判例時報 No.2088
平成22年11月11日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
◆記事◆
現代型取引をめぐる裁判例(265)……升田純
◆判例特報◆
在来鉄道の沿線住民の鉄道事業者に対する騒音差止請求は棄却され、騒音によって生じた損害の賠償請求は一部認容された事例――小田急線騒音差止・損害賠償請求訴訟第一審判決(東京地判平22・8・31)
◆判決録◆
○同一建物に居住しその敷地を共有する者の間で、土地建物を分割し、一方が分割取得した建物部分を取り壊し、その敷地部分を第三者に譲渡した場合において、租税特別措置法三五条一項(平成一八年法律第一〇号による改正前のもの。)の適用が認められた事例
(東京高判平22・7・15)
▽本邦に不法入国したペルー共和国の国籍を有する夫婦及び本邦で出生した同夫婦の未成年の子らのうち、裁決時一四歳であり、その後脳腫癌が発見された長男についてされた在留特別許可をしないという判断は裁量権の範囲を逸脱したものであるとして、長男に対する裁決及び退去強制令書発付処分が取り消された事例
(東京地判平22・1・22)
◎更生会社であった貸金業者において、届出期間内に届出がされなかった更生債権である過払金返還請求権につきその責めを免れる旨主張することが信義則に反しないとされた事例
(最二判平22・6・4)
○検察官の被疑者取調べ中の発言が被疑者と弁護人との信頼関係を破壊するものではなく、
弁護人の接見交通権を侵害するものではないとして、弁護人の国に対する国家賠償請求が棄却された事例
(大阪高判平22・5・27)
▽上場予定のない未公開株式を上場予定であると偽って高額で販売する「未公開株商法」の被害に遭った買主の相続人の当該株式を販売した株式会社及び同社の取締役らに対する損害賠償請求が認容された事例
(東京地判平22・6・28)
▽ニコニコキッチンフランチャイズ契約において、フランチャイズ・チェーン運営者の情報提供義務・経営指導義務の違反が認められなかった事例
(大阪地判平22・5・27)
▽貨物自動車運送会社の貴重品什分け業務に従事する労働者の自殺について、業務との間の相当因果関係は認められないとして、会社の損害賠償責任が否定された事例
(仙台地判平22・4・20)
○審決には、審判手続において据出された実験結果を参酌すべきでないとした点、同実験結果を参酌しても本願発明が予想外の顕著な効果を奏するものとはいえないとした点にいずれも誤りがあるとして、審決が取り消された事例(知的財産高判平21・7・15)
○新聞や雑誌への掲載により引用商標が商標法四条一項一〇号所定の周知性を有するとされた事例(知的財産高判平22・2・17)
▽食品メーカーにおいて物流管理等の業務に従事していた従業員が、持病の気管支噛息を悪化させ、その発作から心臓停止に至り死亡した場合について、業務起因性が肯定された事例(東京地判平22・3・15)
◆最高裁判例要旨(平成二二年七・八月分