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判例時報 No.2127
             平成23年12月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

 


◆判決録細目◆

行 政

◎検察審査会法四一条の六第一項所定の検察審査会による起訴をすべき旨の議決の適否につき行政事件訴訟を提起して争い、これを本案とする行政事件訴訟法二五条二項の執行停止の申立てをすることができるか(最一決22・11・25)

民 事

○担当検事が被疑者から弁護人との接見内容を聴取し、これを調書化して証拠調べ請求したことは違法であるとして、国の国家賠償責任が認められた事例(福岡高判23 ・7・1)

▽医療事故に関する告訴についての病院側の新聞社に対するコメントの提供が名誉穀損に当たらないとされた事例(東京地判23・5・31)

▽一 大規模会社の従業員が、子会社への移籍の前後を通して、権限なく、複数回にわたり、ソフトウェア等の割賦販売契約を締結したことにつき、当該大規模会社に使用者責任が認められた事例
二 加害者の一部が被害者から譲り受けた損害賠償請求権に基づき、他の加害者に対して損害賠償の請求をした場合に、その請求権の行使につき、共同不法行為者間の求償と同様の制限を負わないとされた事例(東京地判23・7・20)

▽フランチャイザーとフランチャイジーとの間の紛争が発生している状況において、原告となるフランチャイジーを勧誘した弁護士の文書の交付等につき名誉穀損が否定された事例(大阪地判23・5・13)

▽市が発注した下水道工事の競争入札に談合があったとして市が受注者に対し求めた損害賠償につき、損害賠償請求権が民法七二四条前段の消滅時効にかかり消滅したとして棄却された事例(新潟地判22・12・28)

知的財産権

○排気熱交換器に係る本件発明のオフセットフィンのフィンピッチの大きさ、フィンの高さ及び切り起こし部の長さに関する構成につき、排ガス熱交換器に係る引用発明との関係で進歩性を認めた審決について、本件発明の上記構成は、引用発明と相違しないとして、これが取り消された事例(知的財産高判23・7・21 )

▽インターネットショッピングモールの運営者であるYが、同ショッピングモールの出店者が行った商品の販売のための展示や販売に関して、商標法二条三項二号や不正競争防止法二条一項一号及び二号の「譲渡のために展示」や「譲渡」の主体には当たらないと判断された事例(東京地判2 ・8・31)

商 事

▽企業に対する追加融資を推進・決定した銀行の代表取締役及び取締役に、その回収についての善管注意義務等の違反があるとして、銀行に対する損害賠償責任が認められた事例(前橋地判23・7・20)

労 働

○取引先の従業員の引抜等を会社が設置したコンプライアンス室に内部通報した従業員を三度にわたり配置転換した場合において、最初の配転命令が内部通報をしたことを動機とする不当なものであり、続く二度の配転命令がその延長であるとし、上司の不法行為責任、会社の使用者責任が肯定された事例(東京高判23・8・31 )

刑 事

◎弁護人に対し証拠開示することを命じる旨求めた弁護人からの証拠開示命令請求(刑訴法三一六条の二六第一項)の棄却決定に対する即時抗告提起期間の起算日(最三決23・8・31)

判例評論

六五 タクシー運賃認可基準の一つ「不当競争禁止条項」に抵触するとした行政庁の判断に裁量権の逸脱又は濫用があるとは認められないとされた事例

――大阪市ワンコインタクシー事件第二次訴訟控訴審判決

(大阪高判22・9・9) ……日野辰哉

六六 香港に赴任しつつ国内にも相応の日数滞在していた者が’国外財産の贈与を受けた時において、相続税法(平成一五年法律第八号による改正前のもの) 一条の二第一号所定の贈与税の課税要件である国内(同法の施行地)における住所を有していたとはいえないとされた事例
(最二判23・2・18) ……小林宏之

六七 定額郵便貯金債権が遺産に属することの確認を求める訴えの確認の利益

(最二判22・10 ・8)……松川正毅

六八 権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を有する債権者が、当該社団の構成員全員に総有的に帰属し、当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して仮差押えをする場合における申立ての方法
(最二決23 ・2.9) ……菱田雄郷

六九 本願商標と引用商標の類否は、本願商標の実際の使用態様および使用される可能性が極めて低いという引用商標の取引の実情を考慮することにより判断すべきだとして、これらの実情を考慮することなく本願商標は商標法四条一項二号所定の不登録商標に該当するとした拒絶査定不服審判請求不成立の審決を取り消した事例
(知的財産高判22・7・21) ……渋谷達紀

七〇 公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより、当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は、単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても、当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは、自動公衆送信装置に当たるとし、原判決を破棄して差し戻した事例
(最三判23 .1.18) ……駒田泰土

七一 一 刑訴法四〇三条の二第一項と憲法三二条

二 即決裁判手続の制度が虚偽の自白を誘発するか
(最三判21・7・14)……金子章

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