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判例時報 No.2146
             平成24年6月11日 号 定価:838円 (本体価格:762円+10%税)

■判例特報
 ライブドア有価証券報告書虚偽記載事件上告審判決
  (最三判平24・3・13)
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 6件
<知的財産権> 3件
<商事> 1件
<労働> 1件


◆記 事◆

原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解の仲介の実務 3……野山 宏
民事裁判の基礎理論・法的判断の構造分析(1)(下)
 ――要件事実論とは、どのような考え方か……河村 浩
現代型取引をめぐる裁判例 (303)……升田 純

◆判例特報◆

 一 検察官は金融商品取引法二一条の二第三項にいう「当該提出者の業務若しくは財産に関し法令に基づく権限を有する者」に当たるか
二 金融商品取引法二一条の二第三項にいう「虚偽記載等に係る記載すべき重要な事項」の意義
三 金融商品取引法二一条の二第五項にいう「虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下り」の意義
四 虚偽記載等のある有価証券報告書等の提出者等を発行者とする有価証券につき、投資者がこれを複数回にわたってそれぞれ異なる価額で取得しこれを複数回にわたってそれぞれ異なる価額で処分した場合における、上記投資者が金融商品取引法二一条の二に基づき請求することのできる額の算定方法
五 金融商品取引法二一条の二に基づく損害賠償債務が遅滞に陥る時期

――ライブドア有価証券報告書虚偽記載事件上告審判決(最三判平24・3・13)

◆判決録細目◆

行 政

◎市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為の違憲性を解消するための手段として、氏子集団による上記神社施設の一部の移設や撤去等と併せて市が上記市有地の一部を上記氏子集団の氏子総代長に適正な賃料で賃貸することが、憲法八九条、二〇条一項後段に違反しないとされた事例――砂川政教分離(空知太神社)訴訟第二次上告審判決

(最一判平24・2・16)

民 事

○未成年者の遺産分割協議のための特別代理人に選任された弁護士の善管注意義務違反による不法行為が認められた事例

(広島高岡山支判平23・8・25)

▽借地契約上の無催告解除特約、破産・競売を理由とする解除特約に基づく解除の効力が否定された事例

(東京地判平24・1・13)

▽旅行業者がウェブサイト上で募集した海外旅行ツアーの代金に誤表示があった場合において、申込者と旅行業者の間に誤表示の代金での予約契約及び本契約の成立を認めた上、同申込者を同海外旅行ツアーに参加させなかった旅行業者の債務不履行責任が認められた事例

(東京地判平23・12・1)

▽痩身用のサウナ器具の設計上の欠陥が否定され、指示・警告上の欠陥が肯定され、製造業者、器具等に商標を付した販売業者の製造物責任が認められた事例

(大阪地判平22・11・17)

▽耐震強度が不足しているマンションについて建築確認を行った指定確認検査機関に対する損害賠償請求は認められたが、地方公共団体に対する損害賠償請求は認められなかった事例

(横浜地判平24・1・31)

▽プレハブ式建物の建築請負契約に基づき建築された建物に瑕疵がある場合において当該建物を存続させて瑕疵を修補する費用が当該建物を取り壊して建物を建て替える費用を上回るとして建替費用に相当する損害賠償が認められた事例

(神戸地判平23・1・18)

知的財産権

○4―アミノジフェニルアミンの製造法の発明について、プロトン性物質として水を用いる場合に無水条件を含む構成が含まれる点において、引用発明と同一の発明であるということができるとして、これと異なる審決が取り消された事例

(知的財産高判平24・2・29)

○一 意匠法三条二項は、物品との関係を離れた抽象的な周知のモチーフを基準として、当業者の立場からみた意匠の着想の新しさないし独創性を問題とするものである(①、②事件)
二 横長長方形状の台紙の表面に、四段の横長帯状の帯状印刷部を設け、それぞれの帯状印刷部に三つの横長隅丸矩形状が配され、帯状印刷部の輪郭が実線で囲まれ、隣接する横長隅丸矩形状との間及び中央に縦方向にミシン目を設けた等の公知の意匠から、三段の帯状印刷部を設け、それぞれの帯状印刷部に三つの横長隅丸矩形状が配され、いずれもその中央に縦方向にミシン目を設けた本願意匠を創作することは、本願意匠出願時の当業者の立場からみて意匠の着想の新しさないし独創性があるとはいえず、容易に創作することができたものである(①事件)
三 引用意匠から本願意匠を創作することは、いわばその一部を切り取って横長矩形状の隅丸を直角状にし、ミシン目の一部を上下の余白部まで設け、又は実線に変更する程度のものであり、その意匠の全体から見ても、本願意匠出願時の当業者の立場からみて意匠の着想の新しさないし独創性があるとはいえず、引用意匠と本願意匠との共通点に照らすと、引用意匠から本願意匠を創作する動機付けは十分である(②事件)

(①、②知的財産高判平23・12・15)

商 事

▽振替株式を取得した少数株主が株主提案権を行使するためには、株主総会の八週間前に会社に対し個別株主通知を要し、右期限後の通知があっても株主提案権の行使は許されないとされた事例

(大阪地判平24・2・8)

労 働

◎音響製品等の設置、修理等を業とする会社と業務委託契約を締結して顧客宅等での出張修理業務に従事する受託者につき、上記会社との関係において労働組合法上の労働者に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例

(最三判平24・2・21)

◆最高裁判例要旨(平成二四年三月分)

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