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判例時報 No.2118
             平成23年9月11日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

 


◆記事◆

最高裁民事破棄判決等の実情(下)―平成二二年度……田中秀幸 倉地康弘

現代型取引をめぐる裁判例(285)……升田 純

◆判決録細目◆

民 事

◎賃金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合における、借主と上記債権を譲渡した業者との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位の移転の有無(最三判23・3・22)

○週刊誌に掲載された八百長相撲に関する記事について元横綱らに対する名誉穀損の成立を認め、出版社らに対し、損害賠償の支払と謝罪広告の掲載が命じられた事例(東京高判22・3・17)

▽ 一八年にわたって継続した販売代理店契約を四か月の予告期間をもって解約したのは契約上の義務違反であるとし、一年間の予告期間が相当であるとして、その間の損害の補償請求が認められた事例(東京地判22・7・30)

▽中国の事業者が製造した冷凍食品を輸入した事業者から同食品を転売のため継続的に購入していたところ、中国の事業者における毒物混入の問題が発覚し、購入した食品の廃棄等

を余儀なくされた場合について、売主の瑕疵担保責任が肯定され、債務不履行責任、製造物責任が否定された事例(東京地判22・12・22)

▽併合九級の後遺障害が残った歯科医師について、喪失率を七〇パーセントとして逸失利益が算定された事例(大阪地判23・4・26)

▽重婚的内縁関係にある者の間において、その一方が死亡した後は他方が共同で使用してきた建物を単独で使用する旨の合意が成立していたと認められた事例(名古屋地23・2・25)

▽高次脳機能障害(五級二号)、醜状障害(一二級一三号)の後遺障害により併合四級と認定された被害者につき、労働能力喪失率が八五パーセントと認められた事例(神戸地尼崎支判23・5・13)

▽建築主との間で建築確認申請の手続を行う旨の合意をし、建築確認申請書の工事監理者欄に自己の名を記載して建築確認申請の手続を行ったが、その後、工事監理業務を行わず、建築主をして工事監理者の変更の届出をさせる等の措置を執らなかった一級建築士について、当該建物の瑕疵に関し、建築主に対する不法行為責任が肯定された事例(佐賀地判22・9・24)

▽パチンコ業者が風俗営業の許可に係る規制を利用して競業者の出店を阻止する目的で近接する土地を取得し、これを学校法人に寄附した行為が不法行為に当たるとされた事例(盛岡地判23・1・14)

知的財産権

○撮影準備完了状態を知らせるため、操作者からよく見える場所にレーザー光を照射するX線撮影装置に関する引用発明に、照射野ランプの点滅等の方法によりX線照射中の状態を視覚的に認識することができるという周知技術を適用しても、照射野ランプに撮影準備完了状態を視覚的に認識させる機能を併有させる本願発明に係る構造を想到することは容易とは認められないとして、これと異なる審決の判断に誤りがあるとされた事例(知的財産高判22・8・4)

▽ベビー服・子供服の陳列のための商品陳列デザインにつき、それ自体で売場の他の構成要

素から切り離されて認識記憶される対象とはいえないとして営業表示該当性が否定された事例(大阪地判22・12・16)

商 事

○自動車の盗難を保険事故とする保険金請求において、盗難の外形的事実である「被保険者以外の者が被保険者の占有に係る被保険自動車をその所在場所から持ち去ったこと」につき高度な蓋然性があると認められる程度まで立証できたとはいえないとして、保険金請求が棄却された事例(東京高判23・5・23)

労 働

▽一 飲食店のアルバイト店員について変形労働時間制の適用がないとされた事例

二 タイムカードによって勤怠管理がなされていた飲食店のアルバイト店員についてタイムカードによって労働時間が認定された事例

(東京地判22・4・7)

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