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判例時報 No.2100
             平成23年3月11日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

 


◆記事◆

住民訴訟平成一四年改正四号請求被告変更の誤謬……阿部泰隆

現代型取引をめぐる裁判例(273)……升田純

◆判決録◆

行政

▽商品先物取引に関し商品取引員から不法行為に基づく損害賠償金として受け取った和解金が、平成二二年法律第六号による改正前の所得税法九条一項一六号、平成二二年政令第五〇号による改正前の所得税法施行令三〇条二号の非課税所得に当たるとされた事例(名古産地判21・9・30)

民事

〇一 元夫の元妻に対する慰謝料請求が、離婚訴訟である前訴と実質的には紛争の実体は同一であり、紛争を蒸し返すものであるから、信義則に反して許されないとされた事例

二 元夫が元妻の不貞行為の子を実子として養育してきたことについて、元夫の元妻に

対する養育費相当額の不当利得返還請求が認められなかった事例

(東京高判21・12・21)

○争点が共通で対抗的関係にある二つの仮処分の一方が認容され他方が却下された場合の却下決定に対する即時抗告の取扱い

(東京高決22・11・12)

○公設事務所の弁護士の説明義務違反を認めて同弁護士に対する損害賠償請求を一部認容した第一審判決が同弁護士に説明義務違反はなかったとして取り消された事例(①・②事件)

(①、②福岡高宮崎支判22・12・22)

▽一 傭船者が傭船契約の解除を主張するなどして船舶の引取りを拒絶する意思を表明したことが、船主の船舶引渡債務の履行の前提となる建造代価支払のための金融機関からの融資、ひいては傭船契約の実現を妨げるものとされ、信義則上の義務に違反するものと認められた事例

二 国が主導した高度船舶技術の事業化プロジェクトにおいて、運行事業者である傭船者が、運航事業による巨額の損失発生が見込まれるとして、国及び東京都に対して損失補填の確約等の公的支援を求めるとともに、船舶の引取りを拒絶する意思を表明したことについて、正当な理由があるとはいえないとされた事例――小笠原テクノスーパーライナー(TSL)事件第一審判決

(東京地判22・9・21)

▽中国企業製造の食品の販売に関する継続的取引につき、当該中国企業製造の冷凍餃子に毒物混入が発覚し、買受会社が買受けた食品を使って製造した食品の回収を余儀なくされ損害を被ったとして、販売会社に対し求めた右取引契約の債務履行保証、瑕疵担保条項に基づく損害賠償請求が認容された事例

(大阪地判22・7・7)

▽菓子工場からの「甘いにおい」についての不快感には個人差があるが、それが長期間継続的になされるとかなりの苦痛を与え、さらに侵害行為の態様が悪質なことを加味すると、付近住民の受忍限度を超えるとして、工場経営者の損害賠償責任が認められた事例

(京都地判22・9・15)

▽町企画の小学校の統廃合に反対する署名者名簿を使用して、町職員が戸別訪問をして、署名の真洋や請願の趣旨を明確にする目的の範囲の調査は適法であるが、署名者や反対活動者に対する不当な圧力となる質問は違法であるとして、町の国家賠償責任が認められた事例

(岐阜地判22・11・10)

知的財産権

○特許出願に際して願書に共同発明者として記載されている者につき、着想を提供した者ではなく、また、その具体化についても協力者・補助者として実験を行うなどして発明の完成を援助したことを超えて重要な貢献を行った者でもないとして、当該発明の発明者ということができないとされた事例(知的財産高判22・9・22)

○被控訴人書籍に依拠して実在の人物の事績を記述した控訴人書籍が、被控訴人書籍について被控訴人が有する著作権(複製権・翻案権)および著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)の侵害に当たらないとされた事例(知的財産高判22・7・14)

商亊

▽元請人(いわゆる特例有限会社)の下請代金の不払いによって損害を被ったという下請人(株式会社)が元請人の取締役に対して提起した同取締役の任務解怠を理由とする損害賠償請求につき、同取締役が自ら違法な職務遂行をした任務懈怠は認められないが、同社の代表取締役の違法な職務遂行に対する監視義務を怠り、これを放置した任務懈怠は認められるとして、請求が認容された事例(新潟地判21・12・1)

刑事

◎強盗殺人一件、強盗致死・強盗致傷一件等の事案につき、無期懲役の量刑が維持された事例(最一決21・l2・17)

◆最高裁判例要旨(平成二二年一二月分)

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