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判例時報 No.2131
             平成24年1月11日 号 定価:838円 (本体価格:762円+10%税)

 


◆記 事◆

最高裁刑事破棄判決等の実情(上)――平成二二年度……西野吾一

現代型取引をめぐる裁判例(293)……升田純

◆判例特報◆

一 抗癌剤イレッサにつき、製造物責任法上の欠陥があるとはいえないとして製薬会社の製造物責任が否定され、併せて不法行為責任も否定された事例
二 抗癌剤イレッサについての厚生労働大臣の輸入承認及びその後の行政指導に違法な規制権限不行使があったとはいえないとして、国に対する国家賠償請求が棄却された事例
――イレッサ薬害訴訟東京高裁判決(東京高判23・11・15)

◆判決録細目◆

民 事

◎貸金業者Yとその完全子会社である貸金業者Aの顧客Xとが、金銭消費貸借取引に係る基本契約を締結するに当たり、YがXとの関係において、AのXに対する債権を承継するにとどまらず、AのXに対する債務についても全て引き受ける旨を合意したものと解された事例(最二判23・9・30)

◎補助参加を許可する旨の原々決定を即時抗告の相手方に不利益なものに変更するに当たり、即時抗告申立書の副本の送達又はその写しの送付をしなかった原審の措置には、抗告番における手続保障の観点から見て配慮に欠けるところがあったものの、その審理手続に裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとはいえないとされた事例(最三決23・9・30)

〇一 弁護士の依頼者に対する守秘義務違反等につき不法行為が認められた事例

二 受任事件が依頼者の解任により途中で終了した場合につき弁護士の責に帰すべき事由によるとされた事例(大阪高判22・5・28)

▽隣接地上において境界標、囲障の設置請求が認容された事例(東京地判23・7・15)

▽インターネットショッピング運営支援会社との間で利用契約を締結していた者の、特定商取引に関する法律に基づくクーリングオフによる契約解除に基づく契約金等の返還請求が認容された事例(大阪師判23 ・3・23)

▽自動車運転中にてんかんを発症し意識を喪失した状態で衝突死亡事故を発生させた運転手、その運転手を雇用した会社及び同会社の代表取締役に対し使用者として、各損害賠償責任が認められた事例(横浜地判23・10・18)

▽いわゆるレッド・パージの実施、その対象者への救済措置を行わなかった政府及び国会議員の不作為が、国家賠償法の適用上違法でないとされた事例(神戸地判23 ・5・26)

知的財産権

〇一 特許法一〇七条四号所定のその方法の使用に「のみ」用いる物とは、当該物に経済的、商業的又は実用的な他の用途がないことが必要である

二 特許発明に係る方法の使用に用いる物に、当該特許発明を実施しない使用方法自体が存する場合であっても、当該特許発明を実施しない機能のみを使用し続けながら、当該特許発明を実施する機能は全く使用しないという使用形態が、その物の経済的、商業的又は実周的な使庸形態として認められない限り、なお特許法一〇一条四号所定の「その方法の使用にのみ用いる物」に当たる(知的財産高判23 ・6 ・23)

〇「Gold Loan」(本願商標)と「CitiGold Loan」(引用商標)とは、外観、称呼において類似せず、取引の実情を考慮にいれても、役務の出所に誤認を生じさせるおそれがあるとはいえないとして、本願商標と引用商標は類似するとした審決が取り消された事例(知的財産高判23 ・4・27)

商 事

▽交通事故の加害運転者の訴訟提起の通知義務違反による保険会社の免責が認められた事例(宇部宮地判23 ・10・7)

刑 事

◎最高裁判所長官として裁判員制度の実施に係る司法行政事務に関与したことが同制度の憲法適合性を争点とする事件についての忌避事由に当たるか(最大決23・5・31)

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