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判例時報 No.2148
             平成24年7月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 小野秀誠 葛野尋之 髙田 淳 大橋 弘 島田聡一郎 嘉門 優
 
■判例特報
 テクモ株式買取価格決定申立事件許可抗告審決定
  (最二決平24・2・29)
 
■判決録
<行政> 2件
<民事> 7件
<知的財産権> 3件
<商事> 1件


◆判例特報◆

 一 株式移転完全子会社の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」の意義
二 株式移転における株式移転設立完全親会社の株式等の割当てに関する比率が公正なものとされる場合
三 株式移転完全子会社の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」を算定するに当たって参照すべき市場株価として、株式買取請求がされた日における市場株価やこれに近接する一定期間の市場株価の平均値を用いることが、裁判所の裁量の範囲内にあるとされる場合

――テクモ株式買取価格決定申立事件許可抗告審決定(最二決平24・2・29)

◆判決録細目◆

行 政

▽一 建築当初の評価により固定資産課税台帳に登録された価格についての審査申出期間や出訴期間が経過した後に、建築当初の評価が不合理であることを理由として、その後の基準年度の価格を争うことができる場合
二 建築当初の評価が不合理であるとはいえないとされた事例

(東京地判平23・12・20)

▽産業廃棄物処理施設の周辺住民による、県知事が廃棄物処理法一五条の三第一項一号に基づき同施設の事業者に対して産業廃棄物処理施設設置許可の取消しをすることの義務付け請求が、認容された事例

(福島地判平24・4・24)

民 事

◎一 相続分の指定が遺留分減殺請求により減殺された場合の効果
二 特別受益に当たる贈与についてされたいわゆる持戻し免除の意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合における具体的相続分の算定方法

(最一決平24・1・26)

◎仮差押命令により保全される債権の範囲

(最一判平24・2・23)

▽店舗として賃貸することを予定して購入した建物の一部が駐車場として建築許可申請がされたものであるが、既に時間が経過していて、建築基準法所定の違反是正措置命令が出される可能性もなく、客観的にみて、店舗として使用し得ない状況にない場合と買主の損害賠償請求の可否(消極)

(東京地判平23・6・14)

▽建物の賃貸管理業者が賃料を不払した賃借人の貸室内の家財を処分し、退去を強制した場合につき、不法行為が肯定され、財産的損害、精神的損害が認められた事例

(東京地判平24・3・9)

▽金融機関との間で投資信託取引を行っていた者が破産手続開始決定を受けた場合において、その破産管財人が投資信託を解約し、指定口座に振り込まれた一部解約金相当額について行った返還請求に対し、金融機関がその後に行った相殺の有効性(消極)

(大阪地判平23・10・7)

▽いわゆるスーパー銭湯でレジオネラ属菌に感染した利用者が、重症のレジオネラ肺炎及び肺気腫に罹患した結果呼吸器機能障害の後遺症が残った場合において、公衆浴場を設置運営する者が衛生管理を適切に行い、利用者の生命身体の安全を確保すべき義務に違反した過失があるとして損害賠償責任が認められた事例

(前橋地判平23・11・16)

▽道立高校の生徒が柔道部の練習中に頭部を強打して重篤な後遺障害が残った場合、顧問教諭に過失があったとして、道の損害賠償責任が認められた事例

(札幌地判平24・3・9)

知的財産権

○竹エキスを主成分とした飲料及び医薬の発明について、実施可能要件を欠くものであるなどとした審決が維持された事例

(知的財産高判平24・2・15)

○「Chromax」の文字を標準文字で表してなり、第二八類「ゴルフボール、ゴルフ用具」を指定商品とする本件商標の登録が、「正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないで」(商標法五三条の二)されたものであるとされた事例

(知的財産高判平24・1・19)

▽不正競争防止法一九条一項五号イの「最初に販売された日」の起算点となる他人の商品について、保護を求める商品形態を具備した最初の商品(先行商品)を意味するものであって、このような商品形態を具備しつつ、若干の変更を加えた後続商品を意味するものではないとした上で、先行商品と後続商品は実質的同一であると評価できることから、起算点の基準を先行商品とし、同号該当性が肯定された事例

(大阪地判平23・7・14)

商 事

▽コンビニエンス・ストアのフランチャイザーが加盟店に対して公共料金収納代行サービス等に係る業務及び深夜営業を行うことを求める行為が、独占禁止法上の優越的地位の濫用に当たらないとされた事例

(東京地判平23・12・22)

◆最高裁判例要旨(平成二四年四月分)

判例評論

三七 貸金業者Yとその完全子会社である貸金業者Aの顧客Xとの間の金銭消費貸借取引に係る契約の切替えと、AのXに対する過払金返還債務の引受

(最二判平23・9・30)……小野秀誠

三八 検察官による弁護人と被疑者との接見内容の聴取が秘密交通権の侵害にあたり違法とされた事例

(福岡高判平23・7・1)……葛野尋之

三九 コンビニエンスストアのフランチャイザーがフランチャイジーに対し、デイリー商品の販売価格を拘束したことにつき、独禁法違反の違法性があるとして、その損害額につき民訴法二四八条を適用して、フランチャイザーの損害賠償責任が認められた事例

(福岡地判平23・9・15)……髙田 淳

四〇 債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定

(最三決平23・9・20)……大橋 弘

四一 強盗致傷罪の実行着手前における離脱において、共同正犯関係の解消が否定された事例

(最三決平21・6・30)……島田聡一郎

四二 インターネットの個人利用者による表現行為と名誉毀損罪の成否

(最一決平22・3・15)……嘉門 優

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