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判例時報 No.2111
             平成23年7月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

 


◆判例特報◆

一 衆議院小選挙区選出議員の選挙についてのいわゆる一人別枠方式を含む区割基準を定める衆議院議員選挙区画定審議会設置法三条及び同基準に従って選挙区割りを定める公職選挙法一三条一項、別表第一の各規定の合憲性

二 衆議院小選挙区選出議員の選挙において候補者届出政党に選挙運動を認める公職選

挙法の規定の合憲性

(最大判23・3・23)

◆判決録◆

行政

〇一 タクシー運賃及び料金の値下げ変更申請が道路運送法九条の三第二項三号の基準に適合しないとして却下した行政処分が判決により取り消された後に、再度の審査により右申請が右基準に適合しないとして却下した行政処分が、右判決の拘束力に抵触せず、行政裁量権の逸脱又は濫用に当たらないとされた事例

二 右の再度の却下処分が行政裁量権の逸脱又は濫用に当たらないことを前提に、右申請を認可すべき義務付けの訴えが不適法とされた事例

(大阪高判22・9・9)

▽一 出訴期間内に訴え提起があったものと同視できるか、少なくとも出訴期間を遵守することができなかったことにつき「正当な理由」があるとされた事例

二 家屋に設置された昇降機設備が当該家屋と一体のものではないことを理由として固定資産課税台帳に登録された当該家屋の価格の減額を求める審査の申出を固定資産評価審査委員会に対してすることができるとされた事例

(東京地判22・9・29)

民事

◎適切な医療行為を受ける期待権の侵害のみを理由とする整形外科医の不法行為責任の有無を検討する余地がないとされた事例

(最二判23・2・25)

◎ 「相続させる」旨の遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合における当該遺言の効力

(最三判23・2・22)

○合意で性交渉をし、合意で妊娠中絶手術を行った男女間において、男性が女性の身体的、精神的苦痛や経済的負担の不利益を軽減し、解消するための行為をしないことが不法行為に該当するとされた事例

(東京高判21・10・15)

○ドイツ法人の販売代琴店の元代表者が退職後設立した会社とドイツ法人との間で販売代理店契約が締結された場合において、元代表者に対し’同一事業への従事の禁止や取引先への連絡の禁止等を求めることはできないとされた事例

(知的財産高決22・5・26)

○内縁の夫と内縁の妻との間で、両名が同居していた内縁の夫所有の建物について、内縁の妻が死亡するまで同人に無償で使用させる旨の使用貸借契約が黙示的に成立していたとして、内縁の夫を相続した子から内縁の妻に対する右建物の明渡請求が棄却された事例

(大阪高判22・10・21)

▽マンションの各戸の所有者が当該マンションの構造計算書の問題点を建築主事等が確認検査及び完了検査において看過したと主張して求めた建築主事等の所属する地方公共団体に対する国家賠償請求が棄却された事例

(東京地判22・11.25)

▽うつ病治療中の税関職員が無断で、覚せい剤輸入罪の被疑者に同人の刑事事件の調査資料のフロッピーを送付し不安を与えたことにつき、資料管理者である税関職員に過失があるとして国家賠償責任が認められた事例

(大阪地判22・11・29)

知的財産権

○発明の名称を「急速崩壊性多粒子状錠剤」とする特許権の存続期間延長登録出願に対して、医薬品についての処分が特許発明の実施に必要であったというためにはその処分によって特定される「物」、すなわち、「有効成分」が特許発明の構成要件として明確に特定されていることを要するとした審決が、取り消された事例――タケプロンOD錠事件知的財産高裁判決

(知的財産高判22・12・22)

○一 指定商品を包装していない単なる包装紙等に標章を付する行為又は単に標章の電子データを作成若しくは保持する行為は、商標法二条三項言号所定の「商品の包装に標章を付する行為」に当たらない

二 標章を付した広告等が一般公衆による閲覧可能な状態に置かれていない場合には、商標法二条三項八号所定の標章を付した広告の「頒布」に当たらない

(知的財産高判22・12・15)

▽小説を原作とする映画の脚本(二次的著作物)を「年鑑代表シナリオ集」に掲載することについて、映画プロダクション会社が映画化の際に締結した契約(原作使用契約)の適用はなく、原著作者である小説家には諾否の自由があり、これを拒否したとしても、脚本家らに対する関係で不法行為を構成するものではないとされた事例

(東京地判22・9・10)

◆最高裁判例要旨(平成二三年三月分)

◆判例評論◆

二五 一滞納者が相続分に満たない財産を取得する遺産分割は国税徴収法三九条にいう「第三者に利益を与える処分」に当たるとされた事例

二 滞納者に詐害の意思があることは国税徴収法三九条所定の第二次納税義務成立の要件ではないとされた事例

(最一判21・12・10)……占部裕典

二六 葬儀場の営業を行う業者が、その近隣に居宅を共有してこれに居住する者に対し、居宅から葬儀場の様子が見えないようにするための目隠しを設置する措置を更に講ずべき義務も、葬儀場の営業についての不法行為責任も負わないとされた事例

(最三判22・6・29)……渡邉知行-

二七 いわゆるマンション団地における非居住(不在)区分所有者への活動協力金の支払いに関する規約変更と区分所有法三一条一項後段(同法六六条で準用)の適用(「一部の区分所有者の権利」に対する「特別の影響」)の有無(消極)(最三判22・1・26)……吉田邦彦

二八 居住用建物賃貸借契約における更新料特約と消費者契約法一〇条の適用

(①大阪高判21・8・27、②大阪高判21・10・29) ……河上正二

二九 バイシクルメッセンジャーの労働基準法上の労働者性――ソクハイ事件

(東京地判22・4・3)…… 藤原稔弘

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