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判例時報 No.2149
             平成24年7月11日 号 定価:838円 (本体価格:762円+10%税)

■判決録
<行政> 3件
<民事> 5件
<知的財産権> 2件
<商事> 1件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆記 事◆

原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解の仲介の実務 4……野山 宏
シンポジウム
 『民事紛争解決の新しい試みに向けて』上……日本裁判官ネットワーク
民事裁判の基礎理論・法的判断の構造分析(2)(下)(完)
 ――要件事実論の基礎的な概念・知識の検討……河村 浩
現代型取引をめぐる裁判例 (305)……升田 純

◆判決録細目◆

行 政

◎一 所得税法三四条二項にいう「その収入を得るために支出した金額」の支出の主体(①・②事件)
二 会社が保険料を支払った養老保険契約に係る満期保険金を当該会社の代表者らが受け取った場合において、上記満期保険金に係る当該代表者らの一時所得の金額の計算上、上記保険料のうち当該会社における保険料として損金経理がされた部分が所得税法三四条二項にいう「その収入を得るために支出した金額」に当たらないとされた事例(①事件)
三 法人が保険料を支払った養老保険契約に係る満期保険金を当該法人の代表者が受け取った場合において、上記満期保険金に係る当該代表者の一時所得の金額の計算上、上記保険料のうち当該法人における保険料として損金経理がされた部分が所得税法三四条二項にいう「その収入を得るために支出した金額」に当たらないとされた事例(②事件)
四 国税通則法六五条四項にいう「正当な理由」があるとした原審の判断に違法があるとされた事例(②事件)

(①最二判平24・1・13、②最一判平24・1・16)

▽開示請求に係る行政文書に記録されている情報が行政機関の保有する情報の公開に関する法律五条五号の不開示情報に該当しないとされた事例

(東京地判平23・8・2)

民 事

◎不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合における、再度の取得時効の完成と上記抵当権の消長

(最二判平24・3・16)

▽持ち帰り弁当販売事業を展開するマスターフランチャイザーがしたフランチャイズ契約の更新拒絶が債務不履行に当たるとして、サブフランチャイザーが新事業立ち上げのために支出した費用の一部につき損害賠償請求が認められた事例

(東京地判平24・1・30)

▽架空の資金使途を作り出したことを理由とする銀行に対する貸金に係る詐欺が否定された事例

(東京地判平23・12・21)

▽刑務所の保護房で受刑者に使用した革手錠の締め方が強く、目的の範囲を超えたことにつき安全配慮義務違反による違法性が認められた事例

(大阪地判平23・12・8)

▽自衛隊情報保全隊による自衛隊イラク派遣反対活動等の監視のための参加者個人の氏名、職業等の調査が個人情報の侵害にあたるとして、国の損害賠償責任が肯定されたが、右情報保全隊による監視等の差止請求は対象となる行為の特定がなく不適法として却下された事例

(仙台地判平24・3・26)

知的財産権

○名称を「高張力合金化亜鉛めっき鋼板およびその製造方法」とする発明(本願発明)について、審決には引用発明の認定の誤り、相違点の看過等があるとして、本願発明が特許法二九条二項の規定により特許を受けることができないとした審決が取り消された事例

(知的財産高判平23・10・31)

○一 Xが制作した体験型展示物につき、制作者の個性が表現されたものではなく、創作的な表現であるということはできないとして、著作物性を認めた原判決の判断が否定された事例
二 Xが制作した体験型展示物の著作物性の有無それ自体は、著作権侵害を理由とする請求の当否の前提問題として判断されるべきであって、かつ、それで足り、著作物性が認められた場合における当該著作権の帰属それ自体を争わないYとの間において、同展示物に著作物性が認められるとして、Xが著作権を有することの確認を求める訴えは、確認の利益がなく、不適法である
三 XとYとは競争関係にあるところ、Xがウェブサイトに掲載した注意書は、虚偽の内容を含み、Yの事業がXの権利を侵害する違法なものであり、又は、YがXを脅すなど不当な経緯により事業をするに至った旨を、注意書を見る不特定多数の者に印象付けるもので、Yの営業上の信用を害するものである以上、Xによる注意書のアップロードは、虚偽の事実を流布する行為(不正競争防止法二条一項一四号)に該当し、当該注意書の削除を求める仮処分の申立ては違法ではない

(知的財産高判平24・2・22)

商 事

◎保険料の払込みがされない場合に履行の催告なしに生命保険契約が失効する旨を定める約款の条項の、消費者契約法一〇条にいう「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」該当性

(最二判平24・3・16)

労 働

◎旅客鉄道事業等を営む会社である使用者が労働者を運転士に発令しなかったことが、労働組合法七条一号本文にいう不利益な取扱い又は同条三号の支配介入に当たらないとされた事例

(最一判平24・2・23)

刑 事

◎控訴棄却の確定判決に対する再審請求が適法な再審事由の主張がなく不適法であることが明らかなときと刑訴規則二八五条一項による訴訟手続の停止

(最一決平24・2・14)

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