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判例時報 No.2104
             平成23年4月21日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

 


◆記事◆

裁判員裁判における犯罪事実の認定(下)……青木孝之

現代型取引をめぐる裁判例(276)……升田純

海外刑法だより(311)

国際刑事司法共助と死刑・無期刑……森下忠

◆判決録◆

行政

▽一 国立市が、民間企業からの別件損害賠償請求事件において、前市長の当該民間企業に対する営業活動妨害等を理由として損害賠償金等の支払を命じる判決を受け、当該民間企業に対し、当該損害賠償金等を支払ったことから、国立市が前市長に対して求償権(国家賠償法一条二項)を有し、その不行使が怠る事実に該当するとして、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき、前市長に当該損害賠償金等相当額の支払を請求することを現市長に対して求める請求が、認容された事例

二 上記民間企業が国立市に対してした上記損害賠償金等と同額の一般寄附は、上記損害金等を実質的に填補する趣旨でされたものではないとして、これをもって国立市の前市長に対する上記求償権が消滅したとは認められないとされた事例

三 国立市が前市長に対して上記求償権を行使することが信義則に反するとはいえないとされた事例

(東京地判22・12・22)

民事

○一 日本放送協会が受信者の妻と夫名義の放送受信契約を締結した場合における民法七六一条の適用の可否(積極)

二 日本放送協会に諌せられている豊かで良い放送を行う義務(放送法七条参照)は、国民に対して一般的抽象的に負担する義務であり、放送受信契約の相手方が負担する放送受信料支払義務との関係において牽連性はない
三 放送法三二条及び日本放送協会放送受信規約九条は、それぞれ憲法一三条後段、一九条、二一条一項、市民的及び政治的権利に関する国際規約一九条一項に反しないとされた事例
四 放送受信契約の締結を義務付ける放送法三二条は、これと異なる合意をすることを禁止する強行規定として消費者契約法二条二項にいう「民活及び商法以外の他の法律に別段の定め」に該当することから、放送法三二条に基づく日本放送協会との間の放送受信契約の締結については、同法一〇条が適用され得る余地はない

(東京高判22・6・29)

○戦没者の遺族の靖国神社及び国に対する損害賠償請求並びに靖國神社に対する合祀取消請求が棄却された事例

(大阪高判22・12・21)

▽介護付有料老人ホームの入居契約上の入居一時金を償却する旨の特約が消費者契約法一〇条に違反しないとされた事例

(東京地判22・9・28)

▽一 第三者が組成・発行した仕組み債への投資勧誘を行った者について、平成一八年法律第六六号による改正前の金融商品の販売等に関する法律(旧金販法)四条及び民法七〇九条に基づく損害賠償責任が認められた事例

二 第三者が組成・発行した仕組み債の購入代行及び保護預かりを行って同債への投資に関与した金融機関につき、旧金販法四条に基づく損害賠償者任が否定された事例

三 第三者が組成・発行した仕組み債の購入代行及び保護預かりを行って同債への投資に関与した金融機関につき、民法七〇九条、同法七7九条及び同法七一五条に基づく損害賠償責任が、当該金融機関の従業員につき、民法七〇九条及び同法七一九条に基づく損害賠償責任が、それぞれ否定された事例

四 平成一六年法律第九七号による改正前の証券取引法(旧証取法) 一七条の規定の適用範囲

五 外国の裁判所を専属的裁判管轄とする管轄合意が存在する場合に民訴法七条ただし書きの併合管轄によって我が国に裁判管轄が認められた事例

(東京地判22・11・30)

▽連棟式一棟建物の区分所有住戸部分の収去土地明渡の強制執行が、収去対象住戸部分の隣接住戸部分に倒壊の危険性がある等の事情から、右強制執行による収去請求権の行使は権利の濫用に当たるとして、右隣接住戸部分の区分所有権者の求めた右強制執行停止の請求が認容された事例

(大阪地判22・11・4)

知的財産権

〇一 冒認出願(一二三条一項六号)を理由として請求された特許無効審判において、「特許出願がその特許に係る発明の発明者自身又は発明者から特許を受ける権利を承継した者によりされたこと」についての主張立証責任は、特許権者が負担するとした上、審決には、冒認出願に関する判断の誤りがあるとして、審決が取り消された事例

二 冒認出願を理由として請求された特許無効審判について、職権で口頭審理から書面審理に変更した点において手続上の瑕疵があるとして、審決が取り消された事例

(知的財産高判21・6・29)

▽登録商標を「シルバーヴィラ」とする商標権を有し、かつ、「シルバーヴィラ向山」との名称の老人ホームを運営する原告の、「シルバーヴィラ揖保川」等の名称で介護保険に係る施設を開設・運営する被告に対する、不競法に基づく 「シルバーヴィラ」の標章の使用の差止請求及び商標権侵害に基づく損害賠償請求の一部が認められた事例

(東京地判22・7・16)

商事

▽金融商品取引法一九二条一項に基づき、金融商品取引法違反行為の差止めが命じられた事例

(東京地決22・11・26)

労働

▽大手通信社の記者が、糖尿病性ケトアシドーシスにより多臓器不全等に陥って急性心不全に至り死亡した場合について、業務起因性が否定された事例ー―時事通信労災事件第一審判決

(東京地判22・4・15)

刑事

◎労働基準法三二条一項(週単位の時間列労働の規制)違反の罪と同条二項(1日単位の時間外労働の規制)違反の罪との罪数関係

(最一決22・12・20)

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