を負うものではないとして、商標権者による控訴が棄却された事例

(知的財産高判平24・2・14)

商 事

▽一 銀行からの二億円の借入れが取締役会の承認決議を欠く「多額の借財」(会社法三六二条四項二号)に当たり、かつ、銀行は当該取締役会決議の欠缺について悪意であったなどとして、貸金返還を求める主位的請求が棄却された事例
二 取締役会の承認決議を経ないでされた「多額の借財」に当たる銀行からの借入れが、関連会社への転貸融資を目的とするものであり、借主において貸借対照表に計上しない簿外債務として処理されていた等の事情があるにしても、いわゆる名義貸しに当たる旨の借主の主張は採用できないとして、貸金残金の不当利得返還を求める予備的請求が認容された事例

(東京地判平24・2・21)

労 働

○喘息症状が出現し重篤な喘息発作を回避するために治療を要する状態の消防士が職場の常態及び職務の性質から公務離脱が困難で治療機会を喪失して死亡した場合において、当該消防士の喘息発作による死亡が地方公務員災害補償法にいう公務上の死亡に当たるとされた事例

(東京高判平24・6・6)

刑 事

○強盗犯人が被害者に覚せい剤を注射して放置した行為につき、強盗とその行為の場所及び時刻が離れていたとしても、本件事実関係の下では、強盗の機会に行われたものということができるとされた事例

(東京高判平23・1・25)

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