判例時報 No.2098
平成23年2月21日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
◆記事◆
株式会社の組織再編等と会社法二二条一項の類推適用……藤原俊雄
背任罪における任務違背行為―-最高裁平成二一年一一月九日決定を契機として……林幹人
現代型取引をめぐる裁判例(272) ……升田純
海外刑法だより(309)―スペインの陪審制度(中)……森下忠
◆判例特報◆
◆ 判決録◆
◎住民訴訟における共同訴訟参加の申出につき、これと当事者、請求の趣旨及び原因が同一である別訴において適法な住民監査請求を前置していないことを理由に訴えを却下する判決が確定している場合における当該申出の許否
(最二判22・7・16)
○市の会計課出納担当主幹が市職員労働組合から会計課出納担当主幹は管理職員等に該当すると定める「管理職員等の範囲に関する規則」により加入を拒否された場合において、その権限・役割から会計課出納担当主幹は管理職員等に該当するものではないのに公平委員会が同規則を維持した結果、労働組合に加入する権利が侵害されたとして国賠請求が認められた事例
(東京高判22・8・25)
◎定額郵便貯金債権が遺産に属することの確認を求める訴えの確認の利益
(最二判22・10・8)
◎法人であるYから定年により職を解く旨の令を受けた職員であるⅩがYに対し雇用契約上の地位確認及び賃金等の支払を求める訴訟において、控訴審が、X、Yともに主張していない法律構成である信義則違反の点についてXに主張するか否かを明らかにするよう促すとともにYに十分な反論及び反証の機会を与える措置をとることなく、Yは定年退職の告知の時から一年を経過するまでは賃金支払義務との関係では信義則上定年退職の効果を主張することができないと判断したことに釈明権の行使を怠った違法があるとされた事例
(最一判22・10・14)
○適合性原則に違反する証券取引であったとして顧客の証券会社に対する損害賠償請求を一部認容した第一審判決を控訴審において適合性原則に違反する証券取引ではなかったとして取り消し、顧客の請求が全部棄却された事例
(大阪高判22・7・13)
▽医薬品の設計上の欠陥、指示・警告上の欠陥が否定された事例
(東京地判22・5・26)
▽刑務所内で刑務官らの受刑者に対する違法な革手錠の施用により、受刑者が死亡又は受傷したとして、死亡した受刑者の遺族、受傷した受刑者が国に対して求めた国家賠償請求が認容された事例
(名古屋地判22・5・25)—
〇一 特許法一一二条の二第一項所定の「その責めに帰することができない理由」とは、通常の注意力を有する当事者が通常期待される注意を尽くしてもなお避けることができないと認められる事由により追納期間内に納付できなかった場合をいう
(知的財産高判22・9・2)
○意匠法三条一項三号所定の意匠の類否判断にあたり、願書に添付した図面に記載され又は願書に添付した写真、ひな形若しくは見本により現された事項及びここから認識できる事項以外の事項を考慮して意匠を認定し得るとすることは、相当でない
(知的財産高判22・7・7)
◎証券取引法施行令(平成一八年政令第三七七号による改正前のもの)七条五項四号、発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成一八年内閣府令第八六号による改正前のもの)三条の二の四第一項及び第二項所定の「株券等」に、特定買付け等(同施行令七条五項にいうもの)の対象とならない株券等は含まれるか
(最二判22・10・22)
◎事後強盗としての暴行についての共謀等を認めなかった原判決を重大な事実誤認の疑いが顕著であるとして破棄して差し戻した事例
(最一判21・10・8)