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判例時報 No.2152
             平成24年8月11日 号 定価:838円 (本体価格:762円+10%税)

■判例特報
 福岡飲酒運転三児死亡事故上告審決定
  (最三決平23・10・31)
 
■判決録
<行政> 2件
<民事> 5件
<知的財産権> 2件
<商事> 2件


◆記 事◆

原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解の仲介の実務 5……野山 宏
現代型取引をめぐる裁判例 (307)……升田 純

◆判例特報◆

 一 刑法(平成一九年法律第五四号による改正前のもの)二〇八条の二第一項前段にいう「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」の意義
二 飲酒酩酊状態にあった被告人が直進道路において高速で自動車を運転中、先行車両に追突し、死傷の結果を生じさせた事案につき、被告人はアルコールの影響により前方を注視してそこにある危険を的確に把握して対処することができない状態にあったとして、危険運転致死傷罪が成立するとされた事例

――福岡飲酒運転三児死亡事故上告審決定(最三決平23・10・31)

◆判決録細目◆

行 政

◎一 処分の差止めの訴えについて行政事件訴訟法三七条の四第一項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められる場合
二 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱時の起立斉唱等に係る職務命令の違反を理由とする懲戒処分の差止めを求める訴えについて行政事件訴訟法三七条の四第一項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められた事例
三 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱時の起立斉唱等に係る職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴えについていわゆる無名抗告訴訟としては不適法であるとされた事例
四 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱時の起立斉唱等に係る職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴えについて公法上の法律関係に関する確認の訴えとして確認の利益があるとされた事例

――教職員国旗国歌訴訟(予防訴訟)上告審判決
(最一判平24・2・9)

◎地方公務員共済組合が、その組合員に対し、同組合員の公務災害認定に係る傷病が確定したので支給済みの地方公務員等共済組合法所定の短期給付金等について返還請求をすると記載した請求書を交付することによって、同法所定の短期給付金についての給付の決定を撤回するとともに、同組合の定款又は要綱で定められたところに従って成立した一部負担金払戻金及び入院者見舞金についての贈与契約を解除する旨の意思を表示したものと解された事例

(最三判平24・3・6)

民 事

○審判前の仮の処分の執行において九歳と五歳の子の引渡しを不能とした執行官の措置は相当であり、審判に基づく強制執行は困難であるとしつつ、監護者を定めて子の引渡しを命じた原審判が相当と認められた事例

(東京高決平24・6・6)

○期限の利益喪失特約を誤解して、制限超過利息を支払った場合、貸金業法四三条一項の「任意」の適法要件を満たすとはいえないとされた事例

(大阪高判平24・3・22)

▽鉄道高架橋下の建物の建物部分の定期建物賃貸借契約につき、借地借家法三八条二項所定の説明がなかったとし、法定更新が認められた事例

(東京地判平24・3・23)

▽破産者の加入した生命共済の入院特約に基づく共済金請求権は破産財団に属する財産であるとして、破産管財人による共済金請求が認容された事例

(札幌地判平24・3・29)

▽インターネット上の電子掲示板で名誉を毀損された者が、接続サービス会社に対して求めた発信者情報の開示請求は認容されたが、損害賠償請求は棄却された事例

(金沢地判平24・3・27)

知的財産権

○特許権者が、侵害者に対し、特許法一〇二条一項及び三項の双方により算定される損害額を合算した損害賠償を請求した事案において、同条一項が特許権者に生じた逸失利益の全てを評価し尽くしており、これにより特許権者の被った不利益を補てんして、不法行為がなかったときの状態に回復させているものと解される以上、特許権者は、同条一項により算定される逸失利益を請求する場合、これと並行して、同条三項により請求し得る損害を観念する余地がなく、同項に基づき算定される額を請求することはできないとされた事例

(知的財産高判平23・12・22)

○抗告人らにおいて、相手方が著作権を有する映像の複製物である映像を収載した基板を交換又は提供することにより、相手方著作物に係る頒布権を侵害するおそれがあるとして、パチンコ機について、抗告人映像を収載した抗告人部品の交換又は提供を行うことの差止めを請求することができるとされた事例

(知的財産高決平24・3・16)

商 事

○有価証券報告書の虚偽記載等による損害賠償請求において賠償されるべき損害額についての判断が変更された事例――ライブドア株式一般投資家集団訴訟控訴審判決

(東京高判平23・11・30)

▽株式交換に反対する株主の株式買取請求による買取価格は、シナジー効果があるときはこれによる分配価格によるべきで、その算定は株式買取請求日前一か月間の出来高加重平均の平均値を参照して定めるのが相当であるとされた事例

(大阪地決平24・2・10)

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